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ポズウェル兄弟の日常と非日常  作者: 佐伯亮平
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楽しんでいって下さいね。




登場人物



ジョージ・ポズウェル(19才)


ボストン大学に通う学生。専攻は神話や歴史など。性格は素直、見た目はリスのようで、双子の弟がおり、髪の分け目で判断してもらっている。弟は飛び級でハーバード大学メディカルスクールに通っている。いいとこのお坊ちゃん。洗礼式でもらった弟とお揃いのメダイをお守りのように肌身はなさず身につけている。名前の由来はジョージィ・ポージィから。特技はクラリネット。双子のせいか19才でありながら二人ともミドルティーンに近い風貌をしている。



ジョシュア・ポズウェル(19才)


飛び級でハーバード大学心理学部首席卒業後、ロングウッド医療地区にあるハーバード大学医学大学院に通う。心理学博士号取得済み。

兄とは性格が真逆。常に冷静。怜悧。それはヘビと形容されるほど。

だがある条件下では感情的になることも。また独自に心理学・毒物なども研究している。

論文も書いているが未発表。

兄と違い、なるべく一人でいることを好み、自宅以外では食事、カフェともに、家族以外、基本的に単独かジョージと行動。図書館で本を借りては、スクール内の誰も来ない場所で読書している。特技は絵で、バイオリン、チェロ、ピアノを弾きこなす。ドイツ語は医学に必要なので習得済み。フランス語も小さい頃から習い、兄ともに習得済み。他はラテン語。

バイオリンはストラディバリウス。メディカルスクール入学時に父親から贈られたもので名前はベアトリーチェ。

軽い弱視があり必要なときのみ眼鏡をかける。

モデルはユナボマー。潔癖症。





プロローグ





 夏が訪れた。

 僕は兄さんと違って夏が好きではない。けれど、その季節特有の郷愁めいたものは理解できるが、やはり冬の方が好きだ。そう言えば、日本から来た医学留学生はこう言っていた。「ボストンは暑いわりに湿度がない分、過ごしやすいですね。これが日本ならば、ぐったりしてしまう」と。そして彼もまた、僕と同じように冬の方がいいらしい。

 アメリカの大学と大学院は、何も一辺倒に勉強だけしていればよいという訳ではなく、長い休みに入れば課外活動も並行しなければならない。前々から思っているけれど、僕は甚だこれが嫌でならない。

 去年はそれをボストンで行ったが、今年はどうしようかと兄さんと話していたら、父さんがフランスに行ってみたらどうだと言った。話しを訊くと、父さんの仕事で知り合ったフランス人が城を所有していて、「もしよければご家族で遊びに来て下さい」と言ってくれたらしい。結局、僕達は他に何も思いつかなかったので、フランスへ赴くことにした。父さんにそのことを伝えると、今年新たに作られた大型蒸気船〈メイド・オブ・ザ・ミスト号〉の一等船室のチケットを手配してくれた。







 船が岸から離れ、仕事で来れない父さんの代わりに見送りへ来てくれた母さんが見えなくなったのを機に、僕達は客室へと向かった。中は一等船室だけあって、とても広く、内装は落ち着いたビクトリア様式で整えられている。小さいが金庫も備え付けられていた。

 これから僕達の乗った船は、一週間かけて寄航地であるリオン湾に面したマルセイユ港へ向かう。そこから目的地である南フランスのジェヴォーダン地方(現ロゼール県の一部)へ行く。着いた日はそこへ泊まり、次の日に迎えが来ることになっている。

 僕はトランクから荷物を出した。本、着替え、眼鏡、阿片チンキ、兄さんが誕生日にくれた銀尖筆、スケッチブック。銀尖筆は、かのレオナルド・ダ・ヴィンチも使っていたもので、描いた線は空気に触れて徐々に黒色へと変化していく。半永久的に使える代物でとても重宝している。

「あ! ジョシュア! また本を持ってきたんだね。この一週間だけは、本を読むの禁止!」

「兄さんが一週間、僕と一緒にいて、退屈を紛らわせてくれるのなら読まないよ」

「……それは無理だよ」

「じゃあ、この話しはご破算だね」

 僕は着替えをクローゼットに入れて言った。

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