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3-3

「つまりだよ、戦争を変えたものっていうのは火力と機動力なんだよ」


俺は偉そうに語っていた。

ミリオタがミリタリーについて語る時は何故かそうなってしまうのだ、こればかりはしょうがない。大目に見て欲しい。

目の前にはゴブリンの王が居る、天使アイリーンはどっか行ってる。外ではゴブリン達が村を作っている。

ついでに神殿も壊れた部分を改修してもらっている。

今俺とゴブリンの王が座っている椅子と目の前にあるテーブルはゴブリン達が作ってくれたものだ。


「火力と機動力ですか?」


「その通り、俺が住んでる世界では最初は戦争と言えば『こんぼうとか投石で武装した男達の混戦』が全てだった、だが革命が起きた、古代戦車チャリオットの登場だ。馬でひくこの戦車の機動力とそこから放たれる弓矢は混戦が全てだった戦争を全く違うものにしたんだ」


「なるほど、チャリオットの数が軍事力を決める時代に突入するわけですな」


「弓矢と馬、これの次にやってきたのが鉄砲とガソリンエンジンだ」


「両方とも見たことがないものですね、大砲ならわかりますが」


「……鉄砲というのは弓矢の威力が大きい版だ、火縄銃の頃の鉄砲はまだまだだったがガトリングやアームストロングの頃から戦場を変えた、それまで矢や鉄砲が飛んできても普通に突撃してたのが鉄砲の威力が有りすぎて地面を掘って進む塹壕戦になったんだ。そしてガソリンエンジンの登場だ、これのおかげで戦車、装甲車、戦艦、潜水艦ができた」


「ふむふむ」


「その次が核兵器と大陸間弾道ミサイルだ、これは核兵器は火力が高すぎて使えなくなってしまった、全面核戦争で人類滅亡なんてのもよく言われたものだった。ミサイルは普通に使ってるけど」


ゴブリンの王は話を聞き終わると、言った。


「つまり戦争のスタンダートが変化した、ということはガソリンエンジンもガトリングも装甲車もミサイルもそれほど時間がかからず発明国だけでなく敵国にも行き渡ってしまった……ということですな?」


「ああその通り」


「創造能力で兵器を作るという話でしたが仮に作るとしたら敵の手に渡ってもなんとかなるようなもの、つまり劣化版の作成が難しいか、そもそも運用しずらいようなものがよろしいかと、それと馬で動き弓兵がのる戦車でしたら既に実用化されています」


「そうか、敵の手に技術が渡ることを考えて微妙なの作ってもしょうがないか、それに武器は運用という問題がある」


「運用ですか?」


ゴブリンの王は運用に興味があるらしく目を光らせている。


「仮にここにナイフが置いてあったとしよう、置いてあるだけでこっちに危害を加えてくると思うかい?」


「いいえ思いません」


「そう、武器はただ置いてあるだけじゃ駄目なんだ。ナイフならこれを握る握力、刺す腕力、刺す距離に近寄る脚力、相手との位置関係を把握する視力、近寄って刺せるかどうかを見極める判断力……様々な能力がなきゃ武器として使えない。ガトリングもミサイルも装甲車もそれぞれに違う運用方法がある。」


「なるほど……ということはつまりただ火力があるだけとか、ただ機動力があるだけという相手なら運用のほころびを突けば簡単に崩せるということですな」


「ああ、そういうことになるな。上手くやれば完封できる」


その言葉にゴブリンの王はちょっと嬉しそうにしていた。

そこで俺は言った。


「完封するのに重要な要素は何だと思う?」


「それは……先手を取ることでしょうか、あるいは奇襲とか」


「大体合ってる、ではどうやれば先手を取ったり奇襲をしたりできると思う?」


「ふむ、先程の話の流れを考えると機動力ですかな。2つの意味で、1つは馬力、ガソリンエンジン、大陸間弾道ミサイル、どれも徒歩兵士に対する馬、騎馬隊に対するガソリンエンジンの戦車、ガソリンエンジンの戦車に対する大陸間弾道ミサイル……などの兵器の面、もう1つは索敵と奇襲、敵より先に敵を発見し防御行動を取られるより先に攻撃を成功させる」


「おお、完璧じゃないか」


「いえいえ私などまだまだ、所詮はゴブリンの浅知恵でございます」


「前に話した通り、まず最初にやらなきゃならないことはガードとディフェンス、警戒と防御だ。これを疎かにしてるとそもそも生き残れない……だがおおよそ戦おうとするものがこの2つを疎かにするはずがない。警戒してても無駄な機動力を持つか、防御を固められてもなお貫ける火力か、どっちかは必須だ」


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