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第6話

「ピピ子! 魔法は切れたか!」


「ピィ!」


 撃破数も400を超えた辺りから二人は劣勢に立たされていた。


 ────────《ステータス》───────


 種族:スクラップゴースト《個体名:洲倉 風》


 Level:11/20


 経験値:35/110


 体力:221/245【最高】


 スタミナ:200/255【最高】


 魔力:450/450【最高】


 攻撃力:255/255【最高】


 防御力:256/256【最高】


 スピード:255/255【最高】


 生命力:01[×5=2|<9々/〆|2々48=5【究極】


 《妖精化:魔力に補正【+50】。不老。【相互生命(リンクライフ):何方も生きている限り死なない。お互いが生きている間は傷付いても即時治癒される】》


【契約主:スクラップフェアリー】


 ────────《スキル一覧》───────


 強酸防御:酸による肉体の損傷を無くす。防御力に補正【+10】。9/100


 昏睡耐性:あらゆる現象、攻撃に気絶しなくなる。防御力に補正【+5】。45/100


 運動効率:運動効率を上昇させ、スタミナの消費を軽減させる。スタミナとスピードに補正【+10】。進化可能【運動性能】。100/100


 来訪者:他の世界よりやって来た来訪者自身や魂に与えられるスキル。一部スキルが優遇される。スキル経験値なし。


 未練:死者限定のスキル。この世にやり残した未練が残っている者に与えられるスキル。未練が満たされた時、君は進化する。10/100


 ステータス閲覧:来訪者専用のスキル。自分のステータスのみ閲覧できる。スキル経験値なし。


 天使の声:来訪者専用のスキル。あらゆる問いに答え、明確な正解を返す声が聞ける。スキル経験値なし。現在、使用不能。


 妖精の加護:Levelの上限が種族値の最高Levelの4倍になる。獲得する経験値が倍になる。妖精は誠実な者のみに加護を与える。全てのステータスに補正【+50】。


 妖精の愛:体力とスタミナ、魔力が回復し続ける。妖精王国(フェアリーテイル)への(ロード)を開ける。妖精は真の愛を知る者だけに愛を示す。全てのステータスに補正【+100】。


 妖精の心:契約した妖精と添い遂げる。状態に《妖精化》が常時発動。魔力に補正【+200】。純真無垢な妖精の心は愛する者のみに送られる。


 素手喧嘩(ステゴロ):度胸がつく。怯まない。格闘技に憧れる奴は、どんな形であれ誰だって望んでるんだ。進化可能【格闘】。100/100


 強敵殺し(ジャイアントキリング):自分より格上の敵を倒した者に与えられるスキル。どんな方法であれ、勝利は勝利だ。攻撃力に補正【+10】。体力に補正【+10】。


【常時発動】【自分よりLevelの高いモンスターに与えるダメージ量がX倍になる。


 X=(《スキル取得時に倒した敵のLevel》−《スキル取得時に相手を倒した時の自分のLevel》)】

 ──────────────────────


 ────────《ステータス》───────


 種族:【スクラップ】フェアリー《個体名:ピピ子》


 Level:14/15


 経験値:105/550


 体力:138/138 【高】


 スタミナ:263/300【高】


 魔力:0/750【低】


 攻撃力:130/130【高】


 防御力:130/130【高】


 スピード:705/705【高】


 生命力:155/155【高】


 《スクラップ化:魔力にマイナス補正【-500】。魔力以外のステータスに補正【+100】。【凶暴化:元種族の補正により無効。性格に若干の変化あり】》


 【契約者:洲倉 風 《親愛度:100/100》】


 ────────《スキル一覧》───────


 立体機動効率:立体機動効率を上昇させ、スタミナの消費を超激減させる。スタミナとスピードに補正【+30】。50/100


 飛行性能:飛行性能を上昇させ、スタミナの消費を激減させる。スタミナとスピードに補正【+30】。70/100


 逃げ切った者(ランナー):自分より格上の相手から逃げ切った者に与えられる。逃げた先に勝利を見出せ。スタミナとスピードに補正【+40】。


 固定砲台(キャノン):遠距離攻撃で敵を近付かせず、撃破した者に与えられる。弾幕も砲弾も威力によっては変わらないだろ? 魔力に補正【+50】。


 超神経:超高速の中で動き回った者に与えられるスキル。ある一定の速度に達した瞬間に世界は君を忘れ、世界に自分を刻み込める。スピードに補正【+100】。


 スクラップ魔法:スクラップを召喚する魔法。魔力に適性種族以外に対するマイナス補正【-300】。56/100


 光魔法:妖精王国(フェアリーテイル)の妖精にのみ許された魔法。破邪の力。スキル経験値なし。


 妖精の祝福(フェアリーギフト):三回だけ使えるスキル。特定の人物に特殊スキル:【妖精の加護】【妖精の愛】【妖精の心】を与える事が出来る。契約者の全てのステータスに補正【+50】


