↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
21/40

21 ◆エドガールート 小さな変化

昨日「これからは、お兄様ではなく一人の男の子として見る」と約束をしてから、私はお兄様の呼び方を変えた。


まず、2人きりの時は、エドガーって呼ぶの。


あとね、まあ家の人達はさ、私がこの前大騒ぎしたから本当の兄妹じゃないこと知ってるけど…学園の人達とかは知らないでしょ?それなのにうっかり外でエドガーって言っちゃったら困るかもと思って。


だから、周りに人がいる時の呼び方も変えるの。「エドガーお兄様」って。そしたらうっかりエドガーって呼んじゃっても簡単にごまかせる。


呼び方がエドガーお兄様になった理由を、誰かが聞いてくるとかは特になかった。

家の人達はこの2日間の私の取り乱しっぷりを見ていたから…何らかの心境の変化かな?くらいに思ったんだと思う。


馬車に乗る時も、私達が今まで通りの仲良しに戻っていたから、私の護衛のメアリーも、エドガーの護衛のサイモンも、とってもにこにこしていた。


「エドガー」って初めて呼んだ時、エドガーは「こんな日がくるなんて、夢みたいだ…」と言って、とても嬉しそうだった。

エドガーは、とっても沢山の人を夢中にさせる素敵な人なのに、全然欲がない。


****


「でもさ、意外と2人きりになれるところってないよね?」


馬車の中で私はついぼやいてしまう。せっかくエドガーって呼ぶって決めたのに…。


だってさ、家の中って意外と…どころか2人きりになれるところは限りなく0。

私の部屋には侍女がいて、エドガーの部屋も侍従がいる。


家には色んな役割の部屋があるけど基本出入り自由で誰かしらいる。例え誰もいなくても、急に誰か来てここで何してるの?って言われたらなんて答えたらいいのかな?


「人払いの言い訳も難しいし…。もっと2人きりになりたいのに、馬車以外だとどうしたらいいんだろう?あ、これからは毎日一緒にお勉強するのはどうかな?そしたら集中したいから2人きりにして?って言えるかな?ね?おにぃ…エドガー?」


まだ呼び慣れてないから間違っちゃった。失敗にちょっと照れながら小声で名前を呼び直す。


あれ?そういえばさっきから私ばかり話してる。なんで反応ないのかな?

エドガーを見たら顔もまったく明後日のほうを向いている。


「ねえねえエドガー何見てるの?こっち見て?お話しよ?」

腕をつかんでゆさゆさする。


「…ときめきで死にそう」

「なんで!?」


****


教室についたら、エリックがわざわざこっちにきて、ちょっと緊張した面持ちで「おはよう、プリシラ」と挨拶した。

いつもはそれぞれの場所からおはよーって言うのに、どうしたのかな?

不思議に思いながらもいつものように「おはよ、エリック」と笑って挨拶を返す。


そうしたらね、何やら話したいことがあって一番長い休み時間に別の場所に一緒に来てほしいって言うんだ。

エリックは大切なお友達だから「もちろんいいよ」と言った。


そうして私達はどこに行ったと思う?私はとても素敵な場所に連れて行ってもらったの。

なんだか特別な手を使って、今日1日は学園の屋上をこっそり開放してもらったんだって。


前日の雨が大きな水溜まりになっていて、屋上いっぱいが青空を映すキャンバスのようで、とても綺麗で…。

私は、エドガーにも見せたいな、って思った。

そしたらどんな顔をするかな?考えるだけで、ふふってなる。


水溜まりに映る青空と歩く度に広がる波紋を見ながらゆっくりと歩く私は、エドガーと私の関係はみんなに秘密だけれど、エリックだけには言ってもいいかな?って思ったんだ。


誰かに言いたかったし、エリックのことはとても信頼している。

だから私は足元に広がる青空を見つめたまま、入り口に突っ立っているはずのエリックに話しかけた。


「ねえ、エリック。私の秘密、聞いてもらえる?」

「うん、いいよ。なに?」


「ふふ、あのね…なにから話したらいいかな。昨日と一昨日ですごくたくさんのことがあったの…。まずね、エドガーお兄様と私、血が繋がってなかった…。そして、私のこと、ずっと、1人の女の子として好きだったって、言ってくれたの」


顔を上げて、エリックのほうに振り向く。

息を飲んだエリックが見える。そうだよね、普通にびっくりするよね。


「…それで、プリシラはどうしたの?」

とエリックが質問してきて、私はこう応える。


「これからは、2人の時だけ、エドガーって呼ぶことにした。ずっとお兄様と思っていたから、恋なんてわからないけど…これからはお兄様じゃなくて、一人の男の子として向き合うって約束したんだ」

「そうか…」


「ねえ、屋上の鍵が開いてるってこと、みんなに内緒って言ってたけど、放課後エドガーお兄様にだけ、教えてもいいかな?とても綺麗だから喜ぶと思うんだ。…あ、ごめん、元々エリックが私に話があるって言ってたのに、私ばっかり話してるね。どうしたの?」


そしたらエリックは、もう話すことがなくなっちゃったんだって。

あと、放課後になってもしばらく開いたままにしてくれると約束した。


今日から6時更新にしました。よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。