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女神大戦 ‐The Splendid Venus‐  作者: 灰原康弘
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”『安全地帯』建立十五周年記念式典”⑥

 ――なにが楽しむだ。

 瀬戸の言葉を反芻し、心中で舌打ちする。


 面倒ごとが片づいたと思ったら、結局また押しつけられてしまった。

 もっとも、こうなることを予想していなかったわけではない。瀬戸のことだ。どうせ、黒幕の捜索も自分にやらせるのだろうということは容易に想像がついた。

 そうなったときのために、布石も打っておいたのだ。

 しかし、それでも面倒なことは面倒なのだから仕方がない。

 まったく気が重い。いったい、いつになったらゆっくり唯と過ごすことができるのか。


 そう思いつつ、教室の扉を開けると、

「む、柊? 今日は休みではなかったのか?」

 尊に気づいた凛香が話しかけてきた。現在は休憩時間なためか、教室には半分くらいしか生徒はいない。

「貴様には関係ない」

 ぶっきらぼうに言うと、足早に自分の席へ行く。

「な、なんだとっ!? なんだ、その口の利き方は!」

 スタスタと尊の席まで来たかと思うと、バンッと机をたたく。


「なんの用だ」

「休みではなかったのかと訊いただけなのに、無礼すぎるぞ!」

 尊はうるさそうに顔をしかめ、

「貴様には関係ないから関係ないと言っただけだ。俺が休みというのは律子から聞いたのか? あれが一度言ったことをいちいち覚えているとは……貴様俺のファンか? なら、サインしてやるからとっとと失せろ」

「こ、この……なぜ貴様はそうなのだっ!?」

「うるさい。唾をとばすな」

 顔をしかめて虫を追い払う仕草をする。尊としてはむこうへ行けというジェスチャー程度の認識だが、それが余計に凛香の神経を逆なでたことは言うまでもない。


「もう、二人ともまたやってるの? ダメだよ、ケンカしちゃ」

「しかし美神! この男の態度は少々度が過ぎているぞ! 見たかいまの態度を!? まったく無礼なやつめ!」

 フォローしようと口をはさんだが、凛香の主張はもっともだ。

 とはいえ、

「そんなこと、俺の知ったことではない」

 本人に改善の意志がまったく見られないのだからどうしようもない。

「とにかく、みんなにも迷惑がかかるんだから、やめないと」

「……フン」

 あざ笑うかのように鼻を鳴らし、

「だそうだ。分かったら、貴様も席に戻るんだな」

 ふたたび虫を追い払うように手をふると、目をつむって背もたれに体重を預けるのだった。


「柊くんっ」

 そう声をかけられたのは放課後のことだった。

 尊は帰り支度を整えながら、顔も上げずに訊く。

「なんの用だ?」

「一緒に帰らない?」

「断る」

 短く言うと、さっさと歩きだす。

 階段を下り、下駄箱で靴を履き替え、校門を出る。


「……いつまでついてくるつもりだ? というより、なぜついてくる?」

 後ろをついて歩く少女に問いかける。

「鬼柳教官に頼まれたんだ。余計なことしないように見張っててくれって」

 あたかもいま考えたような言葉だった。どうやら、このままついてくるつもりらしい。それなら好都合だ。こちらとしても訊きたいことがある。

 尊は振りかえらずに問うた。


「貴様、朱莉じゃないな?」

 単刀直入な言葉に、驚いたような雰囲気がかえってくる。

「……よくお分かりになりましたね」

 どこか作り物めいた声はなりを潜め、先日聞いた、鈴のような、不思議な余韻を含んだ声が耳に届く。

「貴様教室でこう言ったな。“みんなの迷惑にもなる”と。残念だが、あの女はだれかを盾にして人を否定したりしない。あの女ならこう言うだろうな、“みっともないからやめろ”と」

