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マチルダと虹色のゆらぎ  作者: 栗原 あみ
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これからのこと

馬車には、カイル様とソフィー様も同乗している。


「魔術学院までの道中、これからのことをご説明いたします。」


カイル様が話し始める。


「まず、貴方のご身分ですが、発動者はみな貴族の身分が与えられます。」


「貴族!?私、貴族になるんですか??」


「発動者はいずれ魔術士となり、国を動かす地位に就くことも珍しくありません。平民の発言を軽んじる…という方もいないとは言えませんので。家名は魔術学院に入学なさった後に、賜ります。」


「貴族…。私が貴族…。」


「ですから、私とソフィーのことは、呼び捨てでお呼びください。」


「え!そんなことできません!これから色々教えていただく方たちに…」


「マチルダ様、私たちは貴方様に仕える者です。慣れていただかなくては。」


「う…分かりました。頑張りま、す。あ、そう言えば、弟妹におもちゃをたくさんプレゼントしてくださってありがとうございました。えー…っと、カイル?」


言い終わらないうちに、カイルが真っ赤になりソフィーをジロリと睨んでいる。ソフィーは涼しい顔をしている。言っちゃいけなかったヤツだな。コレは。


「呼び方の方は、ようございます…。そして、弟君、妹君へのプレゼントですが、大事な姉上と離れる寂しさは計り知れないことでしょう。少しでも慰めになればとご用意させていただきました。」


「カイル様ってば、お優しいですよねー!」

ソフィーが手を口に上品にあてながら、クスクスと笑う。


「ソフィー!!その辺でやめてくれ…」


この2人の力関係が分かってきたぞ。身分ではカイルが上、でもギリギリのところでカイルはソフィーに弱いのね。


「コホン!話がそれました。これからマチルダ様が貴族としてやっていくには、ご身分だけでは不十分でございます。当然、貴族としての教養、マナーなどについても習得していただきます。こちらは私が担当いたします。」


カイルが言うと、ソフィーも微笑んで続けた。


「パーティに合わせてのドレスの格式や、お色合わせ等は私におまかせくださいませね。」


「はい…。さながら、貴族になるための特別訓練ですね…。お手柔らかにお願いいたします。」


魔術士になるための道のりは思っていたより険しかった。山頂を目指していたら、その前にもう一山登れと言われた気分だ。なんてこった。


「次は魔術についてです。まず、マチルダ様の瞳のゆらぎには、何色かのナチュアが見られる状態です。魔術学院に到着した後に何色のナチュアがあるか調べることになるでしょう。」


「あの、カイルはヴェルトラウムって…知ってますか?」


「?…存じませんね。何か?」


「いえ!なんでもないんです!!続けてくださいな。」


「…。では、続けさせていただきます。3色のナチュアを持つ方は、魔術士でも数名いらっしゃいますが、マチルダ様のような瞳の方は他にはいらっしゃいません。」


「え!?そうなの!?」


「はい。魔術士として戦場に出られたり、大きな事業を成功されたりすると、ナチュアが増えることがあります。ですので、ナチュアは魔術士の熟練度や魔力量の指標だ、とそう考えられてきました。でも、貴方様が現れた。」


「発動したばかりでナチュアを複数お持ちだなんて前代未聞、ということですわ。」


今までそばで聞いているだけだったソフィーも、目を輝かせながら言う。


「魔術一つ使ったことがないのに、玄人以上のナチュアを持っている新人、それが私、ということですか…。」


左様でございます。とカイルとソフィーが声を揃える。


まさか鳴り物入りの新人みたいな存在になるなんて。どうしようって、どうしようもないのだけど。出来ることは、貴族として、魔術士として早く一人前になれるように、ひとつひとつ努力する、しかない。数日前まではただの田舎娘だったのに、自分の境遇の変化が激しいな。


気になることが一つ。


「カイルと、ソフィー?私に仕える前、貴方たちはどなたかに仕えてらしたの?」


カイルの眉がピクッと震えた。


「お気にかかりますか?」


「いえ、いつまで私の側にいてもらえるのかなって。どなたかの命令で、私に仕えることになったんでしょうし…。期限とかある?」


険しい顔をしていたカイルだか、拍子抜けしたような表情を見せている。隣ではソフィーが窓の方を向き、必死で笑いを堪えている。??どうしたの??


「仰る通り、私達はある方の命令でマチルダ様にお仕えすることになりました。しかし、今の主人はマチルダ様でございます。そして、主従関係には期限はございません。信頼を失った時が終わりの時です。」


そっか。じゃあ2人の人生って私次第ってことね!しっかりしなければ!!


「私は責任重大ね!カイルとソフィーが誇れる主人でいたいし、立派な魔術士にならないとね!」


ソフィーはたまらず笑い出したようだ。カイルもクスッと笑った。


「期待しております。マチルダ様。」


カイルとソフィーが、そう言ってくれた。


ブックマーク10件を超えました!10人の方が続きを読みたいと思ってくださってる、なんてジーンと感動しています。

ポイント評価もありがとうございます。嬉しくて、日に何度もチェックしては、ニヤついております。

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