狂戦士?いいえ猫です。
一日遅れました…
ストックは増えませんでした…
一泊して夜が明けた。
美味しい料理を作ってくれた女将さんの旦那さんと、色々お喋りしながら近辺の情報をくれた女将さんにお礼を言って町を出る。
料理はおかわり自由のパンと、私の持ち込んだもので作って貰ったただの丸ウサギと、イエローキャベツと、怒り人参とで作った大皿いっぱいのスープだった
。ただの九級食材には思えないほど美味しかったです。
特にイエローキャベツなんて茹でると茶色になり易いのにちゃんと黄色のままで、なのにスープの味が染みてとても柔らかくて美味しかった。素晴らしい。
街道脇をまったり歩いていると街道を何台もの馬車が走り去っていく。
馬車と言ってもピンからキリまである。
例えばいかにも農村から来た感じの年季の入った荷台しかない馬車を、農耕馬っぽいがっしりした茶色の馬が引いているもの。
例えば屋根も扉もあって随所に金属などで補強されている汚れの少なく、引いている馬も二頭で立派なもの。
そんなことをぼんやり考えながらカレンと話していると一台の一際実用性を重視したような馬車がなぜか街道から少し逸れ、私の横で停車する。
私もそうだがカレンも驚いているようで言葉が出ていない。
御者席から灰色の髪に幾筋か黒い房が混じっている青年がひょいと降りてくる。
『敵意はないよ。そんな感じがする。』
ぽそりとカレンが言った。
「いや、敵意があったら不味いでしょ?だって俺は脅迫や強奪じゃなくて商談を持ちかけに来たんだから。」
青年は何故かカレンの言葉に飄々とした様子で言葉を返す。
『えっ…!?』
「えっ、何でカレンの言葉が聞こえてるの?魔物なのに。」
そうなのだ。カレンは私の創った召喚獣であり、また魔物に分類されるのだ。
魔物との違いは核を体の中から外に移したというそれだけ。
だから魔物の言葉であるカレンの言葉は他の人間にはわからないはずなのだ。
「あれ?警戒されてしまったかな。
商談には信用が重要だよな…どうしよっかな?」
『私たちが知るか!…あ!』
思わずスピカのフードの中から出てきてツッコミをいれてしまったカレンは項垂れる。
「「あ」」
青年もスピカと一緒に声をあげる。ただし青年の方は少し笑いを含んでいた。
「君、獣使い?それとも、召喚師?」
「えっと…」
「いや、やっぱり答えなくて良いよ。いずれかであることは確かなようだからね。兎も角、俺は魔物は魔物でも…」
『ストップ!色々ばれてしまった上でなにか内緒事を話すなら取り合えず…スキル『影の覆い』スキル『遮音結界』!』
昨日見た『遮音結界』の淡い青の光のドームの先の街道の方を見るとゆらゆらと陽炎を通して見ているみたいになっている。
『ふぅ…『影の覆い』を使ったから私たちの周辺から認識されにくくなったわよ。多分街道の方からじゃなにもないように見える。で、あなたは何を言おうとしたの?』
「下位種族だと思ってたけど自我も知恵もスキルもあるのか。これはすごいな。
…っとあんまり可愛い見た目で睨まないでくれないかな?話すから。」
青年は苦笑しながら言った。
確かにカレンの見た目は私が考えて創ったものだけどすごく可愛い。
「ここいらじゃ、珍しいだろうけど俺は『魔人Ⅱ』の勲章持ちの魔物なんだよ。猫系のね。秘密だぞ?」
「勲章で魔人?しかも二?」
『てか、同じ系統の魔物なら召喚獣でも会話できてしまうのか。そっちに私は驚きだよ。』
確かに。同系統の魔物で知力があれば会話がばれるのは少しいただけないかな。まあ普通に戦うであろう魔物などはわからないはずなのでひとまず大丈夫かな。
「勲章『魔人』だと魔物の時の特徴を残したまま人型に、勲章『魔人Ⅱ』だと一部の特徴を人間にさらに近づける。勲章のランクを下げると俺はこうなるな。」
そう言いつつ一瞬で姿を一部変化させる。
黒の猫耳と黒の猫尻尾が現れた。もふもふしてる。
『「うわぁ…」』
「ちなみに俺はハイ・バーサクキャットって呼ばれる種族だな。ところで、最初の話しに戻して良いか…?いつの間にか魔物講座になってる。」
そういえばそうだった。最初商談とか何とかって言ってたわ。忘れてた。
読んで頂きありがとうございます。
来週分の途中までしか書けてないです…
がんばります(;∀;)




