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謙虚な魔法少女は電脳アイドルの夢を見るか?  作者: 武論斗
第一章 千葉市憂愁(チバシティ・ブルース)
7/9

6輪: 予言される名うて

「そうそう、魔斗華まどかちゃん。胤獣いんじゅうに驚いて言いそびれちゃったけど、ここのところ、瘴気しょうきが凄く不安定だから気を付けて欲しいの」

琉麗るうらさん、それって前に黎子れいこさんがいってた占いのこと?」

「魔斗華さん、その占いのお話って黎子さんから直接聞いたのかしら?」

「うん、M∀MÏ(まみ)さん。この前話した“死人使い(ネクロマンサー)の王”のことだよ」


 愛璃あいりさんが怪訝けげんな表情を浮かべる。


「死人使いの王ッ…ハイパー名うて等(ノートリアスワンズ)!!!ワタクシ…苦手ですわ…」


 愛璃さんの魔法は、死人使いとの相性がすごく悪いの。

 ゾンビのような亡者アンデッド達は、精神系魔法や催眠術が効きにくいの。特に、亡者系の“超名うて等”は、愛璃さんにとっては鬼門。


「そうね。不安定な瘴気の原因がその死人使いの王だとしたら、今回、愛璃ちゃんはサポートに廻った方がいいわね」

「戦力的に考えると“協会”の子達に助っ人して貰ったほうが得策かも?」

「そうね、M∀MÏちゃんの言う通りね」

「えーっ!!わたし、“協会”の子、嫌いっ!」

「私も!」


 わたしと蘭子らんこちゃんは、協会所属の魔法少女達が嫌い。

 教えとかおきてとか伝統とか慣わしとか、とにかく、ルールばっかり雁字搦がんじがらめな子達で、古くさくてダサイ。

 いわゆる、宗教系・儀式系・継承系の子達が所属してるのが“協会”。

 わたし達みたいに、自由な発想とかハイテクとかオリジナリティあふれるオシャレでかわいい魔法少女が所属してるのが“組合”。

 組合と協会だったら、断然、組合のがいい!

 他にも連合とか財団ってのがあるけど、よく知らない。


「そうね〜、死人使いの王がそのまま(・・・・)死人使いの王なら問題ないかも知れないけど、仝儕はらから本人が亡者だったら厄介です。その場合、予め協会に助力を打診しておくのが有効だと思うのね」

「大丈夫だよ、琉麗さん!わたし、強くなったし、それにハムタロスもいるし」

「うん。でもね魔斗華さん、仝儕自身が亡者だった場合、それは高位の魔道士ウィザードである可能性が高いから、支援者サポーターはたくさんいたほうがいいと思うの」

「えー↓だいじょーぶなのに〜!M∀MÏさん、わたし、強くなったもん」

「魔斗華さん、過信はダメよ」

「過信じゃないよー、自信だよー。う〜ん、M∀MÏさんがいうなら仕方ないから、今回は協会の子達と協力するけど、いつもじゃ嫌だよ」


 M∀MÏさんは、わたしのお師匠さんだから言う事は聞かないと。

 でも、最近、小言が多くて、ちょっと萎えるんだよね。

 ──あ、そうだ!


「琉麗さん、お話したいことが──」


(ダメだよ、魔斗華!)


 ──え?

 この声は、ハムタロス。

 直接、脳に入ってくる。

 ESPによるプライベートTEL。


(ハムタロス?)

(そうだよ魔斗華。他の魔法少女達に聞かれないように、こうして話し掛けているんだよ)

(?ESPのプライベートTELでも、琉麗さんやM∀MÏさんならクラックとかチラ見できるよ?)

(いや、無理だよ。これは、契約している者同士の直結TELだから、余程の儀式や準備をしないと盗聴できないよ)

(そうなんだ?ところで、なんで聞かれないようにしたの?)

(魔斗華、君は琉麗にさっきの少年の事で相談するつもりだろ?)

(え、あ、うん。そうだよ)

(それはイケないよ、魔斗華。君達日本の魔法少女は、国が『魔戰ノ法規慣例ニ(かん)スル條約(じょうやく)』を公布しているから、要するにハーグ魔戦条約に批准しているから、人間を使い魔にする行為は、違法になってしまうんだよ)

(えっ!?違法なの!!?)

(そうだよ魔斗華。この事実が当局にバレたら、魔女裁判にかけられてしまうよ)

(えーっ!!!?困るよ〜!!!)

(だから、少年の事は秘密・・にしておこう)

(…うん、分かった…)


「なんの話なの、魔斗華ちゃん?」

「──ごめん、琉麗さん。忘れちゃった…思い出したら、また、聞くね」


 優しく微笑む琉麗さんに、ちょっと悪いなぁ、と思う。


(さあ、魔斗華。用事が済んだのなら早く家に帰って、有名になる為の自主活動の準備を始めるんだ)

(うん、そうだね。いつもはここでお茶してから帰るんだけど、今日は早めに帰ろう)


「皆さん、今日は用事があるから早めに帰るね」

「あら?魔斗華さんの好きなレアチーズケーキ、用意しておいたのに?」

「ごめんね、M∀MÏさん。さっき、急に用事できちゃって」

「残念ね〜…それじゃ〜、また今度、買ってくるね」

「うん、ありがとう!それじゃ〜、琉麗さん、愛璃さん、M∀MÏさん、蘭子ちゃん、またね〜!」

「はい、気を付けてね」

「バイバ〜イ」


 部屋を出てエレベーターに乗り、1階へ。

 ビルを出たら、今日はまっすぐ家に向かう。

 今日は、仝儕とのエンカウント率が高過ぎるから万葉要街路まんようかなめがいろを避け、魔力を極力抑えて帰ることにした。

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