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異世界闇教団 闇の神様から絶大な力を貰ったので異世界で闇の新興宗教団体を作ります  作者: 灼熱ひまわり
8章 聖女ってヒロト抜きで戦うとこんなに強かったの!?
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8-5

「いつからバレてたのかしら」


これは言い逃れ出来そうにない、騙していると思ったら騙されてた。

この聖女イリスは侮れる相手じゃない。

天使アイリーンだっけ? の一言を言ってから放たれるようになった闘気は圧倒的だ。

前に見たときより確実に強くなっている。

魔王系モンスターがダース単位で集まっても勝てそうにない。


天使アイリーンは本来の姿に戻り、テレポートで短い槍を手元に持ってくる。

槍を一振りすると風が室内を飛び回る。


テレポートで逃げようとしたが逃げられない、何か妨害のようなものが効いているようだ。

入れるけど出られない構造というのはイノシシとかそういう動物を捕まえる罠でよく使うやつだ。

聖女イリスがこんなに早く到着したのも気になる、本来なら聖女アプリコットが駆けつける担当だったのだろう、彼女の能力を考えると最適な人材といえる。

ここまでこんなに簡単に潜入できたのもその為か、もっとも聖女アプリコットが抜けた穴が大きいのかどうかはわからないが重要そうな書籍はテレポートで送った……送れた? ちゃんと送れてる?


そんなことより目の前の聖女イリスのことを考えよう。


聖女イリスが剣を持って突撃してきた、槍で突くが剣で弾かれる。

そこから薙ぎ払いに移りたいところだがその前に剣が届く間合いまでつめられた。

振り落とされる剣をかろうじて避ける、返す刃を槍で止める、そのままグッと押されて体勢が崩される。

とっさに左に大きく飛んで間合いを開ける。


そしたら剣が凄まじい速度で顔面に向かって飛んできた、槍じゃ間に合わない。

身体を捻っても避けられない。


これは死んだ。

目前に迫る明確な死。


天使アイリーンは槍を手放し、両手を合掌して飛んできた剣をキャッチしていた。

真剣白刃取りである。


天使アイリーンはポーカフェイスで取った剣を構える。

落とした槍が地面とぶつかって音をたて、聖女イリスが次の剣を聖女候補から受け取っている。


正直今のは危なかった。

外からテレポートで呼んでくることは不可能じゃない、テレポートの技術自体が未熟なので妨害とは無関係に普通に失敗するかもしれないがその時はその時だ。


というわけで誰か呼ぼう、1人じゃ無理だ。

かなり無理なテレポートで誰かきた、派手に地面に落ちる。


「あんですかあ? 何かあったんですか?」


間延びした声がする、パジャマを着てるがちゃんと錫杖を持ってる暗黒神官デイジーだ。


「よくきてくれたわデイジー、逃げるから手伝って!」


「あれ? 天使アイリーンさん? 聖女イリスも? これ夢? それとなんかここきたら手にこの書籍持ってました」


暗黒神官デイジーの手には先程テレポートで飛ばした書籍を持っていた。


「それは絶対に持って帰るわよ、それにしてもよくきてくれたわ、下っ端ゴブリンとかがきてたらアウトだったわ、さあ、突破するわよ」


「ようは目の前の相手と戦えばいいんですねえ、任せてください」


真っ直ぐ聖女イリスに錫杖を鈍器として振り回しながら突撃する暗黒神官デイジーと転がった短い槍をテレポートで手元に戻し、同時に突撃する天使アイリーン。

デイジーの鈍器は威力が有りすぎて防がないで避けたほうがいいと思った聖女イリスは鈍器を避けて天使アイリーンの槍を受け流す、そこでデイジーの健康的な足が回し蹴りを放ってきた。

聖女イリスは回し蹴りも避けるが、避けたところで肩に足を引っ掛けられた。

片足で組み付かれた形になる。

そのまま押し倒される。


暗黒神官デイジーの軸足に剣が飛んでくる、このままでは暗黒神官デイジーの足は切断されてしまうだろうがその剣を天使アイリーンの槍が受け止める。

それとほぼ同時に暗黒神官デイジーの錫杖は倒された聖女イリスの顔面に向かって振り下ろされる。

だがそれは聖女イリスがその場に転がっていた書籍を盾代わりにして受け流した。

書籍を斜めにして受けて鈍器を横に流すことで鈍器の衝撃を受けることなく防ぎ切るという盾戦闘の技を書籍でやったのである。


暗黒神官デイジーは片足を捨てて聖女イリスを仕留めるつもりだったが、天使アイリーンが間に入らなければ片足を失って戦闘不能になるだけで終わっているところだった。


それがわからない暗黒神官デイジーではない。


「逃げるわよ」


「はい」


デイジーは素直に従ってくれた。


「聖女イリスが前より強くなってるですよお」


「知らないわよ、とにかくこの部屋から離れるわよ」


そこで強力な魔力を感じた。


「ファイヤーボール」


この声は聖女マルガリータ。


火の玉が目の前に飛んできた。

どんでもないパワーを秘めているということがわかる、これが爆発したら、仮に生徒数500人くらいの小学校があったとしたらその小学校の新校舎と旧校舎と体育館とサッカーと野球とテニスができるサイズの校庭全てを炎で包み込んで焼き尽くせるような威力だ、1人も生き残れない。

破壊力という意味でいえば暗黒神官デイジーの鈍器どころじゃない。

ここでこれが爆発したらハイミル教の総本山が消えるようなことになりかねないと思うのだが、爆発せず空中で火球が止まり、レーザービームのようなものを十数本撃ち始めた。


レーザービームが直撃するかどうかというところでテレポート妨害から外れ、天使アイリーンと暗黒神官デイジーは脱出した。



次の瞬間には見慣れた闇の新興宗教団体ネフロレピス教の神殿の前に居た。

2人で息切れして座り込んでいる。


「生きてる? 暗黒神官デイジー」


「生きてます、恐かったですね」


「正直マジで恐かったわ、落ち着きたいからちょっと抱きしめさせてくれる」


返事を聞く前に天使アイリーンが暗黒神官デイジーを抱きしめている。

暗黒神官デイジーはどうしていいかわからなかったがとりあえず抱きしめ返した。

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