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バック一つの商人さん  作者: 相川ソウヤ
流れ星の旅立ち
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転職完了

ぎ、ぎりセーフ…?

がちゃりと開けた扉の向こうには先程まで部屋にはなかった道具がおいてあった。

なんというかいかにもな丸い透明な結晶の球がおいてあるのだ。凄くかっこいい。


「(うわぁすごい…!いかにもな感じだぁ!!)」


私のキラキラと光った目を見たギルド員さんはくすりと笑う。


「ふふ、その結晶の上に手をかざしてください。そしたら、魔力を流しつつ『召喚師』と言ってください。そうすれば転職は完了です。」


「わかりました!えっと…」


ゆっくりと結晶に魔力を通す。

「こういう魔導具はある程度の大きな魔力に耐えられるけれどスピカの魔力量だと何があるかわからないから慎重に」と、母さんに言われていたからだ。


「『召喚師』」


ほんのり暖かい風がふわりと私を包んだ。


「うまく出来たようですね。ところで、結局冒険者ギルドには登録しますか?」


私はそもそも身分証を作るためにギルドを訪れていたということをすっかり忘れていた。職業とかを知れるという未体験に興奮していたのだ。恥ずかしい…


「えと、冒険者ギルドと商業ギルドなどの兼任ってできますか?」


「あ~できますよ!他国には自分で狩った魔物を自分で売ったりするような冒険者の方もいらっしゃいますし」


なんと!兼任は全然可能らしい!!よし!兼任してしまおう。母さんのように自分で狩ったり、作ったりして、自分の手で売りたいという夢が森に住んでいた小さな頃からあったのだ。


「あの、冒険者ギルドの登録もお願いできますか?」


「そうおっしゃられるかもと登録用の魔導具も用意しておきました」


すっと差し出された板状の魔導具には四角いくぼみとその周りに溝といくつかの結晶が嵌め込んであった。

ギルド員さんは嵌め込んである結晶の中で一番大きいものを指差して


「これに魔力を流して、貴方の名前を言ってください。さっきの転職と同じ要領ですね」


「はい!」


えい!と結晶に触れると結晶はかなり冷たい。しかし、少し魔力を流すとじわじわ熱を発しだした。


「『スピカ・ビー・フローラ』」


溝と触っていない他の結晶に光が走る。とても綺麗…はっ!?四角いくぼみにいつのまにか光沢のある金属っぽい鈍い銀色のカードが!!


「登録完了ですよ。冒険者についてはスピカさんはお母様に教えてもらっていますか?」


本で読んだっていうのでも知っている、大丈夫にはいるのかな?……大丈夫らしい。ところで母の自作本の知識でも本当に良いのかな?


「あら?アイルさんはあなたに話してなかったのかもしれませんね…

アイルさんはスキル名は知られていませんが、特殊なスキルを持っていてそれが記憶能力をかなり高めるものだったため信用があるんですよ。」


成る程。美しい微笑みと共に言われてしまった。私には母さんって天然なドジっ子属性を持ったイメージが強かったけど…


うん!まあいっか!



取り合えずやっと身分証を私は手に入れた。


次回はもっと早めに頑張ります…

ちゃんと週末になるように、ね…

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