自己紹介
ごめんなさい。遅れました(;´∀)
青年は耳と尻尾をそのままに話始めた。
「商業ギルドの付近で君を見てね、商談といかお話というのはその時君がそのネックレスを着けてたのを見たからしたいなって思ったんだ。」
『これ?』
カレンが大きめの立体的な涙型にカットされたペンダントトップの魔晶石を肉球で軽くつつく。
「それそれ。」
「これはカレンの依りs…むぐっ!?」
喋っている途中で急にカレンに口を塞がれる。ふわふわした毛が口に少し入った気がする。
いや、そんなことどうでも良い!
何で塞がれた?
『ス~ピ~カぁ~?先にヘマした私が言うのもなんだけども、自ら職業をばらしにいってどうするのよ…』
「あ…ごめん。」
「ふっ…くくっ、………話進めて良い?」
私とカレンがお互いに精神的ダメージを受けながらうなだれていると、押さえようとしつつも押さえきれてない笑い声をたてながら青年が声を掛けてくる。
確かに、脱線しすぎだ…
「そういえば先に自己紹介をしておくよ。
僕はマナ大陸…魔大陸やら、魔王統一国家アントデラスやらと色々呼ばれる通称魔国から来た。
さっきも言った通り種族は、ハイ・バーサクキャット。で、名前はリアムだよ。」
「魔大陸?…えっとナナセ自治区アイリス町の横の森に住んでた人間のスピカと合成獣のカレンです。それで話とは…?」
もう召喚師なのはばれたのでカレンのことは合成獣として自己紹介をした。
「森!?変わったところに住んでたんだね。
と、そうだったね。グレンニア魔晶石のネックレスなんて高価なものを持っている人間はそうそういない。
それに魔大陸以外の大陸の宝石のカット方法の主流は、出来る限り光るように面を作ることだ。
つまり、その君の持つ面のない曲線を描いている加工の宝石はここらの国ではとても珍しいんだ。
だから確信が持てた。」
確信とは何に?私は思わず黙り込んで考えてしまった。
すると青年が笑いをこらえながらなにか黒いものを差し出してきた。それは見覚えのある文字の書かれた封筒だった。思わず勢いよく開けて、カレンと覗き込む。
“愛しの妖精のスピカへ
すぴちゃんのこの手紙を受け取っているということはリーちゃんに会ったということでしょう。
私がリーちゃんにこっそりこの手紙を託しました!
ママはちゃんと自分に何かあったときは保険を作ってたんですよ。
偉いでしょ。
褒めてもいいんですよ!
ともかくリーちゃんは私の可愛い弟みたいな子なので安心して頼って下さい!
すぴちゃんはたぶん何かしらの悪いヒトが狙うと思います。だって私より可愛いし、頭脳明晰だからです!
なので、護衛と言うかお供とかのイメージでリーちゃんと行動するといいかもしれません。
すぴちゃんはきっと旅とかに憧れて外に出るでしょう?それなら、安心できる強い人が側にいた方が良いし、私も安心できます。
それと、すぴちゃんには元々私の使っていた、リーちゃんのイヤーカフ型の通信機に直接繋がるピアスをあげるね!
ピアスって言っても耳に近づければ何故か勝手にくっつくから安心していいです。
有能でスーパーな美人ママアイル・ビー・フローラより
”
封筒からころんと小粒のサファイアのピアスが一つ手の上に転がる。思わず青年の方を見てしまう。青年─リアムは最初の快活な笑いとは別のはにかむような笑みを浮かべると、
「ふふっ…びっくりした?アイルさんに頼まれてたんだ。だからあの人の知らせを聞いて急いで飛んできたんだ。しかもあの人に君は決断から行動までが早いから出来る限り急いでとも言われてたからね。
あの人は変わり者だったけど僕の恩人だからね。恩をやっと返せるって凄く歓喜したんだ。
確信云々については、実を言うとアイルさんの使っていたあの人特製の香り袋と同じ匂いがしてたから確信も何も確定しか無かったんだけどね。
でも近付いて色々こっそり確認してたときに、フードから見えた目も結構あの人に似てたから思わず笑っちゃった。」
思わず知らない間に母さんがここまでしてくれていたことに泣きそうになった。リアムが騙っている可能性は?と聞かれればそれはないと断言できる。
何故ならば黒い封筒に使われていた特殊な白虹のインクは母さん特製な上に、母さんが家でのみ使っていると言っていた物だからだ。
それに母さんは仕事のときは名字を名乗っていなかったと、本人に教えられている。つまり親しい人でも特に関係が深い人じゃないと名字を知らないのだから、もしそういう人に出会ったら信頼していいということらしい。
『…ースピカママもリアムも優秀かよ。スピカママも変だけど周りもある意味変なのか。いや、スピカママが変わり者だから変わり者が寄るのか。類友案件今後も可能性あるかも…?やば…』
「んん?カレンちゃんの言っていることはよくわかんないけど、どうかな一緒に旅しない?」
私の答えは決まっている。一応カレンの方も見たが、カレンはにやりと笑いを返してくれた。
『「こちらこそよろしくお願いします!」』
「了解!」
にかっと笑う情に厚い魔人で、猫な旅の仲間ができました。
読んで頂きありがとうございます!
兄さんまじ良いわぁ…って回でした。
猫な兄さんの性格などは完全に私の趣味((
ともかく悪い人に初っぱなから会わないのは高い運のお陰です。




