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【WEB版】退屈嫌いの封印術師  作者: 空松蓮司@3シリーズ書籍化
第六章 封印術師と鎖紋の剣
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第百五十九話 総大将

 それはそれは大きな亀が青い海を泳いでいた。

 亀の甲羅は上に一軒家が建てられるほどの大きさだ。甲羅の上にはテントが張ってあり、テントの前には白いテーブルと白いデッキチェアがある。デッキチェアの上では水着の女性が寝そべっていた。

 毛先の曲がった紫色の長髪。サングラスの奥で光る赤色の瞳。魅力的なボディライン。

 異色且つ隙のない容姿は美しさを通り越し、どこか妖しげな雰囲気すら感じる。


 聞こえるのは鳥の鳴き声、浴びるは温かい陽の光。

 下にあるのが亀ではなく砂浜なら、海水浴に来たナンパ待ちの美女に見えるだろう。

 ジュースを飲みながら、女性はテーブルの上にある青く光る水晶に耳を向ける。


『……あなたの言う通り、シール=ゼッタを選抜試験に誘導しましたよ。()()()


 水晶の先から聞こえるのは煙男(ミスト)の声だ。

 ギルド総大将は口角を上げる。


「ありがとミッス君」

『どうしてシールを選抜試験に? もし、シールが言うことが事実なら、試験なんてやってる場合じゃないでしょう』

「ここでミー達が『いつも通りの行動』をしなくなったら、ミー達とシー君達が接触したことがバレちゃうでしょ。シー君の居場所を騎士団に知られるわけにはいかない。シー君はミー達のキングだからね。それもただのキングじゃない、前線に出さなきゃいけないキングだ。慎重に事を運びたい」


 総大将はサングラスを外し、赤い瞳で水晶を見る。


「そろそろ騎士団の監視員が〈ユヴェイオン〉に来る頃だ。彼らを片付けるまで、シー君は隠す」

『やっぱり今年もアレを出すんですね。迷宮を内包した()()()()()()()()()()を……」

「あの子の中なら絶対に安全でしょ」

『……安全ですか? 魔物の巣窟ですよ。下手したら死にます』

「シー君を舐めちゃダメだよ。短い期間とはいえ、あのアイ君の弟子をやってたんだから」


 総大将はデッキチェアから背中を離し、立ち上がる。


『カーズ=グラシオンはどうします? 一応、アイツも一次試験通しましたけど』

「彼は……どうでもいいかな。()()()()()()()だから。神呪の子かアイ君の孫娘なら全力で保護するところだけどね。ミッス君の判断に任せるよ。使えるようなら〈ヴァンハーツ〉に入れちゃって」

『了解』


 水晶から輝きが消え、通信が途絶えた。

 総大将はググッと背筋を伸ばし、〈ヴァンハーツ〉のある方角を見る。


「あー! 早く着かないかなぁ!」


 総大将は腕輪を右腕に付け、腕輪に嵌められた宝石を指で触れる。すると一瞬で水着の上に()()()()()が羽織られた。

 


「……会うのは()()()()だなぁ。ミーのこと覚えてるかなぁ、シー君」

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