第百四十五話 第一部 エピローグ
ガルシア大陸全域に、念写画付きの7枚の手配書が配られる。
レイラ=フライハイト
DEAD(死亡状態) 懸賞金1000万ouro
ALIVE(生存&戦闘不能状態。四肢欠損問わず) 懸賞金2000万ouro
シュラ=サリバン
DEAD 懸賞金なし
ALIVE 懸賞金1億5000万ouro
アシュ=サリバン
DEAD 懸賞金なし
ALIVE 懸賞金1億5000万ouro
ソナタ=キャンベル
DEAD 懸賞金5000万ouro
ALIVE 懸賞金5000万ouro
アドルフォス=イーター
DEAD 懸賞金1億ouro
ALIVE 懸賞金1億ouro
ニーアム=ノブル
DEAD 懸賞金4000万ouro
ALIVE 懸賞金4000万ouro
シール=ゼッタ
DEAD 懸賞金7億5000万ouro
ALIVE 懸賞金10億ouro
罪状
皇女暗殺未遂
国家反逆罪等々……。
情報提供にも褒賞あり。
シールおよび、シールの仲間たちがガルシア大陸全域にその名を轟かせるのはそう遠い話ではない。
この手配書を機に、彼らはこう呼ばれることになる。
――“ゼッタ一味”と。
◆ ◆ ◆
「……まだか」
アドルフォスに飛ばされてから夜が明け、朝が来て、また夜が明けた。
弾き飛ばさた瞬間こそ物凄い速さで打ち上がったが、数分経たずに速度は落ちはじめ、今はもう普通に走るのと同じぐらいの速度で飛んでいる。この浮遊に関してはアドルフォスの魔術によるものじゃなく、多分この錬色器の能力なのだろう。錬色器から湧き出た風がバリアボールを押しているからな。
まだ着かないのか……。
バリアボールの中は結構快適だ。空気が美味しい。
けれどこんな足すら伸ばしきれない空間にずっと閉じ込められるのは正直キツイ。退屈だ。
あー、長い。
そわそわしてくる。
やる事が多いのに、こうも暇だとな……。
オレのやるべきことを再確認しとくか。
・騎士団に匹敵する戦力集め
戦力か……騎士団のことが嫌いな組織でもあれば話が早いけど。
騎士団に恨みがある連中は少なくはないはずだ。まずはどっかの街に行って、情報屋を見つけよう。情報屋はそういう組織に詳しいはずだからな。
・凰帝の名前探し
正直、名前を探せって言われてもな。
手掛かりなし。一番これが怠そうだ。
・オレ自身が強くなること。
わかっている。他の人間の手を借りてばかりじゃ駄目だと。
絶対に自力で乗り越えなきゃいけない場面が多く存在すると。
他人の力を頼るのは悪い事じゃない。
けれど、頼り切るのは悪い事だ。
帝都ではオレ個人の力不足のせいで、どんどん状況が悪い方へ進んでいったからな。
『封印術師は天敵だが、お前など……到底奴らと同格ではない』
凰帝の言葉、
『自覚しろ。お前は弱い』
ニーアムの言葉、
『強くなれ』
アドルフォスの言葉。
突きつけられた現実。
オレはそこらの魔術師より強いはずだ。平均的なレベルは越していると思う。けれど、大隊長や親衛隊、再生者、あの上次元の連中に混ざれるほどの強さはない。
爺さんの弟子として、オレは――弱いんだな。
「うおっ!?」
グオン! と身体が下に引っ張られた。
バリアボールは軌道を急に変え、速度を馬鹿みたいに上げながら落下を始めた。
赤い火花がバリアボールと空気の間で発生する。
雲を上から突き抜け、大陸にどんどん迫る――
「おおおおっ!? だ、大丈夫なんだろうな!?
アドルフォスゥゥゥゥゥゥ~~~!!!!」
バリアボールの耐久値を心配しつつ、全力の魔力を錬色器に込める。
すぐ真下に、水たまりが迫る……!
バシャン!!!
