墓碑銘は救いに満ちたあの空に似ていた
荒れ地にも 零れ落ちる 恵みの雫に
枯れ果てた 花に似た 僕は潤されて
鉄塊の ビルの群れが 崩れ落ちて
何ごとも ないように 砂になる
残された 僕らの命 捧げて
錆びかけた あの娘の指先に
ほとばしる光の 力を宿して
すべてを 別たず つなぎとめていく 空のように
この星を 駆け抜ける その魂の巡りあいよ
すべてが 守護され 離れることのない 空のように
僕らは 走り抜け いつか朽ちていく 墓標を見る
あぁ そこに刻まれた 墓碑銘は
許しと救いに満ちた あの空に似ていた ずっと
文明が 置き去りにした 原初の愛に
折れかけた 枝葉に似た 僕は拾われて
テクノロジーの 行く果ての 喪失感は
人類の 斜陽に訪れ 泣いている
残された 僕らの時間 掲げて
壊れかけた あの娘の首筋に
瞬く光の 力を授けて
すべてを 離さず 抱きしめていく 空のように
この星を 疾駆する その魂の邂逅よ
すべてが 守られ 崩れることなき 空のように
僕らは 振り向かず いつかたどり着く 墓標を見る
あぁ そこに打ち込まれた 墓碑銘は
晴れやかな笑顔を見せる その空に似ていた ずっと
昨日届いた手紙は 昔親しかった知人の 訃報を知らせるものだった
僕らに許されているのは せめて地球を傷つけずに 抱き合うことだけじゃないのか
彼の墓碑銘が 救いに満ちたあの空に似ていたのは 前にも言った通りだ
僕の親しき人よ どうかその笑い声と 開かれた心と魂のまま 地球の果てへ
砂と泥の中へ沈みゆけ
すべてを 結びつけ 口づけをする 空のように
この星を 走りゆく その魂の巡りあいよ
すべてが 傷つかず 許るぎない 空のように
僕らは 手を伸ばし きっと見つけ出す 墓標を見る
あぁ そこに刻まれた 墓碑銘は
泣きはらして 赤い目こする あの空に似ていた ずっと