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6 社交界デビューの夜

社交界デビューはつつがなく終わり、にこにこと馬車に乗る。

両親に「お友達ができたよ」というと、とても喜んでくれた。


ついでにダンスパーティーも上手く回避できたことに心でがっつぽーずをする。

なんやかんやで中庭でずっとお話してたから。

水色のドレスを着てる子はたくさんいたから、全然目立たなかった。


家に帰ると、お兄様におかえりの抱っこをされて

「社交界は大丈夫だった?」

と深刻な顔で質問された。


「全然平気だったよ。お友達もできたし楽しかった」

「ダンスの時はどうだった?」

「…あのね、こっそり中庭に隠れてたの。お友達と。」


ひそひそと話してにこっと笑う。

あれ?なんで微妙な顔をしているんだろう。


「プリシラ…。これからは極力人目のあるところにいてね。女の子だけで暗がりにいたら危険なこともあるかもしれないから。」


あ、なるほど。確かに変質者とかいたら大変だったかも…。


「うん。わかった…」


しゅんとして言うと、いいこだねと、頭をなでなでされた。


****


「プリシラ・ウィルソンはどこにいたんだ…?」


場所は変わって、お城の中。

第一王子のエリック・バリー・エドマンド10歳は、そのまだ短い人生の中で、初めて上手くいかないことに遭遇した。


「会場には来てたみたいですがねえ…」


目をしょぼしょぼさせたじいやが言う。

御年80歳。耳も少し遠い。全力で優しくしたい側近だ。


「ですが王子。社交界デビュー時の、王子へ続くダンスの行列はさすがでございました。」


きりっとした側近が言う。真面目眼鏡と呼んでいる。


「ああ、そうだろう!特訓してよかった!」


エリック王子は、プリシラの兄エドガーにとても憧れていた。

エドガーの社交界デビューは伝説だ。


参加した全女性がダンス相手になりたがり、あわやパーティーが中止になるかという大惨事になったらしい。


それだけでも前代未聞というのに、大人達もどうしたらいいかわからない中、余裕の微笑みと機転で、希望者全員と踊るという偉業をなしとげた。エドガー10歳の時である。


あれから3年。今では、曲の途中でも鮮やかに入れ替わり踊れる独特のステップが、貴族のたしなみとして定着している。


そして巷の男子の言いたいセリフは

「ぼくと踊りたい人は壁際に並んでね」だ。

社交界デビューで言えてとても嬉しかった。


「でも俺はまだまだだ。エドガーには男子も並んだらしいけど、俺には女子すら全員ではなかった。プリシラはいなかったはずだから…」


見目よし、生まれよし、だがまだ足りない。

きっと心や魂といった内面が大事なんだ。

憧れが目標になり、エリック王子にとってとてもいい影響を与えている。


「プリシラに会ってみたいな。学園に行ったら会えるかな…」


「そうですね。少なくとも王子が12歳の時、エドガー様は15歳。まだギリ在学中です。もしかしたらエドガー様にも会えるかもしれませんよ?」

「え、あ、あの…エドガーに…!?」


全然気づかなかった…。社交界デビューに夢中すぎて。


そして憧れの社交界デビューを終えて若干燃え尽き症候群になりかけてたところだった。新たな目標に心が燃える。


****


「う…!」

「ん?どうしたの、お兄様?」

「いや、なんか悪寒がして…」

「風邪?気をつけてね?」

「うん…そうだね…」


そしてエドガーにとっては新しい心労となるかも?しれない。

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