 ──────────────────────


 連戦に次ぐ連戦により、ピピ子は魔力が尽き、風は精神的に参っていた。


 ピピ子が請け負っていたゴブリンが一気にやって来た。


 何故スキルを進化させないのか? 本来なら天使の声によって可能だったステータスを見ずに行うスキルの進化が機能不全だからだ。理由は言わずもがな。


 さて遂に仕留めたゴブリンが500を超えた時に横っ面から突進を受けた。1体なら良かったが、三体が風の左脚を一点に狙ってきた為、体勢が崩れ、床に倒される。


「くっそ! 」


 急いで脚にしがみついているゴブリンの頭を右脚で潰し1体は倒せたが、右脚に攻撃を受けてしまう。


「いっ! てぇなぁ!!」


 大したダメージでは無いが精神の消耗と単純作業の繰り返しで怒りが爆発する。右脚を攻撃した個体を蹴り殺し、何と左足を自らの意思で膝の部分から外した。【隠し固有スキル:換装】だ。そして虚をつかれたゴブリン達に向かって左脚だった傘を掴み、しがみついているゴブリン2体ごと座っている状態で振り回し始めた!


「おりゃぁあああああああ!!!!」


「ピィイイイイイイイイイ!!??」


 攻撃力に物を言わせた怪力と遠心力による攻撃。傘にしがみついていたゴブリンは勿論、周りにいたゴブリン達も元のスクラップに戻された。


 その勢いは凄まじく、さながら竜巻。風の頭の中にいるピピ子も外に投げ出されない様に狭いヘルメットの中で飛んでいたが、暗いヘルメットの中とアイシールドの隙間から瞬間的に来る光の所為で、若干テレビショックにも似た混乱状態に陥る手前だった。


 その竜巻の威力に恐れをなしたのか、或いは【分裂】用の食糧補給の為か、生き残ったスクラップゴブリン達は自分達が来た方向へと去っていった。


「風さん♡ 居たぁ♡」


「うお!」


「ピィ……? ピィ!ピィピ!! ピ!!」


 背後から抱き着かれる風。その様子を目を回していたピピ子が回転の勢いで前後が逆になったヘルメットの中から確認し、「あたしの旦那に何すんだ!!」と言わんばかりに割れ目から抗議の声を出す。


「あ、センパァイ♡」


「ピ!?」「え!?」


 その反応に思わず2人共凍りつく。彼らの心境は一致している。「どういう風の吹き回しだ!?」が、もっともだろう。この二人は更に驚く事になる。


「二人共、見てくださいよぉ〜。私ぃ、スクラップに成ったんですよぉ〜」


 確かに彼女はスクラップに成った。彼女が見せた羽はスクラップで出来た物。腕もよく見れば覆われて鋭さも折り紙付きだとスクラップは感じた。彼女の脳は更にスクラップに成ったとも思った。


 彼女の言動は、まるで先輩OLの彼氏に抱き付いて、2人のペアルックに被せた服を着た後輩の天然系腹黒OLの所業。2人は戦慄していた。


 さっきの時より100倍やばい……! 面倒くささは更に100倍やばい……!


「あ〜? 風さん、レベルアップしてる〜! 先輩も〜! 風さんは二つぐらいスキル進化できますよぉ〜!」


 その言葉に2人は固まり、急ぎ風は宣言した。


「ステータス!」


 そうして出て来たステータスには確かに彼女の言う通りの事が追加されていた。スキルの進化も実行し、風は目の前の女の真意を問い質す。


「なぁ、あんた「ユダって呼んでぇ〜?」……ユダは何の為に此処に?」


「もちろん! 風さんとぉ、先輩の仲間になろうと思って来たんですよぉ〜!」


 何とも軽い仲間宣言。今までの物語でこんな軽いイベントシーンがあっただろうか?


 そのあまりの軽さに2人は無言のまましばし前後逆転した頭の状態で、ユダを風の体に抱き付かれ続けた。


「あの、そろそろ離れろ」


「え?嫌でしたか?」


「いや、お前で【未練】が少し増えたら嫌だな。と」


 フラグが立った。


「あー! しっかり増えてますね! しかも20も!」


「ピィー! ピピピィ!?」


 しっかり増えていた事を声に出して指摘する性悪女。それを聞き、「私とのキスは!? たった10なのに!?」と、よく分からない怒り方をしているピピ子。


「……俺、単純すぎだろ」


 自らの男の部分の馬鹿正直さに呆れを通り越し、諦める虚しい男。この男の旅は始まったばかりであり、前途は多難だ。


 その頃、地下第一階層と地下第二階層を繋ぐ中間地点の部屋にて。


 突如として虚空から現れたそれは、巨大だった。


 太い腕に太い脚。肥えているのでは無い。鍛え上げられているのだ。


 天を刺す様に雄々しく突き上げられている角。浅黒い肌に闇の中で浮かび上がる茶色の毛色。


 胴体には厚い胸板を貫通し、心臓を一突きにしたと思われる両刃の大剣の痕。


 かの有名なミノタウルスの死体がストーダ大廃棄場に吸収されていた。


 スクラップが彼の周りに集まり始め、失った体の箇所を補う形で接合していき彼に新しい命が吹き込まれる。


 彼は目覚め、咆哮(産声)を上げた。


『オオオオオオオオオオオ!!!!』


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