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6-5

俺に正妻ができた翌日。


「なんだろう、身体に力がみなぎる。テレポートも使える、私とは別系統の能力だけど」


「テレポートの封印も解いておいたよ」


「え? いいの?」


近距離テレポートを試すと普通に使えた、いつも通りの、使い慣れたテレポートだ。


「これを返しちゃったら私がどっかに逃げちゃうかもしれないわよ」


「逃げられちゃったら全てを諦めて忘れて、他のハーレム要因の女の子とイチャイチャすることにするから大丈夫」


「なんかそれはそれで複雑ねでもまあいいわ」


「聖女マルガリータと聖女イリスに挨拶しに行ってもいいけど」


「……」


急に黙り込んだ。


「どうしたの?」


「なんて説明すればいいのよ……今の私が全部正直に話したらあの2人はなんとかなるにしてもハイミル教団的にはヤバイわよ。そもそもハイミル教団は聖女3人と聖女候補しかいないわけじゃなくて帝国や王国との外交官とか居て、神聖騎士団が駐屯する軍事基地が世界中にあって、布教活動している一般人の在家信者と朝から晩まで修行している出家信者が居て、全世界全人類121ヶ国のうち87ヶ国がハイミル教団に国家予算規模で寄付してて、トップにはハイミル様と直接会話できる大司祭様だって居る」


「ふむふむ」


「全人類を敵にまわすことになりかねないわよ」


「世界一大きい国の総人口と総兵数ってどれくらい?」


「ダントツでリグリア帝国ね、総人口8000万人、農耕の時期じゃなければ兵力の動員力は100万人に届く可能性があるといわれているわ、もっとも帝国の本国は遠く海の向こうにあって、船でこの大陸に来るまでには3ヶ月はかかる上にこの大陸の国々もリグリア帝国の侵略は警戒してるけど」


「リグリア帝国がある大陸とこの大陸の間に国がある大陸か、もしくは大きな島ってある?」


「ええ、あるわよ。結構いっぱい」


それならリグリア帝国が本腰を入れて攻めてくることはないな、来るとしても間にある全ての大陸と島に存在する全てを征服してからになる。しかも完全に潰しておかないといけない、中途半端に和平条約なんか結んでおくと侵略を進める国と前後で挟み撃ちになる可能性がある。


そうなれば海上での補給路が絶たれることになる。

海軍においての挟み撃ちを受けることは陸軍が挟み撃ちを受けるより危険なはずだ。

総兵数100万の大国があるにしても本国と離れすぎているなら安全だ。


帝国軍がゴブリンの王国を襲撃して民衆の支持を得ているのは、恐らくハイミル教団のご機嫌取りだろう。


「この大陸の国ってあんまり大きくないんじゃない?」


「十分に大きいわよ、このゴブリン村やこの近くの亜人の村と比べれば、それにこの大陸にはハイミル教団の総本山があるんだし。それにこの大陸にはラーカス王国という大国もあるわ、農耕の時期じゃければ兵士を10万人も集められるのよ」


比較対象の『国家』というのは聖女候補だった頃のデイジーに壊滅させられたラミアの村みたいな規模のものなのか。

あの村程度のサイズと比べたら大きいというそんなレベルで国家なのか。

国家というと勝手にアメリカとか中国とかの規模を想像してたけど、そんなことはないらしい。


というか織田信長なんかは最盛期は20万の兵力を有していたわけで、ラーカス王国の軍事力の規模というのは織田信長の半分くらいということか?

海の向こうにはでかい国があるらしいが船で3ヶ月とか遠すぎるし。


「この大陸には1000万人も人が住んでるのよ、それにゴブリンの王みたいななんかよくわからないモンスターも居るし」


「アプリコットがなんとかハイミル教団を説得して、というのは無理?」


「無理よ、そこまでの発言力はないわ」


「そこまでの発言力がないのにこうして闇の新興宗教団体ネフロレピスの幹部になんかなったら戻ったら処刑されるんじゃない?」


「連れてきたのは貴方でしょうが、何度も言うけど私はここに連れてこられた時点で生存できるかどうか綱渡り状態なのよ」


「俺が居るから大丈夫、とりあえずこのゴブリン村を強化するか。傭兵たちも教徒になってくれたし」


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