8-2
「ふう」
天使アイリーンはため息をついた。
「私って有名人?」
「さあな、新聞にも雑誌にも闇の新興宗教団体ネフロレピスの名前はのっている」
「はい、それ嘘ね」
「……なんだと?」
「新聞にも雑誌にもネフロレピスという単語は一度たりとも出てきてないわ」
「……」
男は黙り込んだ。
「あなた、何者? 魔王系モンスターのしもべか何か?」
「!?」
しばらく静寂が辺りを支配する。
「貴様、どこまで知ってる?」
「さあ」
なんにも知らないけどカマかけたらそれっぽい反応が出てきた。
これが全て演技だったとしたら大した演技派だと天使アイリーンは思った。
このまま話を聞きたいところだが……。
「ぶっ殺す!」
4本の剣を持って突撃してきた。
「ファイヤーボール」
無詠唱、印無し、集中無しで放ったファイヤーボールが4本の剣を持っている何者かに直撃する。
直撃しての大爆発、聖女マルガリータだったら骨まで残さず焼き尽くしているところだが、天使アイリーンでは骨くらいは残る。
骨だけではなく装備していた金属製のものも溶けきらずに残っている。
天使アイリーンはここで懐から手のひらサイズのナイフを取り出した。
骨だけになった何者かに近寄っていく。
ある程度まで近寄ったら骨だけになった何者かが溶けかけた剣を振ってきた。
天使アイリーンはナイフで剣を受け流すと骨に直接触れる。
「死者よ、本来居るべきところに帰りなさい、冥府送り」
天使アイリーンは自分の首の後ろ辺りに飛んできた何かをキャッチする。
「そこに居るのはわかってるのよ、出てきなさい」
草むらから何者かが出てきた。
タキシードみたいな服とマントが特徴的。
「4本剣のシンバルをこれほど容易く倒すとは」
怪しい人物でる。
「これは毒針ね、とどめを刺す瞬間を狙うのは良い判断だけど私相手じゃ通用しないわよ」
「魔王系モンスターをこうもあっさり倒すとは貴様一体何者だ?」
謎のタキシードはそう言った、天使アイリーンは驚き答えた。
「今の魔王系モンスターだったの!? ゴブリンの王の方がまだ強いよ!?」
「ふっ」
それだけ言うと謎のタキシードは闇の中に紛れて消えた。
気配は残っていない。
「あっちゃー逃げられちゃったかー」
天使アイリーンは暢気に言った。
そして動いた。
「うっ」
かなり離れたところで謎のタキシードが天使アイリーンに追いつかれて倒れ込んでいた。
天使アイリーンから逃げられると思ったら大間違いである。
「見事だ、しかしこれまでだ。お前は既に包囲されている。魔王と呼ぶに相応しい力を持つモンスターがダース単位でお前を包囲しているのだ、いくらお前とて……」




