29 ◆エドガールート デート当日
ここから◆エドガールートです
今日はエドガーとデートの日。
今日行く童話の国はたぶんアスレチック系だから、マリーに動きやすい感じの可愛い格好をリクエストしたの。
だから今日は、巻きスカート風のキュロットに、ポニーテールなんだ。
歓談部屋に行くともうエドガーも準備が終わってた。
「ぐは!ポニーテール…だと…!?なんてことだ…普段のプリシラが最強と思っていたのに…まださらに高みがあるのか…」
なんかいつものエドガーじゃない。
普段はもっとしっとり落ち着いた感じだった気がするんだけどな?
でもとても喜んでるみたいだからよかった。
「エドガーお兄様もいつもより動きやすい感じだね。こういう格好もかっこいいね」
「ありがとう、プリシラ…。もうぼくはこの世に未練がないよ」
「なんで!?死んだらダメだよっ」
うきうきな私はまだ家の中なのに「ねえエドガーお兄様、手を繋ごう?」っておねだりして、歓談部屋から手を繋いで一緒に歩く。家の人達がにこにこと手を振ってくれるから、私ももう片方の手を振りながら「いってきまーす」と言って家を出た。
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馬車乗り場に行くと、御者兼護衛の2人の格好がいつもと違う。サイモンはデニムと綺麗めなTシャツをさらっと着こなしてるし、メアリーもロングスカート姿でお姉さんっぽい装いになってたんだ。
でも武器を隠し持っているし、中に鎖かたびら着てるらしい。後でメアリーにこっそり見せてもらった。忍者みたいなやつだよ。
「あれ?サイモンとメアリーもお洒落してる!どうしたの?」
「ふふ、エドガー様のご意向ですよ。今日の私とサイモンは恋人のふりをして、お2人をこっそり警護しますね」
「わあ、そうなんだ。じゃあ2人も恋人のつもりで楽しんでね」
「はい、ありがとうございますプリシラ様」
メアリーと微笑み合ってから、エドガーに目で「ぐっじょぶ!」と言う私。エドガーもいたずらっぽく笑っている。
だってサイモン、メアリーのことすごく好きそうなんだよ?さっきのメアリーの言葉にも顔が赤くなっていたし。
そしてメアリーもそんなサイモンをからかうのがいつも楽しそうなんだ。
エドガーが卒業したらそんな毎日が変わってしまうな、って思ってたから…2人本当に付き合っちゃえばいいのにな。
そして、私達が2人きりになるという目的を達成しつつ護衛の恋の後押しまでしちゃうなんて、さすがエドガー。
なんか頭いいよね。なんで私、実の兄妹と思ってたのかな?確実にウィルソン家の遺伝じゃない。
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「え、プリシラ!?嘘、すごい、来てくれたのー?」
「へへー、レイチェル久しぶり!童話の国すごいことになったねえ」
「プリシラのおかげだよう。なんにもない田舎と思ってた領地の、素敵なところを沢山一緒に探してくれたからだよ…」
そんな風に言ってくれたけど、私達は遊んでただけなんだよね。森の中でさ。だからね、ただただ、よかったね、頑張ったねって思う。
「そんなアイデアからここまで大きくしたのはレイチェルだよ。レイチェルが頑張ったんだよ。人沢山いるねえ」
「うん、ありがとう…領地潤ってきたんだ。お客さんだけじゃなくて、領民も増えたんだよ、今は仕事も沢山あるからね」
そんな話をしながら、入場口にいたレイチェルと抱き合って再会を喜んだ。元気そうでよかった。レイチェルは学園に進学せずに、ご両親を説得して領地の大改革をしてたんだ。今では学園でもとても話題になってるテーマパークなんだよ?
入場口付近からね、木にリスがいたりするの。
可愛い小鳥達もさえずっている。
レイチェルからもらったエリアマップを見ると、動物の森とか、ボートに乗れる泉とか、川魚つかみ取りとか、いにしえの洞窟とか、色んなエリアがある。
色々回るのが楽しみだなあ。
レイチェルにね、エドガーを紹介したら
「プリシラが絶対に会わせたくない理由がわかった…」
って言ってた。
レイチェルは仕事があるからって入口で別れたんだけど、効率的な回り方を教えてくれたよ。時間帯によっては空いてるところとか。やっぱ持つべきものはテーマパークを自力で作るお友達だね。
「ん?プリシラもういいの?」
「うん、もう大丈夫。エドガーおまたせ。レイチェルに回るコツ教えてもらったよ」
「そっか、レイチェルさんありがとう。これからもプリシラをよろしくね」
「はい、こちらこそ。2人とも楽しんでいってらっしゃい」
昨日、エドガー短編も公開しました。
よかったらそちらもご覧ください。
「私の憧れた伯爵令息はとても残念です」
というタイトルです。




