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改めて周囲を見る。
男ばっかり20人くらい、部屋は正方形に近い長方形、部屋は明るいが光源は不明、蛍光灯も明かりを取り入れる窓も無いが明るい、完全に密封されている部屋だが換気扇のようなものはない。
よく見るとみんな俺と同じナイフを持っている。
年齢は様々だが未成年と思われる男は居ない、若くても20代後半くらいで上は50代くらいだろう。
日本人っぽくない外見の人も居るが殆どは日本人だ、話をしている人も居る。
話している言葉は日本語のようだ。
そもそも俺は何時からここに居る?
腹の減り具合でわかるか。
と、思ったのだが腹が全く減ってない。喉も乾いてない。
男なんかに話しかけたくはないが近くに居るやつに話しかけてみるかと動き出そうとしたところで部屋の中央に突然、何者かが出現した。
スキンヘットの頭、筋肉ムキムキの身体の大男だった。
また男かよ。
上半身裸で白いズボンを履いている。
手首、肘、足首、足の親指に金ピカの装飾品を巻きつけている。
背中をピンと伸ばして空中にあぐらで座っている。
顔をまっすぐ前に向けて視線だけを下に向けている。
「諸君、お待たせした」
小さい声だというのにとてつもなくよく通る声で、よく聞こえる声だった。
何者だ? こいつ。
周囲はザワついている。
「実はここに居る君たちは既に全員死んでいるんだよ」
その一言でザワつきが止まった。
そして再びザワつきだした。
「そしてこれは、俺が遊びでやっていることなんだが……お前らはこのまま天国や地獄に行く予定だったが特別に生前の肉体を再構成した。1人だけ別の世界で本当に生き返らせてやろうと思う」
「1人だけ?」
言ってみた。
なんか空中に浮かんでるハゲがこっち見てる。
目が合った。
目をそらしたら負けかなと思うのでそのまま見つめ合う。
そんな中、向こうが先に目をそらす。
向こうが先に目をそらしたら俺の勝ちだな。
「そう、1人だけだよ。手元にナイフがあるだろう? それで最後の1人になるまで殺し合いをしてみろ、ナイフ以外のもので殺してもいいぞ。俺は慈悲深くてなおかつ善良で優しくてフランクな存在だから最後まで残った奴には何か望むものをプレゼントしてやろう、なんでもあげられるわけじゃないができる限り要望には答えよう」
大男は両手を掲げ、淡々と言った。
「さ、殺し合え」
辺りは静まり返っている。
みんな困惑の表情を浮かべている。