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謙虚な魔法少女は電脳アイドルの夢を見るか?  作者: 武論斗
第一章 千葉市憂愁(チバシティ・ブルース)
8/9

7輪: 新千年王国の女神

 新町しんまちから要町かなめちょうの自宅に戻る迄に、4千mp近く獲得した。

 粗製エクステンパリ龍脈レイラインを避け、魔力を抑えながら歩いてたのに、仝儕はらから出没率が多くて、求めていないにも関わらずMP獲得してる。

 やっぱり今日は、エンカウント率が高いみたい。


 Mポイントは、現金化できないけど、1mp当たり1円と等価。

 WebMoneyやBitCash、Edy、千葉のローカルマネー「Chyber(サイバー)」とかで課金することも出来るけど、わたしは課金厨かきんちゅうじゃないからやったことない。クレジットカードで落とすことも出来るっぽいけど、それは大人にならないと出来ないらしい。

 変なアンケートとか商品購入、サービス加入、つまらないゲームとかでポイント加算されるけど、わたしはやらない。こんなことでMポイント稼ぐ子は、真の魔法少女とは呼べない。

 近所に廃課金魔法少女がいるけど、頭おかしい。


 家に着いたら玄関前の呪払じゅふつマットの上で目を瞑って深呼吸2回、玄関に入って脇に置いてあるファブリーズの(ダブル)除霊タイプを服に吹き付け、ドア正面の壁につけられた魔法鏡の前で顔を写してウインクを左右1回ずつ、舌を出して鼻の下をのばし、目を見開いて上目遣い、その後、洗面所に行ってすぐに手を洗ってうがいをする。

 仝儕との戦いは、悪い菌が付きやすいらしいので出来るだけ清潔にするのがいいの。

 玄関の鏡の前でやった変顔は、邪気を払う“おまじない”だから気にしないで。


 パパはヒト型重機のオペレーター、ママは魔法弁護士。


 ヒト型重機ってのは、工事現場とかでよく見る“はたらく車”の人型バージョンで、やっぱり工事現場で使われてるヤツ。

 稀に、自衛隊や警察の手が足りない場合、対仝儕用としてかり出されることがあるけど、こういうのってお約束通り、あんまり役に立たない。

 “大人(OTONA)”は総じて頭が硬いので、仝儕対策が全然できず、特にお金がいっぱいかかるようなモノに斬新なアイデアを注ぐようなことはできないので、大抵の場合、まったく役立たずのヒト型重機がでてきては、仝儕相手にドカーンとヤラレる姿をみる。

 パパは昔、傭兵をしていたことがあったらしく、特に仝儕相手の特殊な戦闘のプロフェッショナルだったらしいんだけど、日本に帰ってきたら国内に傭兵のお仕事がなく、一時いっときテレビに出て解説とかコメンテーターとかしてたみたいだけど、仝儕とかって完全にオカルト扱いなので変わり者的な感じで番組に呼ばれて面白がられるだけだったので今のお仕事に就いたみたい。


 魔法弁護士ってのは、普通の法学プラス魔法学の専門知識をもった弁護士で、魔法絡みの複雑で面倒なお仕事らしい。

 らしい、というのは、よく分からないから。

 パパと違ってママのお仕事は、なにをやってるのかよく分からない。お仕事関係の文章をみても、よく分からない。なので、ナゾのお仕事。

 おしゃべりが得意なので、おそらく、そういったお仕事なんだと思う。

 わたしには、魔法弁護士にはならないほうがいい、っていうくらいだから、あんまりいいお仕事じゃないのかも?

