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第70話 12貴族同士の再会

「さあ着いたぞ、降りろ。」


 馬車から降ろされるヨウフ。

 目の前には山脈と、その中腹に建つ屋敷へと通ずる参道があった。


「ここを登れと?」


「当然。」


 このやり取りで、自分が身をやつした事をまた実感する。

 貴族だった頃なら、誰かに自分の乗った籠を担いで登らせるものを。

 我が足で歩まねばならんとは。

 渋々登ろうとする。

 そこへ、聞き覚えのある声が聞こえて来た。


「やや!イレイズ殿ではないか!」


「そなたは……スラード殿!」


 憎きクライスと変な婆さんに挟まれてこちらに来るのは、紛れも無く12貴族の同胞。

 お互い、情けない姿になったものだ。


「お前の言っていた《お友達》とは……!」


「そう言う事だ。」


 目つきの悪い小男と、プライドだけは一人前の半人前。

 実はかつて、共に同じ錬金術師に術を習っていた時期があった。

 その後ミセルはすぐに潜伏任務を与えられ、ヨウフもまた分断作戦に就いた。

 錬金術が甘いのは、習得するに十分な時間が無かったからだ。

 一応、才能は有る様だが。

 久し振りの再会が。

 異国の地、しかも捕らわれの身とは。

 感慨深くも何とも無い。

 それに追い打ちを掛ける様に、クライスはヨウフへ尋ねる。


「感動的な場面に済まんが、1つ聞きたい。」


「何だ?」


 今更、何を聞く事があろうか。

 ヨウフは不思議だった。


「【ワルス】と言う人物に心当たりはないか?ミセルは知らないと言うんでな。」


「聞いた事も無いな。」


 淡々と答える。


「では【ヴェード】と言う奴は?【ヴェロニカ・ハン・スウェード】と名乗る、自称錬金術師だ。」


「それも知らんな。一体何者だ?」


「メインダリーの指揮官さ。知らないなら、それで良い。」


 ふむふむとクライスは頷いた。

 関係性は何と無く掴めて来た。

 後は……。


「一緒に来て貰おうか。どうせミセルも向かうんだ。」


 屋敷を指差すクライス。

 そしてその間にそーっと逃げようとする婆さんに向かって、大声を掛ける。


「お前さんも来て貰う。お目付け役として。」


「冗談じゃ無いよ!これ以上は付き合い切れないね!」


 そう言って変装をバッと剥がす。

 婆さんは若い女性に早変わり。

 面食らうヨウフ。

『アチャーッ!』と言った顔を右手で覆うミセル。


「そう言っても、付いて来たくなるさ。今度会いに行くのは、大物だぞ。」


 そう言って、リゼに耳打ちするクライス。

 スーーッと顔付きが凛々しくなるリゼ。


「そう言う事なら任せな!但し、子分も連れてくよ!良いね!」


「それは助かる。世話する人間は居た方が良いからな。」


 その世話する人間の中に、自分が含まれていると気付かないリゼ。

 どこから居場所を嗅ぎ付けたのか、『姉御ー!』と駆け寄る子分達。

 2人なりに、こっそりと町を堪能したらしい。

 肌はつやつや。

 足取りもしっかり。

 自分の行動を突っ込まれたく無いので、敢えて触れないリゼ。


「お前達!これからあたい等は、護衛と接待の任務に就くよ!」


「任務って何ですか、姉御ー。」

「俺達盗賊じゃ……。」


「ごちゃごちゃ言うんじゃないよ!分かったら、綺麗に身なりを整えて来な!後、あたいのドレスも見立てて置くんだよ!」


 そう言って、クライスから渡された金塊をドスッと預けられる2人。

『また換金かー』と呟きながら、2人は街中へ戻って行った。


「さあ、詳しい算段を聞こうじゃないか。」


 張り切って参道を登り始めるリゼ。


『あいつはいつもこうなのか?』


 ボソボソとクライスに尋ねるミセル。

 変わり身の早さに、流石に呆れていた。


『あんなもんだな、出会った時から。』


 知り合ってからの期間は短いが、リゼの本質は理解し易かった。

 単純、故に御しやすい。

 自分に正直なのだろう。

 クライス達も、参道を登り始めた。




 それから2日後。

 セントリアに向かって旅立つ一団。

 クライス達5人。

 ミセル、ヨウフ、ヴェード。

 後スティーラーズの3人。

 護衛の為の近衛隊が何人か、領地境まで付き添い。

 領地境では、セントリアからの護衛隊が待っている筈。

 そこでバトンタッチ。

 何事も無く平和な旅に、今までの反動で物足りなく感じるラヴィ。

 曽てはそれが当たり前だったのだが。




 話を、ヨウフがパラウンドに着いた時期に戻そう。

 その頃、アリュース達もテュオに到着していた。

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