殺人鬼、異世界召喚される
「見つけたぞ!連続殺人鬼X!!」
「あ~ぁ、見つかっちゃったか。警察もご苦労なこったね」
現在警察に追いかけ回されている俺は巷ではちょっとばかし有名なただの一般人さ。
ちょっと白々しかったか。
連続殺人鬼X。
それは俺の呼び名らしい。
あぁ、別にどこぞのダーク系ヒーローみたく、罪のあるやつだけを断罪してるんだとか言うつもりはないぜ。
俺は気に入らないやつを殺しているだけだからな。
まぁ、その気に入らないやつってのは大抵法に触れることをやっていたりあくどい事を平気でやってたりする連中だから、そう胸を張ろうと思えば張れるのだが。
だって、どっちみち殺すなら少しでも汚れていた方が罪悪感なんてわかなくて都合いいだろう?
殺すだけじゃなくしっかり金目の物を奪うのは勿論だが。
俺はかなり有名な大学を卒業していて、頭は悪くないと自負している。
だから、見つかったって勿論避難経路は沢山用意してあるし、全て暗記している。
だから、今まで警察になんか捕まったことないんだ。
だから、こうなるとは思わないじゃんか。
路地裏をぬけた先、光の方へと飛び込んだ俺は本通りを駆け抜ける予定だったのだ。
何が起きて、偉そうにふんぞり返っているいかにも王様、そして家来ですって感じの人達が集まった室内に出るなんて、思うはずないじゃんか。
「おぉ!勇者様!」
「はっ?」
「勇者様!是非我が国をお救い下さいぃぃ...!!!」
いや、はっ?
混乱している俺を置いてけぼりにして何喜んでんだ。此奴ら。
「ほっほっほ、皆の者、召喚の義は無事成功されたのだ。これで我が国は救われるだろう」
「おい待て待て、状況がわかってねぇんだよこちとら。ドラマの撮影ってわけじゃないよな?ここはどこだよ、っていうか勇者って俺の事か?俺がそれを断ったならどうなるんだ?」
「おぉ、勇者様、混乱してしまわれるのは百も承知。どらまというものが何かはわからんが、ここはハバレルン大国の王都、更には中心のわしの城の中じゃ。勇者様には時空をゆがめて開いた扉から来てもらったのじゃが、1人しか呼べないもんでなぁ、もし、勇者としての力を使ってくれないというのなら処分してまた時空の扉を開かねばならんのう。じゃが、この扉をくぐれるのはそれに相応しい者のみじゃ。そんなことにはならないとわしは思っておるぞ」
おいおいおい、大人しく聞いてりゃ最後には脅しにかかってきてねぇかこのじいさん
殺人犯なんて知られたら俺殺されるんじゃね?
「...俺に何をして欲しいんだ。見たところ俺はアンタらとそう変わらないし力が漲っている気もしないんだが?」
「まず、そこに散らばっているものは勇者様が召喚前に身につけていたものであってるかの?」
言われて始めて足元にリュックと拳銃が転がっていたことに気がついた。
そういや、このリュックで金を詰めて、拳銃を懐に入れていたっけか。
アタッシュケースなんてものに金を入れたらそれこそ怪しいものですって言っているようなものだからな。
拾いながら「間違いないな」とだけ答えた。
ちょっとくたびれたリュックも、使い慣れた拳銃もどちらもしっかり俺のものだ。
「勇者様がこちらに来る際に持ち運んできたものは全てマジックアイテムとなっておっての。それらを使いながらまずは、レベル上げをして貰い、ゆくゆくは魔王を倒しに行って欲しいのじゃ」
ステータスと言えばステータスが見れるじゃろ?
そう言われて、ステータス、と呟いてみると透明なパネルがでてきた。
ふむ、HPは999、他、攻撃力や防御は555で止まっているな。
つかまて。
俺は異世界に来てまで殺人すんのか...?
ついついいいネタを思いついてしまって書き殴りましたが、現在【転生したはいいが一向に幸せが訪れないため自らハッピーエンドに導いてやる】という作品を書いていますので、こちらの更新頻度はレビューや感想、閲覧数などを参考に決めようと思うので暫くは不定期更新とさせていただきます。