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第60話 ヴェード、打ち倒す

 ヴェードの息は切れていた。

 毒の爆弾を投げつけても。

 強酸を生み出しぶっかけても。

 クライスは平然としている。

 かなり焦っていた。

 何とかしないと……。

 ……。

 ……。

 そうだ!




「どうした?もうお終いか?」


 クライスが煽る。


「それはお前だ!」


 床に右手を付くヴェード。

 胸に下げた石を左手で握り締め唱える。

 すると床がグニャアッとうねり、屋敷の門の方へ波打って行く。


「分かった、分かったぞ!お前の企みが!」


 こいつは時間稼ぎをしている。

 仲間を逃がす為の。

 ではそいつ等を捕らえれば……!




「ぎゃあああああっ!」




 遠くで悲鳴が聞こえた。

 ハッとクライスが振り返る。


「どうだ!お前の仲間は捕らえたぞ!」


「何をした!」


 向き直りヴェードに怒鳴るクライス。

 明らかに顔色が変わっている。

 ビンゴ!

 ヴェードは心の中でそう叫んだ。


「残念だったな!仲間は捕らえた!絶対に逃がさんぞ!」


「くっ……!」


 悔しがるクライス。


「何が目的かは知らんが!知られた以上、生きては返さん!」


 ジリジリとクライスに近付くヴェード。


「おっと、動くなよ。少しでも動いたら、仲間の命は無いぞ。」


 不敵な笑いを浮かべるヴェード。

 懐から短剣を出し、クライスの胸に突き立てる。




「死ねええええぇぇぇぇぇぇぇ!」




 グサッ。

 鈍い音がした。

 泥に手を突っ込んだ様な、鈍い感触。

 刺した。

 心臓を。

 でもこれだけでは不満。

 憎悪の塊は、クライスの体を刺し続けた。

 手。

 足。

 首。

 胸。

 腹。

 何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も。

 漸く気が済んだのか、ヴェードはクライスから離れた。

 完全に血まみれ。

 辺りは真っ赤。

 ここで高笑いするヴェード。

 アハハハハハハハ!

 ざまあみろ。

 私が一番強いのだ。

 一番優れているのだ。

 フハハハハハハハ!



 その様子を、椅子の陰から見ていたサーボ。

 背筋が凍り付く。

 こいつの本性が、これ程薄汚なかったとは。

 儂もあいつの様に殺される。

 そうだ、今の内に逃げよう。

 そう考えた。

 しかし、体が動かなかった。

 蛇に睨まれた蛙の様に、硬直していた。

 それを見つけたヴェード。

 ニヤリと笑い、言った。


「お前はまだ利用価値がある。殺されたくなければ、今まで通り私の言う事を聞いていれば良いのだ。」


「ひいいいいいぃぃぃぃぃ!」


「分かったな?」


「!」


「分かったな!」


「はいいいいぃぃぃぃぃぃ!」


 恐怖に染まったサーボは、そう返事するので精一杯だった。




「さて、これをどうするか……。」


 クライスの死体を眺めながら、ヴェードは考えた。

 こいつはやたら錬金術に耐性があるらしい。

 錬成した物がことごとく効かなかった。

 しかしナイフで刺せた辺り、物理防御は人並みの様だ。

 なら、錬金術の実験体にするか?

 丁度良い、色々試したい事があったのだ。

 クライスの服の襟元を掴んで、引き摺ろうとする。

 その時。




「おーいクライス、面白い物を見つけたぞー。」


 フワフワと、光の玉になって飛んで来るオズ。

 それを見て、驚くヴェード。


「お前は使い魔か?」


「へえ、分かるのかい?俺が何者か。」


「当然。」


 そう言って、首に下げた石を見せる。


「これは大きな賢者の石だな。」


 へえ、と感心するオズ。


「そうだ。これ程の大きな物を扱える者はそうそう居ない。」


 自慢気に語るヴェード。

 しかし、その価値をあっさり否定するオズ。

 感心したのは賢者の石の大きさであって、ヴェードの技量では無い。


「大きければ良いってもんじゃ無いけどな。まあ、奢るのも仕方無いか。」


 そう言って、ヴェードの握り締めている物を見てギョッとするオズ。


「それってまさか……!」


「そのまさかだ。驚いたか。私に逆らったからこうなった。それだけの事だ。」


 わなわなと震え出すオズ。

 そしてとうとう泣き出す。

 その姿に満足するヴェードだった。

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