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マチルダと虹色のゆらぎ  作者: 栗原 あみ
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カイル視点

王都へ向かう途中、今日は町の宿に1泊することとなった。


すでにマチルダ様は部屋でお休みになっている。


私とソフィーと宿屋の1階の小さなロビーで向かいあって座っている。


「素直で可愛いらしい方ね。私、お仕えするのがマチルダ様で良かったわ。」


ソフィーが、グラスに入った氷をカラカラ鳴らしながら言う。


「前に仕えていた人は誰か、とか、誰かの命令で来たんだろうとか、思っていたより鋭い人なのかと思ったら、今の主人はマチルダ様です、の一言で済んじゃうし。」


ソフィーが思い出したのか、またクスクスと笑う。


「今の主人はマチルダ様だ。別に間違ったことは言っていない。」


「でも、あの方に命令されたこと、都度報告していることは話さなかったじゃない?後ろめたくないの?」


ソフィーはニヤッと笑う。


「話さなかったことについては、君も同罪だろう。」


カイルは、眉間をつまんで天井を仰ぎ見る。


「私は、()()これ以上マチルダ様の負担を増やしたくないだけよ。今は発動者になったばかりで、新しい環境に適応するだけ精一杯のはず。あの方のことは…いずれ知ることになる訳だし。」


「それには私も同感だ。」


先に寝るわ、と言い残し、ソフィーが部屋に戻っていく。私は報告書をまとめる作業に入った。


1日共に過ごしてみて、印象は悪くない。貴族になることについて驚いていたが、すぐに自分の現状を受け入れられた。


そして、私たちの背後にいる人物についても考えが及んでいるとは。しかし、その人物が誰なのかどんな意図を持っているかには、マチルダ様は全く触れることはなかった。普通なら気になるはずだが…追及しても私が話さないと判断したのか。それともどんな相手でも構わない、悪意でも好意でも清濁合わせて全てを飲み込める、大きな器の持ち主なのか。…それとも出会ったその日に全幅の信頼を置いてしまうお人好しなのか。


いずれにせよ、これから貴族として魔術士として成長されるマチルダ様を側で支える役目、そのことを楽しみに感じているのは確かだ。


そして、この想いはソフィーも同様だろう。


その日の報告書は、私にしては珍しく、私見の入った仕上がりになってしまった。

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