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「有事時の集合場所にするということですか?」
さきほどのオークが聞いてくる。
「そうではない、常に集まっておくのだ。そして戦闘訓練をして敵が攻めてきそうなところや防御力の低い村や治安の悪いところに再配置する」
「ソレナラ強イナ!」
「おお、集合場所をきめておくだけでも強化が見込めるのに戦闘訓練まですればなかなかのものになるんじゃないか」
「そもそも民間人単位でみれば非戦闘員でも単独で人間より弱いやつなんかゴブリンくらいだしな」
「いいなそれ」
会場が沸き立つ。
しかし先程のオークが立ち上がって言ってきた。
「確かにそれなら強くなるでしょうが、我々村長の権限が大幅に減ってしまいます。兵士を出してくれるように貢ぎ物や生贄を貰っていたモンスター村の村長が賛同するでしょうか。それに戦士は有事の際以外は狩りをしたり農耕をしたりしています。彼らを全て一箇所に集めては生活が成り立たなくる村が出てくるでしょう」
おお、まともな意見が出てきた。こいつ軍団長をやってくれないかな。
ここにきている時点で何処かの村の長なんだろうし、統率能力はあるはず。
俺はそれにちゃんと答える。
「参加は強制じゃない、何処とも組まない主義のやつは好きにすればいい」
「ふむ、そうでしたか」
オークは着席した。
「そして戦士を取られたら生活ができないという話だが、うちの居住区Dが空いているのでそこに住んでくれればいい。ABCは増えた集まってきたゴブリンと住む場所が無い流れ着いた亜人や捕らえた人間でいっぱいだからな。居住区Dがいっぱいになったら居住区Fを作ればいい」
「なんと、生活の保護まで考えていたのですか」
それまで喋らなかったリザードマンが言った。
「うちの村は食料は大量生産していて保存食も豊富にあるが兵士は少ない、兵士ではなく保存食の提供でも集めた兵士は村を守ってくれるか?」
「ああ、そりゃ勿論。何かこちらで必要なものを出してくれるのならば」
「……即決では決められないので持ち帰って相談してもいいかな?」
「勿論、それと人間たちがハイミル教という宗教を作っているのは知っていると思う、それの真似をするわけではないが、本当に真似をするわけじゃないんだが、俺のところは闇の新興宗教団体ネフロレピスと名乗っている、うちのところに集まる際には信者ということになってもらいたい」
「ハイミル教の男はチンコを切り落とさないといけないらしいが、まさかそこまで真似するのか?」
完全に真似していると思われているようだ、無理に否定することではないだろう。
「それはない、俺もチンコ切り落としてないし。住人同士の殺害事件なんかは村の掟で禁止されているところが殆どだと思うが居住区での掟は話し合って決めてもらいたい。戦士は送ってもいいけど居住区には住みたくないとか、村の兵士を半分だけ送って残りは自分の村に置いておきたいとか、まあ色々あるだろう。各自決めてくれ」
この場はそれで解散した。
こうとはいったものの、はたして集まるだろうか。