 勉強もたくさんしないといけないっぽいので、あんまり興味ない。

 ちなみに、ママも高校生くらいまで魔法少女をやってたのでちょっとした仝儕退治は簡単にやっちゃうけど、ママは服とか髪とか持ち物とか汚れるのが好きじゃないので、よっぽどのことでもない限り、自ら戦うとかはしない。


 ママは、ハリー・ポッターの影響でふくろう鴟鵂みみずくをたくさん飼っている。そのお世話は、何故かパパがみている。

 昔は、別の何かの影響で猫をいっぱい飼っていたみたい。ママは、比較的流行に流され易い。

 うちは女系の魔法使い一家で、家系的には伝承的・伝統的で格式高い筈だったんだけど、明治維新だか何だかの時、やたらとハイカラ好みの当時の当主、お婆ちゃんのお婆ちゃん辺りだかが西洋魔術を取り入れたみたいで、業界的に軽くハブられたみたい。

 わたしも新しいモノや流行が好きなので、もしかしたら家系的にそんな感じなのかも?

 だから、“組合”に所属してるの。


 わたしはペットを飼っていなかったから、ハムタロスがきたのは丁度よかったかも。

 詳しくは分からないけど、梟もペンギンも同じ鳥類だし、よく分からなかったらパパに聞くか頼めばいいし。


 わたしの部屋は、ほとんどのものがピンク色。

 ピンクは、わたしのオーラカラーで元気の源。

 元気があれば、なんでもできる。

 元気があれば、魔法も使える。

 元気は、アストラル・バディとエーテル・バディに作用するから凄く大事。

 魔力ってのは、器と内容物の関係性に似てて、内容物が所謂、魔力量に該当するの。

 内容物、つまり、魔力がからだったら魔法は使えない。

 なので、器がどんなに大きくても内容物、要は魔力がなければダメ。

 んで、器そのものは内容物に応じて成長するから、魔力が満タン状態じゃないと容量そのものが増えないの。

 ゲームみたいに最大魔力値が高ければ、勝手に魔力が満タンになるって訳じゃないから、常に内容物である魔力の現在量を気にする必要があって、それを満たす1つの方法が“元気”な訳。

 アストラル・バディが活性化していればエーテル・バディへのエネルギーになるから、本来はなんかしらの感情の強さとかでもいいんだけど、元気であればエーテル・バディそのものの循環も強くなるから元気が一番なの。

 わたしはオーラカラーのピンクに包まれることで元気になれるから、それだけで魔力が充塡されるんだ。

 ハムタロスをピンク色のペンギンにイメージしたのも、これが理由。

 これはわたしの予想だけど、林家ペー・パー夫妻のオーラカラーもピンクなんじゃないかな?

 調べたことないから分からないけど。


「ここが君の部屋かい、魔斗華まどか?目が痛くなるほど、ピンクまみれだね」

「かわいいでしょ!ピンクのお部屋♪ピンクの広間(サロン・ド・ピンク)って名前つけてるの♪」

「いやいや、魔斗華…ピンクはフランス語だとローズだし、そもそも、その組み合わせはちょっとマズイかも。その部屋名は、お友達には言わないほうがいいと思うよ…」

「え?そうなの??あっ、そうだ!ハムタロスのお名前、ピンキーのほうがいいかも!」

「え!?いやいや、魔斗華…一度、契約の時に付けた魔法名は、簡単には変えられないんだよ…」

「んー、ダメなの?あっ!じゃ〜、ピングーは?」

「!?いやいやいやいや、魔斗華…そっちはもう契約とかそう言う以前に著作権的にマズイよ…」

「えー!ダメなのかー。じゃ〜、しょーがないね、ハムタロスのままでいいや」

「……投げやりだなー、君は…」


 ハムタロスはキョロキョロと部屋を見回す。

 ガラステーブルの上に置いてあるノート型PCを見付け、羽をつかって指差す。


「さて、魔斗華。いよいよ、魔法少女として高名を得る為の活動、その第一歩を築くんだ。まずはパソコンを開いて」

「パソコン?なにに使うの?」

聖なる(ザ・ディヴァイン・)侵入インヴェイジョン、さ。

 さあ、魔斗華。君は魔法少女として伝説になり、新千年王国ネオミレニアムの神となるんだ!」

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