「朱莉さんのことを信頼しているのですね」

「勘違いするな。ただ、そういう存在として認識しているだけだ」

 尊はまえをむいたまま続ける。

「いったい、なにを企んでいる? 貴様の軽挙のせいで今朝はムダな時間をとらされたぞ」

「申しわけありません。……私が朱莉さんにわがままを言ったのです。一度、外の世界に出てみたくて……」

『君主』の声色には謝罪の色がある。どうやら、申しわけないという気持ちは本当のようだ。


「まあいい」

 尊はどうでもよさそうに言うと振りかえり、

「俺はこれから行くところがあるんだ。ついてくるな」

「私もご一緒していいですか?」

 上目づかいに訊いてくる『君主』だが、

「よくない」

 と、尊は容赦なく切り捨てふたたび歩きだす。


 しかし、『君主』は何事もなかったかのように、相変わらず尊の後ろをついてくる。

 ――仕方ない、撒くか。

 と思った尊だったが、今朝の瀬戸の言葉を思い出す。

 “黒幕を見つけろ”。

 事件はまだ終わっていない。もし、『君主』の身になにかあれば、任務失敗ということになる。

 ――まったく、面倒なことだ。

 尊は内心舌をうち、観念したように振りかえった。


「今回限りだ。きたければ勝手についてこい。ただし、こき使うぞ」

 と、言ったはいいのだが……。

「柊さまっ! あれはなんでしょうか?」

 と『君主』が指さしたのは、テレビだった。尊がぶっきらぼうな口調で言うと、

「テレビ……なんだかすごいですね……あの人たちはあの中で働いているのですか?」

 などと続けてきたので、さすがの尊も耳を疑った。

「貴様、バカにしているのか?」

 尊の不快気な視線をうけても、『君主』は不思議そうに首をかしげるばかりだ。

 どうやら、わざとやっているわけではないらしい。『君主』は飼い主を見る子犬のような目で尊の返事を待っている。

 仕方なく簡単に説明すると、『君主』は感心したようにうなづいた。


「あの薄いもので遠くにも映像を送ることができるのですね。しかも皆さんそれをお持ちと……なんだかすごいですねっ!」

 どうやら、『君主』はテレビを始めて見たらしい。宮殿にはないのか、あるいは『君主』が見たことがないだけなのか……。

 気になって訊いてみると、

「う~ん、すくなくとも私は見たことありません。西園寺も、外のことはあまり教えてくれませんし……」

「フン、とんだ箱入りだな」

 もっとも、それ以前の問題な気もするが。


「柊さまっ!」

「なんだ」

 そう言っている間にも『君主』は笑顔で詰めよってくる。

「あれはなんですか?」

『君主』の指が指したさきにあるのは、どう見ても普通の乗用車だが……。

「はじめて見ました」

「……貴様、やはりわざと言っているだろう」

「?」

 うっとうしそうに言う尊に、しかし『君主』はキョトンとした顔をしている。

 うんざりした顔をしつつ、言わないかぎり永遠と訊いてきそうなので説明してやる。

「ただの車だ。外出するさいに使う乗り物だ。貴様のところにもバカでかいものがあるだろう」

「そうなのですか……? 私はそれも見たことがありません」

 ふむふむ、と納得した様子でうなづく『君主』。


「柊さま柊さまっ!」

 と思うと、つぎの瞬間にはまた目を輝かせる。

「チッ。今度はなんだ」

『君主』が指さしたのは、ワゴン販売のクレープだった。

「クレープ、ですか……なんだかおいしそうですね。食べてみたいです」

「そんな時間はない」

 無残に切り捨てると、『君主』は残念そうな顔になる。

「では、またの機会に……」

 名残惜しそうに言うので、適当に返事をしておいた。どうせつぎの機会などないのだからどうでもいい。


 そうして目的地に着くも、やはり『君主』は首を傾げた。

「ここはなんですか?」

「雑貨店だ」

 吐き捨てるように言い、

「黙っていれば、なんだなんだ、とうるさくてかなわん。さあ、買い物を始めるぞ。こき使うが文句は垂れるなよ。さっきまでの情報料と思え」

 説明するのが面倒になったのか、早口でまくし立てる。

「はい。なんなりとお申しつけください」

 相変わらずニコリと笑う『君主』。だが、彼女の考えは甘かったと言わざるをえない。

 言葉のとおり、『君主』はこき使われることとなる。正確には、荷物持ちだった。ぬいぐるみや本をはじめ、ちょっとした小物など様々なものを買っていく。


「今日はいつもの倍買っていけそうだ」