真下にあった水を弾き飛ばし、バリアボールは地面に激突し破裂した。
「いって!?」
バリアボールの中から投げだされ、後頭部を地面にぶつける。
すぅー、と水がオレを中心に集まって来た。
「なんだ? ここ、湖か?」
バリアボールが激突した衝撃で散った水が、オレの足元に集まってくる。
手元でアドルフォスに渡された錬色器が粉砕した。錬魔石ごと粉々だ。
「使い捨てって言ってたもんな……」
錬色器が光の粒となって消える。
「え~っと?」
なんだこの湖は。
湖にしては浅い。水の深さは膝下ぐらいだ。
水面は鏡のように周囲の物体を写す。
「あっついな……」
首に当たる陽の光。一気に夏が来やがった。
虫のうるさい鳴き声が耳をつんざく。
優雅に鳥が空を飛んでいる。
顔に脂汗が染みた。
湖から水を手に溜めて、顔を洗う。
「さっぱりした……」
帝都に行ってからずっと慌ただしかった。空を飛んでいる時も心は落ち着かなかった。
ようやく、落ち着く場所に来れたな。
前を見る。広がる湖、湖を越えた先は森、遠くに山も見える。
左右の風景もほとんど前の風景と同じ。
空は晴天、白い雲が心地よさそうに飛んでいる。
濡れた前髪を右手で上げながら、後ろを確認する。
「なっ……!?」
湖の中心に、それはあった。
「城……か?」
人気がまったくない、何百年前に建てた物かもわからない、
荒廃した城だ――
帝都にあった皇城に比べるとこじんまりした城だが、どこか神秘的な空気を感じる。教会みたいな雰囲気だ。
人間どころか、生物の呼吸一つ聞こえない城。入らなくても、中に虫すらいないのがわかる。
「アドルフォスがここに飛ばしたんだ。
なにもないってことはないよな……」
オレはなにかに誘われるように寂れた城に歩み寄っていくのだった。
この古城から、オレの物語の第二幕が始まる――
第五章 終幕
た、大変でした……!
第五章は他の章に比べて執筆カロリーが尋常じゃありませんでした。文章量と言うよりは、展開的なことで大変でした。何度か挫けかけましたが、読者の皆様方が感想欄で応援してくださったので何とか書ききれました。ありがとうございます!
ここからはお願いです。
僕の処女作である『退屈嫌いの封印術師』第一巻が発売まで一か月となりました。
ここから一か月が勝負の時間なのです。
もちろん、僕自身、最大限の宣伝をするつもりです。ですが、やはり読んでくださった皆様の声と言うのが本当に高い宣伝力を誇るのです。
感想はもちろん、特にレビューなどは本当に凄まじい宣伝になります。レビューに関しては1行でも2行でも、もしくは長文でも気軽にお願いします。現在4件ほど素晴らしいレビューを頂いているので、どういうことを書けばいいのかわからない方は参考にしてみてください。本当に、よほど悪質で無ければどんなレビュー文でも飛び上がるほど喜びます。
そしてブックマークやポイント評価が積み重なり、ランキングなどに載ると爆発的な宣伝になります。
もしお手数でなければ、後書き欄の下にある『ポイントを入れて作者を応援しましょう!』のところで、星を青くしてくださると助かります。同じく後書き欄の下にある『ブックマークに追加』というところから拙作をブックマークに入れてくださると助かります。どちらも入れたからといって、皆様に不利益になることは絶対にありません。
皆様の力で、『退屈嫌いの封印術師』の背中を押してくださると、本当にありがたいです。
ここからは今後の連載予定です。
少し時間が空きます。第二部『帝都奪還編』開始は第一巻発売直前、2月のはじめぐらいになるかと思います。
今までと同じように、一度はじまれば章の終わりまでそこまで休む気はありません。
執筆の調子が良ければもっと早く更新を始められるかもしれません。今月はやる事が多くて、こればかりは本当に調子次第です。どれだけ執筆が遅れても、2月頭には確実にスタートします。
ここからはTwitterの活動記録です。
現在、僕のTwitterでは『封印術師』のキャラクターデザインを公開しております(Twitterは作者マイページから飛べます)。
是非とも、Twitterなどでも応援していただけると幸いです。
今後も鋭意執筆していきますので、どうかよろしくお願いいたします。