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旅のお供に果実酒を  作者: 西葵
番外:四季折々のどこかのある日
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ただただ相手が悪かった




ベイル「ダメだ、今日はどうにも集中が保てない……明日に回すか……」


ベイル「……そう言えば、今日は確か…………」



ベイル「下らないが……だがその様な瑣末事が頭を掠めてしまう程研究に行き詰まっているのもまた事実か……」



ベイル「……フッ!まぁ、折角の機会だ。民が興じている様に私も一芝居打とうではないか!」




▲▼▲▼▲▼▲▼



ベイル「リズ、私だ。入って良いだろうか」


リズ「お兄様……?お兄様……!?少々お待ち下さいませ、今部屋を掃除致しますので」


ベイル「あぁ。なに、そう焦らずとも──」


リズ「お待たせ致しました。さぁ、中へどうぞ」


ベイル「……あ、あぁ。早いな」


リズ「勿論です。お兄様を扉の前で立たせたままにさせるなどカナート末代までの恥ですから」


ベイル「そうか。……そうか?」



▲▼▲▼▲▼▲▼



リズ「事前に仰って頂ければわたくしももう少し準備が出来ましたのに」


ベイル「すまんな。突然の事だったので私も慌ててしまってな」


リズ「お兄様が、慌てる?どうなさったのですか?」


ベイル「うむ……実はだな……」


リズ「……お兄様?」


ベイル「実は私には──」



▲▼▲▼▲▼▲▼




ベイル「私にはもう、余命幾許も無いのだそうだ」



リズ「──────」




▲▼▲▼▲▼▲▼



ベイル「──……おい、リズ!返事をしろ!リズ!」


リズ「───ハッ!!」


ベイル「突然気を失うのだ、肝を冷やしたぞ……」


リズ「こ、ここは…………」


ベイル「落ち着け。ここは貴様の部屋、私の事は?」


リズ「えぇ。えぇ、勿論ですとも。わたくしが愛してやまない、ベイル・レゾンデートルその人です。例え千里と離れていようとも、お兄様を認識出来ない事など有り得ません」


ベイル「そうか」


リズ「……時にお兄様?わたくし少々記憶が混濁しておりまして……。あの、わたくしが気を失う前に、お兄様は何か仰っていたでしょうか。いえ、わたくしがお兄様の言葉を聞き漏らすなど未来永劫ある筈が無いのですが……あの……」


ベイル「あぁ。私が余命幾許も無いと告げた途端、貴様は──」


リズ「──────」


ベイル「お、おい!リズ!しっかりしろ!リズ!」



▲▼▲▼▲▼▲▼



ベイル「落ち着いたか?」


リズ「え、えぇ……。ですが、そんな……」


ベイル「私も今朝告げられたのだ。かかりつけの訪問医、貴様も知っているだろう?心臓の疾患だと言っていた」


リズ「そ、そんな…………何かの、何かの間違いでは無いでしょうか!きっとそうです!」


ベイル「リズ」


リズ「その訪問医をこちらに連れてこさせましょう、私の前でもし同じ様にその男がお兄様の死期を告げたとあらば、直ちにその首を跳ね飛ばして差し上げま──」


ベイル「リズ、まぁ聞け」


リズ「ですが……ですが、お兄様…………」


ベイル「……フッ!何、そう心配そうな顔をするな。何も今日明日突然、という訳では無いのだ」


リズ「あぁ……お兄様……。リズは……リズは……」


ベイル「…………フッ!フハハハ!!そうめそめそするなリズよ!実はな──」



▲▼▲▼▲▼▲▼



ベイル「この話はう──」


リズ「こうしてはいられません!お兄様!子種です、子種を授けて下さいませ!」


「──そなの……え?」



▲▼▲▼▲▼▲▼



ベイル「馬鹿馬鹿馬鹿貴様やめろ落ち着け離せ話を聞け!!」


リズ「いいえわたくしはお兄様を離しません!例えお兄様が余命幾許と無いとしても、わたくしとお兄様に今生の別れなど訪れる事は無いのですから!」


ベイル「お、おい!貴様どうして服を脱いでいるのだ!!」


リズ「任せて下さいお兄様!その子種から採取したDNAを使い必ずやお兄様の肉体を再生して差し上げます!例え何年かかったとしても、わたくしは成し遂げてみせるのです!」


ベイル「ま、待て待てそんな事出来る訳が無──くっ、馬鹿貴様そんな所さするんじゃ、くあっ!」


リズ「うふふ、うふふふふ!お兄様見て下さいませ!お兄様のご立派なモノがわたくしを求めています!躍動しています!余命幾許も無いお兄様が私を求めているのです!」


ベイル「余命幾許も無い私の身体にこれ以上負担をかけるな!さするな!こするな!ぐぅ、き、貴様これ以上はよせ!」


リズ「ハァハァ……うふふふ、うふふふふふふ!さぁ、お兄様!無論わたくしの準備も整っております!余命幾許も無いお兄様を迎え入れる為の準備は万端です!快楽に身を委ね、快感のままに私の中でお果て下さいませ!」


ベイル「どうして余命幾許も無い私の子種のDNA採取が目的である貴様がそれを身体で受け入れる準備をしているのだ!!誰か!!誰か来てくれえええれ!!!」


リズ「細かい事はいいのです!さぁ、お兄様!おいで下さい!!」


ベイル「やめろおおおおおおおおお!!!!!!」



▲▼▲▼▲▼▲▼




エトワール「──……な、なんだその見窄らしい格好は……」


ベイル「危うく貞操を失い掛けた……。だがまだ安心は出来ん、今晩この部屋に泊めてくれ。それと、リズを絶対にこの部屋に通すな」


エトワール「別に構わんが……その前に服を着替えろ。まるで余命幾許も無いと宣告を受け正気を失った世捨て人の様では無い──おい聞こえているか?ベイル!おい!返事をしろ!ベイルウウウウ!!!」




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