 ということらしいが、毎日こんなに買っているということだろうか、と一人首をひねる『君主』だが……。

「す、すみません、柊さま……これ以上は持てそうにないです……」

 両手いっぱいに抱えられた買い物袋。彼女の細腕ではもうこれが限界だった。

「なんだもう限界か」

 ため息まじりに言う尊は手ぶらである。

 なにか言いたそうな視線をむける『君主』だが、もちろん尊が取り合うことはない。

「まあいい。もともとそこまで期待はしていない」

 今度は果物を物色し始める。その横顔はどこか楽しそうだ。


「……これは全部、妹さんへのプレゼントですか?」

 尊の動きが、ほんの一瞬だけ止まる。しかし、つぎの瞬間には何事もないようにふたたび商品を選び始める。

「知っているのか?」

「はい。先日、あなたをお呼びするさいに、西園寺が調べたのです」

「フン、自分たちの都合で呼びつけておきながら、勝手に人の過去を調べるとはな」

 すこし語調が荒くなった。強い拒絶の色を感じた『君主』は、“過去”には触れずに言う。

「妹さんとは、仲がよろしいのですね」

「当然だ」

 となぜか勝ち誇ったかのように言う尊がおかしくて、思わずクスリと笑ってしまう。


「なにがおかしい」

「申しわけありません」

 口で謝っておきながら、笑いをこらえられていない。尊は不機嫌そうにそっぽをむく。

「ただ、すこしうらやましかったのです」

『君主』は神妙な面持ちになって言った。

「血のつながった兄妹と仲がいいということは、私にはとてもまぶしく見えます」

 憂いのある表情で言う『君主』。もっとも、荷物のせいで尊からは表情をうかがい知ることはできないのだが。

「俺たちは特別仲がいいんだ。唯は天使のような少女だからな」

 なにやら文脈がはっきりしないことを言っている。どう反応をとったらいいものか考えあぐねる『君主』に、追い打ちをかけるように言う。

「さて、そろそろ行こうか。唯のまえでくだらんことは言うなよ」

 その言葉を聞くころには、尊の両手にも抱えきれないほどの紙袋があった。


 朱雀総合病院についたとき、日は傾いていた。

 大きな窓は、すでにカーテンで仕切られており、唯はベッドの上で本を読んでいる。

「兄さん」

 尊に気づいた唯が兄を呼ぶ。

「すまない、唯。待ったかい?」

「大丈夫ですよ」

 やわらかく微笑む。本当は本に夢中になっていて、時間がたつのを忘れていたのだが、そうは言わないのが唯のやさしさだ。

「そちらのかたは……」

 大量の荷物で上半身が隠れている『君主』に視線を移す。


「こんにちは。あ、もうそろそろこんばんは、かな?」

 荷物を床に置いた『君主』がニコリと笑う。

『君主』を見た唯は一瞬ポカンとした表情になり、

「ええと……朱莉、さん……?」

 とたしかめるように言った。

「あれ……?」

 思っていた反応と違い、今度は『君主』がポカンとした表情になる。

「もうバレたか。当然だな。貴様のお粗末ななりきりでは、唯の目はごまかせないということだ」

「兄さん? どういうことですか?」

「唯。唯の思ったとおり、アレは朱莉じゃないんだよ。コレは『君主』さ」


 その言葉に、さすがの唯も驚きの表情を隠すことができなかった。『安全地帯』の最高主権者であり、絶対的なカリスマ。それが目のまえにいるのだ。驚くなと言うほうが無理な話だろう。

 その“唯一の王族”に対し、兄が「アレ」だの「コレ」だの代名詞で呼んでいるという事実を思い出したのは、数秒が経過してからだった。

 しかし、当の『君主』は照れ臭そうに頬をかいている。

「はじめまして、柊唯さん。よろしくお願いしますね」

 そうはにかまれても、唯はぎこちない笑顔をかえすしかない。

「あ、あの、兄さん……」

 兄に助けを求めるような視線をおくるも、妹が自分を頼ってくれたことがうれしいのか、尊もニコリと笑顔をかえす。


 ああもう、と思いつつ、

「兄さん、これはいったい、どういうことなんですか? 朱莉さんはどうされたんです?」

「入れ替わったそうだ。朱莉はいま宮殿にいるんだろう」

「はい。今朝、登校中の朱莉さんを捕まえて、わがままを言ったのです。すこしのあいだだけ入れ替わってくれないか、と」

「どうしてまた……」

「私は生まれてからを、ずっと宮殿で過ごしました。一度も外の世界に出たことがないのです。だから、どうしても行ってみたくて……。私と朱莉さんは外見が似ていますので、バレないと思い……」

