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マイ・レボリューション  作者: 過酸化水素水子
一章
5/10

4: 館を探検Ⅰ

2010/10/19 三日後を五日後に修正


「このままお帰り頂くのが一番なのですが、流石にそれは辛いでしょうし、そうですな……。五日後に、食材を運搬するヘリが到着する事になっております。そのヘリに乗って帰られると良いでしょう。それまでは当館にご逗留下さい」


 そう筋肉爺さん執事が言ってきたので、アタシはこの館に五日間は滞在できる事になった。

 正直、帰りは不安だったので、その申し出はありがたかった。

 迷うことなく、アタシは了承する。

 アルフもそれを望んでいたのか、その決定にとても喜んでいた。


 そして、そのアルフによって、アタシは客室に案内される。

 食堂から再びホールに戻って、脇にある二階への階段を上がり、向かって右側。丁度食堂の真上辺りか。

 の所にある客室が、どうやらアタシにあてがわれる部屋らしい。


 中に入ると、思わず唖然としてしまった。

 まるでおとぎ話のお姫様が使っているような、天蓋付きのベッド。

 真紅の綺麗なカーテンに、天井にはシャンデリア。

 豪華なカーペットが敷かれている、大体三十畳くらいの広さの部屋だった。

 部屋の隅にはバスルームらしき存在も確認できた。


 恐る恐る近づいて、ベットの感触を確かめると、軽く押した右手がどこまでも沈んでいった。

 や、柔らかいっ。


 アタシだって、こんなベッドに憧れた事が無い訳ではなかったけど――――

 あんまり寝心地は良さそうには見えない。

 部屋も無駄に広すぎて、落ち着かない。


 それじゃなくても、アタシの住んでいる部屋は四畳一間のワンルームだ。

 ちょっと居心地が悪い、というどころじゃなかった。

 悲しいけどアタシは庶民派だったみたい。


「あ、あのさ。悪いけど、違う部屋に変えてもらえない?」

 そう。せめて十畳くらいの。

 アタシが尋ねると――――


「え? ああ、ごめんね。狭かったかな?」

 なんて、このお坊ちゃまはのたまった。


「い、いや。そうじゃなくて、もっと狭い部屋は無いの?」

「え? ここは一番狭い客室だよ? 爺がね、あんまり広いとマイカが逆に居心地が悪くなる可能性があるから、そうした方が良いって……」 

「ああ……そう」


 爺さんはアタシの事が分かっているようで、分かっていなかった。

 常識人風に見えても、この大豪邸の住人って事か……。

 アタシはガックリと肩を落として、この部屋でいい、と囁くようにアルフに告げた。

 

 部屋に案内されたものの、まだ三時頃だったので、寝るには早すぎる。

 荷物も何も持ってきていないので、着替えなんかも出来ない。

 まあ、服は乾いていたので別に着替える必要なんかはないけど。


 結局何が言いたいかと言うと、つまり暇だった。

 なので、嬉しそうに提案してきたアルフの話に、アタシは迷うことなく乗った。


 アルフの提案とは、館案内をしてくれるというもの。

 館の中で遭難してもおかしくない広さだからね。

 確かに説明を受けておかないと、おちおち部屋の外にも出られない。


 そうして、アタシ達は屋敷の探検に出かけることになった。


+++


 アルフの話によるとこの豪邸には、それはそれは色んな部屋があるらしい。

 大広間、応接間から始まり、遊戯室、大浴場まで。

 客室も、一体何部屋あるのか、アルフ自身も把握していないと言う。


 家の人間が把握できていない部屋数って……。

 アタシはただ呆れるばかりだった。


 ただ全部屋を案内されても困るから、アタシはトイレや、風呂場など、幾つかの部屋しか案内を頼まなかった。

「短い間しか居ないんだから、部屋は最小限知っておくだけで良いわよ」

「残念だなぁ……」


 アルフはそれを聞いて、非常に残念そうな顔をしていた。

 このお子様は一体、幾つの部屋を案内するつもりだったんだろう……。


「あ、だったら、あそこを案内しておくよ。きっと息抜きになるから!」

 アルフは沈んでいたかと思えば、また瞳をキラキラさせだして、アタシの手を掴む。

 よほど連れて行きたい場所らしい。

 そのままアタシを引っ張り出した。


 意外に、力が強い。 

「痛いって、引っ張るな! 行くって! ちゃんと行くから!」


「早く、早く!」

 まるで子供だ。

 引き摺られるようにして、アタシはアルフに目的の場所まで連れて行かれた。


+++


「植物園?」

「うん、そうだよ。ここには世界中の色んな植物を集めて育ててるんだ。ここにあるのは夏の植物だけだけどね」

 アルフに強引に連れ出されたのは、館の中庭にあるガラス張りの温室だった。


 この館、アタシが来た方からは分からなかったけど、どうやら『凹』のような形状をしているみたい。

 その囲われた部分には、別の建物が建てられていて、連れて来られた温室はその中の一つだった。

 ただここ以外にも、他にも温室らしきガラス張りの建物は幾つも存在していた。


 アルフが”ここにあるのは夏の植物”という言い方をしたことから判断すると、もしかしたら他の季節の植物とかで分けられているのかもしれない。


 外は燦燦と太陽の陽に熱された地面が、むしむしとした熱気を立ち上げていたから、温室の中はサウナ状態なんじゃないの? と思ってたけど、実際は外よりは随分快適だった。

 それなりに暑いけど、ムシムシとした感じは無い。

 空調で湿度が整えられているんだろう。


「どう? 良いでしょう、落ち着かないかい?」

 にこやかに尋ねてくる様子からすると、ここはアルフのお気に入りの場所なのかもしれない。

 

 ――――だけど。


「どこがよ? 植物なんて森で嫌って程見てるから、もう見飽きてるわ」

 アタシの感想なんて、そんなものだ。

 寧ろ今は森の苦難が思い返されて、逆に落ち着かない。


「で、でも、ほら。花とか」

「興味ないわ」

 しきりに、あれは? あれはどう? なんて花を指差しているけど、アタシの興味は一ミリたりとも惹かれなかった。

 生憎、花なんて見て喜ぶような可憐な性格はしていないものでね!


「そう…………」

 アタシのつれない反応に、アルフは肩を落としていた。


 だが、直ぐに立ち直ると、

「じゃあ、次! 次はきっと気に入るよ!」

 アルフは笑顔でアタシの背中を押すのだった。


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