sweet5
「………俺っ……
奏のことが……
すっ!」
ガラガラー
「一ノ瀬っ!」
先生が見たこともないような
顔で私のところに走ってきた
「せんせぇ?」
「良かった…
意識が戻ったんだな…」
先生は床に座り込んだ
「ふはっ!
情けねぇ…腰が抜けた…」
先生は破顔と言う言葉が
ぴったりな顔を私に向けた
「俺…馬鹿みたいだけど
このまま一ノ瀬が目覚まさなかったら
どうしようって思ったら
もうダメで…ハハッ
教師としてダメダメだな…」
先生はふぅっとため息をつきながら
そう呟いた
「心配かけてごめんなさい…
康平も先生もごめんなさい…」
私はなぜか分からないが
泣きたい気持ちになった
2人に心配をかけた
自分が情けなくなったからだ
「いや…反省は俺が一番しなきゃ
ダメだから………
あっ?もうこんな時間か…
一ノ瀬家まで送るよ」
時計の針は7時を示していた
先生はそう言って帰り支度を始めた
「あっ…
大丈夫です…
自分で帰ります!」
「いや…それくらいさせてくれよ…
最近は色々と物騒だし…」
「でも…」
「奏、 送ってもらえよ
先生もこんなことあったんだ
下心なんてあるわけないし」
康平はそう言って
先生を睨んだ
牽制のつもりなのかな?
「ちょっと康平…!?
なに言ってんの!」
「あはは厳しいなぁ
一ノ瀬のガードマンは
流石に俺もそんなことはしねぇよ?」
先生も笑っているが
目がまったく笑っていない
私は早くこの穏やかじゃない
空気をどうにかしたくて
帰り支度を始めた
「じゃあせんせぇ?
送ってくれますか?」
「お望み通りにお嬢様」
先生は茶化して言った
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