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バック一つの商人さん  作者: 相川ソウヤ
流れ星の旅立ち
14/16

宿《緑の春風》にて

夕方の町並みは綺麗だった。

この町の建物は木の柱と淡く青緑がかった灰色の石の壁で出来ていて少し変わっている。


あ、前の町の門番(マルクス)さんに

『町にいるときも、そうでないときも出来る限りマントのフードを被っといた方が良い。

女性の一人旅だと良くあることで、誰も気に止めないはずだからな。』

と、言われたので前の町を出たときからフードを被ったまま移動してきた。

そして身分証を見せるだけで門の内側にはいれるのは、門に必ずある特殊な結晶の石板でカードに記憶されている魔力とそのカードを示した人物の魔力を照合できるかららしい。


門を通ってしばらくしてから、フードの中に目立たないようにカレンが依り代から出てきて入る。

一応依り代の中に居ても会話は出来るけどスキルは出来ないらしく、それが心配だからと言ってカレンは私の側に居たいらしい。


『フード違和感あるようなとか思ってたけど、そんなこと無かったね。』


「うん。さっきの門番さんにもなんも言われなかったし、わざわざ教えてくれたマルクスさんは親切な人だったって改めて実感した。」


小声で喋りながら、私達は門番さんに場所を教えて貰った《緑の春風》という宿に向かう。

その宿はさっき言った石材が、その石の中でも特に緑に近い色をしたものを選んでいる建物だった。

それにあわせるためか入り口の木でできた扉も、その上にかけられた看板もどちらも緑色に塗ってあった。


「ごめんくださーい。」


声をかけるとすぐさま受付の奥の扉から少し恰幅の良い女将さんらしき女性が出てくる。その人は私を見つけるとにかっと笑い、


「はいはーい!

あら、小さなお客様ね!

ようこそ宿《緑の春風》へ。

宿泊はご飯が朝夕と二食分ついているのと、そうでないのがあるけどどうかしら?」


と、一気に言った。


食料はバッグに沢山ある。どうしようかなと迷っていると耳元でカレンが小さな声で


『二階は宿泊する部屋だとして、一階の受け付けカウンターの奥は食堂っぽくなってて壁にメニューとか掛かっているから、その場で料理を作ってると予想する。

ならば、食料一部持ち込みでご飯安くならないかな?聞いてみてくれない?』


こう言ったので女将さんに聞いてみる。


「…あの一部野菜とか肉とか持っているんですけど、それでご飯って作れますか?

それでご飯有りの宿泊料金から食材の分を引けませんか?」


「えっ!?肉も持ってるのかい?

そりゃ良い!ご飯有りの宿代から食材分を割引きするよ。

それなら一泊700ルトのところを600ルトにしてあげる!」


おお!これはなかなか…

あ、通貨についてだけど通貨は世界共通でルト。

そして基本的に一の位は0になるように値段設定されている。

日本円に直すなら、示された値段の後ろに0をひとつ足せば大体オーケーかな。


つまり一泊7000円のところを一泊6000円に変えてくれたイメージで大丈夫。

多分部屋代4500円でご飯代が二食合計2500円だったんだと思う。食材分は1300円ちょいかな。


寂れた町とかだと食事無しの一泊1000円とかあるらしいけど、この宿は大きな街道の中継点な町の中でも一番の宿らしいのでこれくらいが妥当なんじゃないかな。


計算としては


2500-1300=1200(調味料+手間賃)


こんな感じ。

一食辺り650円浮いた計算ですね。素敵。


ちなみにこの世界は全体的に前世日本より平均的に消耗品系の物価が高いみたい。

何故なら美味しい食材や良い物品の素材は魔物から取れるから。


例えば鶏肉。ただの魔物じゃない鶏を食べるより森にいるホワイトコッコなどの鶏系の魔物を倒して食べる方が美味しい。

そして倒すのが難しい魔物ほど味が美味しいのだ。


結果的に冒険者が下手したら命を懸けて倒す魔物の肉は総じて値段が高い。

ついでにいうと野菜も魔物から採れるものも多くあってそれもやっぱり高い。


だから美味しいご飯を出す宿、料亭はそもそも食材が高いから必然的に料理の値段も高くなる。

ここの宿の食材は多分八か九級位の魔物なんじゃないかな?

特級や一級位の魔物食材になると供給率がほとんど無くて、超お金のある超美食家の人ぐらいしか食べれないらしいよ。


と、話は戻す。正直言って満足すぎる内容なので一泊お願いした。


お金は勿論お母様の遺産からです。

食材も勿論…ってもう言わなくても良いよね…?


食材は宿の厨房の方で出しました。料理人は女将さんの旦那さんでした。旦那さんも慣れた様子なので食材の持ち込みは良くあることなのかもしれないね。

ただし魔導具は高いものでもあり、珍しいものでもある。だから私は肩にかけている小さな鞄から肉塊を出すと一発で魔導具だとばれるのでそれはやめておく。変な目でも見られても困るしね。


なので事前に出しておいた魔導具ではあるが重量無効、鮮度保存のみ付与された大きな革の鞄から少し力の強い少年なら簡単に狩れる丸ウサギの肉を出す。


面倒は避けたいので全力で弱者になります。むしろ、カレンさんにそうしないとダメだと言われました。


そうして美味しい夕飯をそのまま頂き、一泊したあと朝食を食べ、町を出てすぐのことでした。

とある人物に声をかけられたのは。


読んで頂きありがとうございます!


一週間毎に更新できるよう頑張ってストック貯めます…( ;∀;)

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