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「ヒロト、俺のことは神様と呼べ。望みはあるか? 俺が叶えられる範囲でなんでも叶えてやろう」
望みとか急に言われてもなあ。
別の世界で本当に生き返らせてやろうって言ってたけどそれとは別に何か貰えるんだよな。
「考え中か? 焦ることはない、ゆっくり考えればいい。いまのうちにその辺に転がっている赤肉団子を片付けておこう。」
神様が指をクイッと動かすと死体が全て消滅した。
ナイフは消えずに残っている。
何時入ってきたのか不明な3人の女達がナイフを回収している。
真っ黒な神官服を着ている。
暗黒神官なのかな?
いきなり殺し合いとかさせるし、神官は暗黒神官だし、この神様はひょっとしてヤバいやつなのではないだろうか。
ひょっとしなくてもヤバイやつだろうと思う。
せめてもの救いはナイフを回収している暗黒神官が美女なことくらいだろうか、性格キツそうだけどメンヘラっぽくはない。
「あの、ちょっと聞きたいことが」
「断る、お前は質問が多い。俺の部下を1人つけるからそいつに聞け。お前はこれから俺が創造した『幸福な異世界』に行ってもらう、だいぶ放置してたので荒れてるが気にするな。5秒以内に欲しいものを言え、言わないと何もやらん」
「じゃあ、神様と同じ力が欲しいです」
「ふむ、俺と同じ力か」
神様は少し考えているようだ。
「俺の力をまるごと注ぎ込めばお前の魂が耐えられん……俺の100万分の1の力でも魂は耐えられんだろう、一番強くなるとしたら俺が純粋なエネルギー体の分身を作りお前と融合するのがいいだろう。俺の自我や記憶があったらお前が塗りつぶされてしまうが純粋なエネルギー体との融合なら問題ないだろう」
神様が言い終わると同時にもう1人の神様が現れる。
これが分身なんだろうか。
分身は一直線にこっちに向かって歩いてきて俺の身体の中に吸い込まれるように消えた。
……何か変わった?
何も変わってないような気がするが、ひょっとして徐々に変化するんだろうか。
気になるが質問が多いと言われたのでもう質問はしないでおこう。
あえて嫌がるようなことをするような趣味はない。
そもそも嫌がらせなんかしたら殺されそうだし。
「さて次はお前の質問に答える付き人を用意しないとな、そこのお前、こいつについていけ」
「ええっ!?」
神様のその言葉に答えたのはナイフを拾っていた暗黒神官の女のうちの1人だった。
神様はこっちを見て言った。
「こいつの名前はNNN54、これからいく世界じゃ不自然な名前だろうから不自然じゃない名前を考えておくといい。俺が見た所ヒロトとNNN54は相性が良い、もし結婚すれば双方共に幸せになれるだろう」
そこまで言うと俺とNNN54と呼ばれた暗黒神官の身体が闇に包まれる。
……光じゃなくて闇に包まれるのか。
神様は言った。
初めて見る優しそうな表情だった。
「本当に困ったことがあったら俺に祈れ、奇跡を一度に100回くらい起こしてやる」
なんか急に優しくなったぞ、まさか身内認定されてんのか。
横でNNN54と呼ばれた女が言った。
「ちょ、ネフロレピス様、なんか力が抜けていくんですがまさか私の力剥奪!?」
「優勝してないからな、力が欲しければヒロトに貰えばいい」
すっごい嫌そうな顔しているNNN54、そのうち闇が完全に俺とNNN54を飲み込んだ。
この自称神様の名前はネフロレピスっていうのか。