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23 ◇エリックルート 付き合いはじめて

ここから◇エリックルートです

私「お付き合い」って、ちょっと怖いな、って思ってたんだ。


だって私ね、お父様やお母様に「何かあった時に傷つくのは女の子だ」とか「男の人には気をつけなさい」とかすごい言われて育ったの。お兄様にも「暗がりに行ったらダメだよ」とか、よく言われてたし。そしてその言葉が何を意味してるのかは、ちゃんとわかってる。


だからエリックにもね?なんで告白されたのに応えられなかったのかの理由はたぶん、お付き合いが怖かったからなの。って正直に打ち明けたんだ。少し恥ずかしかった。


でもね、エリックに「好きだ」って言われたことは、とても嬉しくて…告白された時、心が踊り出して体の外に出てどこかに行っちゃうんじゃないかと思ったの。なのに「付き合おう」の言葉で現実に引き戻されて、幸せな気分が急降下して逃げたくなってた。だから、エリックのせいじゃない、私の心の中の問題なんだ。


そしたら、エリックがね、結婚するまではそういうことはしないよって言った。そして「付き合ってその先の結婚を考える時、それでも怖いってなった時は、ちゃんと言ってほしい。そしたら俺は、プリシラの心が追い付くのを待つから」って言ってくれた。


私嬉しくて泣いちゃった。そして、私の涙にびっくりしたエリックに泣きながら笑って抱きついたの。

私を好きになってくれた人は、すごくすごく素敵な人だね。ねえ、そう思わない?


****


エリックと両思いになってから少しだけ変わったことがある。


あ、そういえばね、先に大きなほうの変化を言うと…クラスみんなでまた前みたいに遊ぶようになったんだ。今は前まで流行ってたダンスから、少し派生した遊びをみんなでしてる。どんな遊びなのかはね、なんか近々、別のタイミングで話す気がするよ?


ふふ、この新しい遊びもすごく面白いんだ。実生活でも役に立つし。

巷でも話題になってね、この前リポーターがきてたよ。


そんなわけで、クラスでみんなと話したり遊んでたりしてる時にエリックとふと目が合う時があって、その時が前よりもちょっとだけ特別になった。


周りにわからない程度に少しだけ微笑み合うの。私とエリックにしかわからないくらいに。


私この瞬間がすごく好き。だからしょっちゅうエリックのほう見ちゃうんだ。


あとエリックがね、私の手や髪によく触れるようになった。

教室移動とかでたまに訪れる瞬間的な2人きりの時に。

そして、たまに、頬にキス。

私、初めて頬にキスされた時にびくっとして、そしたらエリックがこう言ったの。


「…俺はこれ以上進まない。頬にキスも早かったかな?ごめん」


そして優しく微笑んで、私の髪をとても大事なものを扱うように撫でたんだ。これも、エリックにとってはお友達じゃない距離。こんなに優しく温かい手を、私は一人占めしてるんだって思うと、とても心がそわそわする。


「ううん、頬にキスは好き。…すごく嬉しいからこれからもして?」

「じゃあ次はプリシラからして?」


そう言われて私はエリックの顔にそっと近づいて、私がエリックのこと好きな気持ちが、全部伝わりますようにと思いながらキスを返した。


「今度さ、プリシラを家に招待するよ。家は少し特殊で…でも、隠しておくわけにはいかないから…」

「うん、わかった。…大丈夫だよ、エリック」


エリックが緊張してるのを感じるから、私は安心してほしくて微笑む。私はエリックのお家のこと知らないけど、エリックの素敵なところは沢山知ってる。


ちゃんとエリックを見てるから、大丈夫だよ。例えば、ものすごく貧乏とかでもいいよ?

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