「すでに俺と唯にはバレているがな」

 尊は得意げに鼻を鳴らした。


「じゃあ、朱莉さんはいま『君主』さまのふりをして宮殿に……」

「はい。でも、唯さん。“さま”なんて呼びかたはやめてください。堅苦しいのはあまり好きではありません」

「は、はあ……」

 そんなことを言われても、いきなり「はい」と言えるわけもない。

「だ、そうだ唯。好きに呼んでやれ」

「もう、兄さんったら……」

 困ったような顔で兄を見る。そのあいだも、『君主』はニコニコ笑いながら唯を見ている。


「分かりました……ええと、『君主』……さん……」

 おっかなびっくりといった様子で名を呼ぶ唯。『君主』は相変わらずの笑顔で、

「はい」

 と言う。

 そのまったく邪気を感じない子供のような笑顔に、思わず唯も笑顔になる。

「どうして『君主』さんは、ここに?」

「じつは、先日柊さまにはとてもお世話になりまして、そのとき唯さんのことを知って……一度お会いしたいと思ったのです」

「わたしに? こ、光栄です」

「唯さん、そういうことは言わなくて結構です、と申しあげましたよ?」

 恐縮した唯に『君主』はふたたび笑いかける。

 その様子を見て、尊は内心舌を巻いていた。妹の唯がここまで軽々とあしらわれているところを、彼は初めて見たのだ。

 むろん、それを表に出すほど、彼は正直ではないのだが。


「すみません……でも、どうしてわたしに?」

「以前入れ替わったとき、美神さんから聞いたのです。それで一度ぜひお会いしたいと思いまして……柊さまも面白いかたですし、あなたにも興味を持ちました」

『君主』としては皮肉でもなんでもない、単なる感想なのだが、事情を知らないものが聞けば皮肉としかとれないだろう。

 尊の性格を知っても、それをものともしない大らかな心。これが最高主権者の余裕というものか、と唯は心から感心していた。


「すみません。でも、これが兄さんの仕様ですから」

 しかし、唯も負けてはいない。この短期間で『君主』の性格を察したらしい。ニコリと笑って、冗談めかした口調で言う。

「ふふっ、瀬戸さんから事前に話は聞いていたのですけれど、思っていた以上のかたでビックリしました」

「どういう意味だ」

 不満そうに言う尊が持つ皿の上には、ウサギの形に切られたリンゴが乗っている。どうやら、いつのまにか切ってきたらしい。


「意外と器用なのですね。これはちょっと予想外です」

 驚いたように目をパチクリする『君主』。

「貴様俺をなんだと思っているんだ」

 この切りかたは、昔、ある女から教わったものだ。毎日寝て過ごす唯に、すこしでも喜んでもらうための、尊なりの思いやりだった。

「唯、リンゴを切ってきたよ」

 笑いかけて唯にリンゴを渡す。

「ありがとうございます」

 唯も笑顔でうけとると、横から『君主』が顔をだした。

「おいしそうですね。私もいただいていいですか?」

「図々しいな」

 邪魔臭そうに言う尊。やはり『君主』は動じることはない。


「兄さん」

 といつものように兄をたしなめ、

「もちろんいいですよ。一緒に食べましょう。それより『君主』さん。そんなにかしこまった話しかたはせずに、もっと砕けた口調で話してください」

 と、すべてを包みこむようなやわらかな笑顔を見せる。

「申しわけありません。これは癖みたいなもので……」

 すこし渋い顔をする『君主』だが、唯の不満そうな顔を見てクスリと笑う。

「分かりました。これから気をつけますね」

 仲睦まじく笑いあう二人。しかし、それを良しとしないのが柊尊という存在だ。


「貴様いったいいつまでここにいるつもりだ?」

 彼の瞳には、“帰れ”の二文字が固く宿っている。

「う~ん、できればあとすこしだけいたいのですけど……ダメですか?」

「当然だ。ダメに決まって……」

「いいですよ」

 唯は尊の言葉をさえぎるようにして言った。

「いいじゃないですか兄さん。大勢でいたほうが楽しいですし……それに、もっと『君主』さんとお話もしたいですから」

 妹にそう言われては、兄としては引き下がるしかない。もっとも、仏頂面は変わっていないので、なにを考えているかは一目瞭然なわけだが。


「お二人は本当に仲がよろしいのですね」

「フン、当然だ。俺は唯を愛しているからな」

 などと、臆面もなく言うので、唯は瞬間湯沸かし器のように耳まで真っ赤になる。

「に、兄さん……『君主』さんがいるまえでそんな……」

 唯が抗議しても、尊はニコリと微笑みかけるだけだ。

 ああもう、と真っ赤になった頬を両手で隠しながら首を横にふる。

「ふふっ。年のわりに大人びたかたと思ったら、唯さんもかわいらしいところがあるのですね」

「なにをいまさら。唯はこの世で一番の美少女だぞ」

 なぜか得意げな尊。唯の顔はますます真っ赤になる。

「あ、あの、兄さん……もう、そのくらいで……」

「どうしてだい? 兄さんは事実を言っただけだよ」

 尊は不思議そうに首をかしげる。いつもの相手を煽っているような態度ではない。心からの疑問、といった様子だ。……それはそれで問題な気もするが。


「もう、ちょっと仲がよすぎですよ……うらやましいです……」

『君主』はすこし寂しそうに言った。

「私は、親もありませんから、お二人がうらやましいです……」

「『君主』さん……」

 唯は『君主』の手をやさしくにぎる。顔をあげると、慈愛に満ちたやわらかな微笑みをたたえた少女がいた。


「わたしはもう、『君主』さんとはお友達になったつもりでいます。だから、そんな顔なさらないでください。わたしにできることならするつもりですし……それに、きっと朱莉さんもおなじことをおっしゃると思います。だって、『君主』さんのために入れ替わってくれたんですから……」


『君主』はハッとして唯を見ると、つられて微笑みをかえす。

「そう、ですね……。ありがとうございます、唯さん」

 そう言って、唯の手をしっかりとにぎりかえすのだった。

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