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第212話 魔物も、元は

 魔物。

 この世界に存在する、異形の者。

 大抵は動物の様な恰好をした、小さな成り。

 これ等がここで暮らしている訳とは?

 魔法使いのメグが語る内容は、以下に。




 異形の姿をしているが。

 人の言葉を話し、人の考えを理解する。

 動物とは違って。

 何故か?

 理由は簡単。

 元は《人間》だったから。

 〔この世界の〕では無い。

 〔別に存在する世界〕から、彼等はやって来た。

 その過程は、こう言う事。




 どの世界にも、突然行方知れずとなる人間は居る。

『神隠し』とも表現されるその現象は。

 実は、偶然開いた次元の裂け目に入り込んでしまう事なのだよ。

 裂け目の先は、高次元帯が広がっている。

 少なくとも3次元より上、時には8次元辺りまで。

 そこに放り出され、成す術も無く漂っている内に。

 身体はエネルギー体と変化し、次元帯に霧散して行く。

 残るのは、《魂》と一般的に呼称される物。

 《記憶の詰まったプラズマ》とでも言おうか。

 平たく言うと、『雷の様になった脳』。

 それがポウッと光りながら、ふよふよと次元の海に浮かんでいる。

 魂もまた、エネルギーの別の形だから。

 霧散してしまうのが普通。

 だがそうなる前に。

 別の世界へと抜け出る事が出来た幸運な魂も、稀に現れる。

 次元帯から世界空間へと移動した魂は、裂け目へ落ちる前の記憶を元に体を再構成する。

 生活が出来る様に。

 記憶の中で最も縁の深い生き物の姿が、再構築時に影響を与える。

 オズはキツネと犬。

 メイは猫。

 それぞれ形が異なっていたり、複数の動物の特徴を持っていたりするのはその為。

 こうして、この世界に留まる権利を得る。

 魔境なる物が存在し、そこで人間が暮らし辛いのは。

 大きな次元の裂け目がぽっかりと空いていて、異世界の魂が流れ込むから。

 次から次へと魂が行き着き、魔物として再生する。

 エネルギー体としては少量な為、成りは小さい。

 エネルギーを吸収すると、体が肥大化したり性格が狂暴になったりする。

 吸い取った魔力の質にもよるけど。

 かつてオズが巨大化したのは、周りに漂う魔力を吸収した結果。

 魔力解放後縮んだのも、同様の理由。

 しかし質の高い魔力を一気に浴びると、魂に刻まれた元の人間の姿に短時間だが成れる。

 〔闇の戯れ〕で黒い球体に触れ、人間の姿となったメイが。

 そこを『流転の地』と表現したのも、これで納得が行くだろう。

 黒い球体は10種の魔力が均等に混在している為、質がかなり高い。

 密度も濃いので、触るだけで元来の姿へ戻れる分の魔力が補充出来る。

 但しメイがかなり前、説明した様に。

 繰り返すと、この世界で得た身体もエネルギー化し戻れなくなる。

 そうなると、大地の魔力の流れに取り込まれ。

 当分の間彷徨う事となる。

 再びこの世界で生命体として生まれ変わるチャンスは、そう無いのさ。

 だから魔法使いのボクは、闇の戯れへの出入りを厳重に管理している。

 使い魔となった魔物が魔力と成り果てぬ様。

 そして、過剰に魔力を吸収して暴走しない様。




 では、ボクがこの世界を訪れる前は?

 実は、かなり荒れていた。

 魔物はあちこちで暴れ回り。

 人間や森に棲む動物は、その影から怯えて暮らしていた。

 魔力の吹き出す場所も、現在より多く。

 量も大きかった。

 人間の暮らす場所も限られ、今よりも生息範囲は狭かった。

 それをうれいたボクは。

【もう1人】と協力して、対処に当たった。

 魔境に有る次元の裂け目を安定化し。

 魔力の吹き出し口も絞って、数か所に限定。

 人間にそこへ近寄らない様警告し、自ら管理する土地とした。

 更に【或る者】が。

 魔物が魔境から人里へ侵入するのを制限する為、テューアを築いた。

 これで人間は安心して暮らせる様になり、目の敵みたいに扱われる魔物の安全も保障する事となった。

 人間も魔物もそれ等に感謝し。

 使い魔となった魔物は感謝の意を込めて、ボクの事を『ご主人』と呼ぶ様になった。

 以上。




 メグの話が終わり。

 納得の行く様な行かない様な、微妙な表情をする一同。

 オズがこなれた執事裁きを見せたのは、前に居た世界で同じく執事をしていたから。

 仕えていた者と一緒にキツネ狩りをたしなんでいたので、今の姿に成ったのだろう。

 オズは自らそう言った。

 メイは、可愛がっていた猫の記憶から。

 ポツリとそう漏らした。

 ラヴィ達が今まで遭遇して来た魔物達。

 ウィドーやワイリー、ペコやイェト。

 モズ等も、そんな感じだろう。

 となると、私がそんな事態になったらどうなるのかな?

 ラヴィはふと思うが、すぐに撤回。

 ネガティブな想像に思えたから。

 野望を達成し、人間として一生を終えたい。

 そう願った。




 テノが右手を挙げ、メグに質問。

 今の話の中で、気になる事が有った。


「魔力の吹き出し口がそれ程危険ならば、何故全て封印しないのですか?」


「お、良い質問だねー。」


 感心するメグ。

『それはだねー』と前置きして、語る。


「この世界に対して、常に余剰の魔力が流れ込んでいるからだよ。」


「余剰、ですか?」


「そう。魂が次元の裂け目を通って来る、そう話したよね。」


「はい。」


「魂もエネルギー、魔力の一形態とも言ったよね。」


「それが……はっ!」


「気付いたかい?高次元帯から来るのは何も魂だけじゃ無い。エネルギー其の物も入って来るんだよ。」


「それが地中を廻り、やがて噴き出す……。」


「ご明察。それをボクが回収して、また裂け目から放出してるんだよ。」


「つまり、それを止めるには……。」


「裂け目を塞げば良い。完全にね。でもそうなると……。」


「あなたがこの世界から出られない、と。」


「元々、こんなに長く留まる予定じゃ無かったんだ。」


「何か、むずがゆい気分だなあ。」


 ロッシェが口を挟む。

 何かを遠回しに誤魔化している、さっきからそんな感じに聞こえるのだ。

 その気持ちを察したメグは、『鋭い!』と言ってロッシェを指差す。

 そして、こう言った。


「今までの話は、まだ本題じゃ無い。これを説明しておかないと、核心に触れられないからなんだ。」


 魔法使いに付いて。

 魔物に付いて。

 魔力の流れに付いて。

 それを前提として解説をするとしたら。

 あの話題しか無い。

 メグは続ける。


「さっき言ったの、気付いてるかな?《もう1人》と事に当たったって。」


「確かに聞きましたが……。」


 そう答えるセレナは、薄々感付いているらしい。

 その予想に応える様に、クライスとアンの方を見て。

 メグは言った。




「ボクはこの世界に、一人で来たんじゃない。一緒だった人物が居る。それが【始まりの錬金術師】と呼ばれる、そこの2人の先祖さ。」

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