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看板娘、頑張る  作者: 相川イナホ
14/42

レベルをあげましょう

 さてさて、無事に『ダンデライオン』の皆さまと合流した私はレベル上げに勤しみました。

3泊4日の合宿レベル上げです。


 「王都付近にこんないい狩場があっただなんて。」


 レンジャーのジミーから信じられないといった風に何回目かの感想をいただけた。


 王都周辺を活動拠点とする『ダンデライオン』の皆さまでも知らないのは仕方ない。

 私が彼らを伴っていったのはゲームでの湧きポイント。

 こっちでの辻褄合わせで仕組みをいえば、どういうわけかある魔力スポット。

 そこでは「湧き」が存在する。


 魔境近くまで行かなくてもそこそこ強いモンスターが一定の間隔で湧くのだ。


 ゲームでは第三エリアまで解放した勇者一行に解放される場所なのだけれど、現地人というNPCにはそういった縛りは関係なかったらしい。


 ポチリンヌ改めレオのお店での伝説の武器にはレベルでの条件付けがしてあったけどここはそういう条件はついていなかったから良かった。

 まぁここがダメだったら、地道にゲーム通り最初の王都周辺の「平原」でレベル上げするつもりだったので時間簡略できて助かった。


 さて、ここでレベルをあげてスキルを取得する=面倒な相手から隠れる隠密系のスキルポイントを割り振る。

 こっちの世界の人にはゲームマップ、ステータスボード、コマンド入力板は見えないからたまったスキルポイントは意識的に割り振れないようだ。

 無意識下で何らかの発動条件によって自動で振り分けられていると思われる

ために狙ったスキルを習得しずらいと想像される。

 私もNAGINATAを手に入れるまで見えなかった。


 さて、たまったスキルポイントでスキルを習得しようとして私ははじめて自分のステータスを詳しく見た。

 名  前: リリアンナ・クローベル

 年  齢: 17歳

 性  別: 女

 身体状況: 良好


 職    業:※▼ 看板娘 レベル4       

               スキル:客あしらい レベル2

                  :愛想笑い  レベル2

                  :計算    レベル8


 今まで自分の能力だと思っていたのがスキルだと分かってやや凹む。

 愛想笑いも客あしらいもレベル低すぎ。

 ひょっとしてウチの飯屋が繁盛していなかったのって私のせい…。

 …辛い。そう思うと非情に辛い。



 気を取り直して※▼の内容を見れば *@+*%た&%*+pp看板娘:レベル2

  とある。


  バグってるし

  まず転職が必要?でもこっちの教会では転職システムとか請け負っていないし、あちこち触ってみたけど転職は出来ないようだ。

 困った、これではスキルが選べない。


 仕方なく文字化けした部分に注意を向けていくと、ふいに新しい情報が現れた。どうやらPPの部分が▼に該当するらしい。


職    業:※▼ 

        *@+*%た&%*+pp看板娘:レベル2


              *+pp

               能   力:魔法使い

                     スキル 

                        :冷却   レベル6

                        :あたため レベル5

                        :乾燥   レベル3


 職業のところの※▼以下の部分ならいじれるっぽい。よし隠密系を!

 隠密系スキルで忍んで、姪っ子達を守るんだ!

  

 スキル一覧を見ながら隠密系のスキルを選んでポイントを割り振っていく。


 職    業:※▼ 

        *@+*%た&%*+pp看板娘:レベル2


              *+pp

               能   力:魔法使い

                     スキル 

                        :冷却   レベル6

                        :あたため レベル5

                        :乾燥   レベル3

                    :忍者

                     スキル

                        :隠術   レベル5

                        :忍術   レベル5

                        :かく乱術 レベル5

                    :剣術士

                        :棒術   レベル5

                        :剣術   レベル5


 スキルを選んでいくと、勝手に能力のところにサブ職業がつく仕様のようだ。

 そしてバグって文字化けしている部分も勝手に変化していた。


 職    業:※▼ 

        *@+*%た&%*+pp戦闘隠密看板娘:レベル2


 えっと忍ぶの?目立ちたいの?どっち?


 ゲームのシステムとは違うみたいだけれど、役に立てばいいのよ!ガンガン行こうぜ状態を強行する。


 そうしたら『ダンデライオン』の皆さんから泣きが入りました。


 よく見たら皆さまヨレヨレ。


 やりすぎてしまった。


 

 私は反省し、最後のスキルポイントで回復や癒しの能力を取った。


 ごめんね。テヘペロ。


 

 


   エレの町に戻った私には気になる事があった。


 「すげぇ!レベルがあがっている!!」

 「きゃぁ。私の職業がソーサレスになったわ!!」


 私とのブートキャンプで飛躍的に能力があがったダンデライオンの皆さまではなく、マップで敵を示す

 光点が近づきつつあったからだ。


 何故ばれた?

 

 それに対して私の能力がささやく、『総当たり』で割り出したのだと。


 王都から一人の少女がいなくなった。


 どの門から出た?どの道を通った?どこを目指す?


 対象を私に絞って、王都から出た人間を搾る。


 守秘義務のある宿屋や孤児院からは私の情報は引き出せなかったに違いない。

 宿屋ではそもそも宿泊者女一人、としか宿帳には記録されないし孤児院には対策をしてきた。

 男爵家は腐っても貴族だから情報漏えいについては故意ではない限り流出させないだろう。



 でも、一般市民はどうだろう。

 私が移動すれば誰かが見ている。気をつけていても記憶に残る。

 たとえばエレの町に来る前に街道で私を追い越していった旅行者とか。


 17~8歳の女の子。一人、もしくは誰かと移動。

 


 隠密関係のスキルを取る前の私では当然、誰かの記憶に残っているはず。


 人違いを消していけば、残るのは私だ。


 どうしよう?変装してエレの町を出る?


 でもたとえ男装していたって引き算と足し算していけばやがてはわかってしまう。

 町から出た人間=町から消えた人間


 どんなに変装していたって、別人になれるわけじゃない。一人の少女が変装できる限界域は自然と決まってくる。


 王都へ戻ろう。

 問題の少女は王都を出ていない。


 そうすれば外への探索は縮小されるだろう。

 カモメ亭まで敵を近づけてはいけない。


 前と違って、幸い私にはスキルを割り振って得た能力がある。


 「暫くお休みにするね。皆は休んでいて」


 ダンデライオンの皆さんにはそう言ってレオだけを連れて王都へ戻る。

 もちろん不法侵入で行く。

 問題の少女は王都を出ていないのだから。








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