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17 ◇エリックルート 距離は遠く

今日の出来事は、私、お兄様にだけ話したの。

だってこんなこと、クラスメイトには話せない。

でも、とても一人では抱え込むこともできなかったから。


私は今日、屋上でエリックに告白されたことと、それに応えることができなかったこと、そしてたぶんもう、エリックと今までのようなお友達には戻れないことを、馬車の中でぽつぽつと話した。


「でも、エリックのことは私、たぶん好きだったの…。こんな風に壊れちゃうなら、付き合ったほうがよかったのかな…?」


そしたら今も楽しいまま側にいられたのかな。


「ダメだよ、プリシラ。…エリックと付き合うことがじゃない。自分の心をごまかして、心と違う選択をすることが、ダメなんだ…」


私は顔を上げてお兄様を見つめた。とても真剣な顔をしていた。


「プリシラが心から思うことなら、プリシラの大切な人達はきっとわかってくれる。どんなに辛くても必ず立ち直る…。だから、だからね、プリシラ…この先もどんな時も何があっても、心が伴わない選択だけはしないって約束して?」


そうやって、とてもとても苦しそうな顔で、必死に言うんだ。

だから私は頷いた。


この言葉は私の魂の奥底に、しっかり刻まれた、となぜか思った。

きっと私、この先また他の誰かに転生しても、同じ世界で別の生き方したとしても、きっとこの約束だけは守るんだ。


****


翌日の学園ではね、エリックと一応挨拶はしたの。

でも、今まで私達、どうやって会話してたんだっけ?


これまではみんなでダンスをして遊ぶのが流行っていたのもあって、男女みんなで遊んでたけど…。

お兄様とダンスができたことでみんな満足しちゃったのか、自分達のやってたのとお兄様のは全然違うって気づいちゃったからなのか、なんとなくブームも終わってしまった。


そして、男の子と女の子って、好きな話とか興味を持つことが違ったりするもんね?

だから自然と、男子は男子、女子は女子って、なんとなく別れてしまって、余計に、エリックとの距離は離れてしまったんだ。


私は女の子のグループに入って、誰かが家から持ってきたファッション雑誌を見ながら、どれがいいとかこれも可愛いとかそんなような話をしてる。


エリックのほうを見てみると、あのダンスのステップは攻撃回避に使えるか?みたいな検証を男子みんなでわちゃわちゃしてた。

私がそんなのを見てると、私の隣の席の女の子が

「男子はあほだねー」とのんびりと言ったんだ。


私は結局何も動けなくて。屋上の後悔を引きずりながら変わってしまった毎日を過ごしてた。


でもなんとなくね、年配の先生が運ぼうとしてた教材が重そうだったから「私手伝いますよ?」って声かけたら「俺も大丈夫です」って声がすぐ後ろから聞こえて、先生が「じゃあ2人で運んでもらおうかな?よろしくね」って言っていなくなってさ。


私は久しぶりに…すごくすごく久しぶりに、間近でエリックを見つめたんだ。


****


「あ…じゃあえっと…プリシラはこっち運んで?」

って言ってエリックはものすごく軽いものを渡してくる。


「え!だめだよ、エリックのほう重すぎるもん。私全然まだまだ持てるから、一緒に持とう?」


そう言ったらエリックが笑った。久しぶりの笑顔だあ。

私もすごく嬉しくなって笑顔になる。


「あー、なんか、いいな、こういうの。すごい久しぶりな気がする」

「そうだねえ」

「あ、そっちは俺持つから」

「ん、おっけー」


持ちたい私と持たせたくないエリックの攻防により、

今はものを仕分けする作業をしてる。

私は大きいけど軽いもの。エリックは重たいやつ。


手が途中触れてさ「あ、ごめん」ってエリックが言うから「なんかこんなの前もあったね」って笑う。そして、ある程度作業が終わったところで切り上げる。休み時間も有限だからね。


あーあ、職員室もっと遠ければいいのにな。

そしたらエリックともう少し長くいられるのにな。


「ねえそういえばエリック達ってさ、ステップで攻撃避けれるの?」

「試してみる?」

「え、やりたい!じゃあさ、これ運び終わったらやってみてもいい?」

「いつでもどうぞ?」

「ほほう?自信がおありのご様子…」


じゃあダッシュで置きにいかなくちゃだね。

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