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第99話 盗賊、足止めに掛かる

 街道を進む一行。

 その目の前に、老人が倒れていた。


「大丈夫か!」


 トクシーが駆け寄る。


「いやあ、旅の途中ですっ転んでしまいましてのう。申し訳無い。」


「立てるか?手を貸そう。」


 手を差し出すトクシー。

『済みませんねえ』と引き起こされる老人。

 その時よろめいて、トクシーと体がぶつかった。


「痛っ!」


「あらあら、ごめんなさいねえ。なかなか上手く立てなくて。」


「いや、こちらこそ油断してしまった。」


「あそこの木まで連れて行って頂ければ、寄りかかって回復出来るんじゃが……。」


「よし、肩に掴まれ。」


 親切心丸出しのトクシーは老人に肩を貸し、傍の大木まで連れて行った。

 寄りかかると、老人は礼を言った。


「ありがとうございます。助かりました。」


「うむ。気を付けるんだぞ。」


 トクシーは隊列に戻って行く。


「良い旅を。」


 そう言って一行を見送る老人。

 内心、ニヤリとしていた。




 それを遠くから見ていたベルズ。

 そう、老人は手下が化けた者。

 よろめいてぶつかる時、トクシーの体に毒針を刺したのだ。

 それはじわじわ効いて来る。

 最初は足から。

 しびれを伴い、動かなくなる。

 そして手。

 麻痺の感覚が増して来て、次第に使い物に無らなくなる。

 死にはしないが、これで当分前には進めないだろう。

 先頭のあいつは恐らく騎士だ。

 厄介払いは早い方が良い。

 邪魔な者から先に消す。

 それが鉄則。

 鉄則は正しい。

 しかしベルズは間違いを犯した。

 もっと邪魔な存在に気付いていないのを。




 スタスタと歩いて行く一行。

 その歩みは衰えを知らない。

 それはおかしい。

 漸く気付くベルズ。

 騎士はとっくに動けなくなる筈。

 何故止まらない?


『おい、ちゃんと毒針は打ったんだろうな!』


 戻って来た老人役の手下にひそひそ話す。


『勿論でさあ。奴も痛いと言ってましたし。』


『じゃあ何で、まだ倒れんのだ!』


『いやいや、あっしはヘマはしてませんぜ。ほれ、この通り。』


 差し出された毒針は、確かに血がしたたり落ちていた。


『毒を塗り忘れたとか?』


うたぐり深いなあ。じゃあ旦那に刺してみますかい?』


『わ、分かった。そこまで言うのなら信じよう。』


 ベルズは追及を諦めた。

 毒針は確かに刺した後がある。

 では何故毒が効かない?

 いや、今は次の手に移るべきだ。

 考えている間にも、連中がどんどん進んで行く。

 足止めになっていない。


『お前等!次の地点へ移動するぞ!』


『『おーーーっ!』』


 ベルズ達は一行の先回りをする為、即座に移動を開始した。




 荷車を連れている一行に比べ。

 身軽なベルズ達はすぐに追い抜き、先回りに成功した。

 森の地形を把握しているのも、機動力を上げる要因の一つになっていた。

 盗賊間では結構縄張り争いが頻発するので、すぐにでも作動出来る様街道にはトラップが満載。

 盗賊の巣に属さない野良盗賊も結構居るのだ。

 親父はそれを上手く利用して制御しているに過ぎない。

 と言う訳で、次のトラップに到着。

 後は手筈通りに。




 一行がそのポイントに差し掛かる。


『今だ!』


 手下がトラップを発動させる。

 しかし。

 何も起きない。

 一行は難無く素通り。

 街道の向こう側へ消えて行った。

 作動しないだと?

 おかしいなあ。

 手下が近付いた時。


「うわあああっ!」


 トラップ作動。

 手下が落とし穴に落ちた。

 直径2メートル、深さ1.5メートル程の穴の中。

 手下はもがいていた。

 別の手下が縄を垂らし、救出する。

 落ちた手下は馬糞まみれ。

 臭くて近付けたく無い。

 何よりこいつを伴っていては、臭いで居場所がバレてしまう。


「さっさと何処かで洗って来い!その足で、そのまま巣へ直帰しろ!」


 ベルズに怒鳴られ、『ひえええーーっ!』と飛んで行く手下。


「トラップは確かにあった。作動もした。しかし奴等は落ちなかった……。」


 何故だ……!

 疑問が深まる。

 ええい、次だ次!

 ベルズは移動を指示した。




 次のトラップは、文字通り爆破。

 火力に物を言わせ、木っ端微塵にしようとするのだ。

 適当にとは忠告されていたが、そうも言ってられないらしい。

 これで原因が多少は分かる筈。

 一行が、爆薬を仕掛けている地点に差し掛かった。


『起爆しろ!』


 3、2、1、爆破!




 ドーーーーン!




「何だ?」


 後ろを振り返る。

 森の奥で爆発音がした。

 逆に、街道にはダメージ無し。

 音がした辺りで、『ぎゃあああーーっ!』と叫び声が。

 手下が数人やられた様だ。

 くそう!

 何でこうなる!

 次だ次!

 負傷者とその介護をその場に置き捨て、次のトラップへと向かうベルズ。




 それからと言うもの。

 ことごとく妨害は失敗した。

 上からの網はベルズに被さり、木の枝に仕掛けられた矢は手下の方へ飛んで来た。

 数々の落とし穴はかわされ、涼しい顔で進んで行く連中に頭がカッカして来たベルズ。

 もはやプライドはズタズタ。

 形振なりふり構っていられない。

 最早、自己満足の為に。

 最後の手段だ!

 手下に配置に着かせると、一行が通り掛かるのをじっと待った。

 静かに、静かに。

 ただ胸の鼓動だけが聞こえていた。




 そして、時は来た。

 盗賊としてのプライドを賭けよう。

 お前らの命、残らず盗み取ってくれる!

 覚悟!

 四方八方から、盗賊の群れが一行に襲い掛かった。

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