東京は今日もお散歩日和
突然ですが「東京で一番好きな場所はどこですか?」
そう聞けば、きっと十人十色の答えが帰って来るでしょう。
私の場合は悩みに悩んで丸の内を選びます。
季節は冬。時間は17時くらい。
中でも地下鉄の二重橋駅を出た辺りがお気に入り。
道路の向こうにお堀を挟んで広い皇居。そして視線を動かせば、パレスホテルの優美な曲線と、淡いオレンジ色の光が浮かび上がります。
目の前のお堀にホテルの光が反射するのも、とっても幻想的。
クルッと方向転換して日比谷の方へ歩けば、帝国劇場、明治生命館、そして帝国ホテル……
次々に現れる由緒溢れる建物には胸が踊ります。
クリスマスシーズン中であれば、あちこちで開催されるイルミネーションも忘れられません。
二重橋駅まで戻って来たら、ホテルの前のコーヒースタンドで一服。そして今度は東京駅へ向かって歩きましょう。
各国の大使様を乗せた馬車が走ることで有名な御幸通りに入れば、もう目の前にはどっしりレンガづくりの東京駅。
高いオフィスビルの中でさえ、あの駅の存在感は際立っています。
夕暮れの東京駅はいろんな場所へ帰る人がたくさん。大きな荷物を持った人たちの手には色とりどりのお土産屋さんの紙袋。
どこか忙しなく、そして寂しいような雰囲気もまた風情がある気がします。
時間があれば東京駅の前で回れ右して、有楽町の方へ歩くのも良いですよね。
レンガづくりの高架はなんとも味のあるもの。そしてその下には多種多様な飲食店が軒を連ね、ただしく「ガヤガヤ」という声が聞こえてくるようです。
都会のど真ん中ながら、歴史も感じる空気感。これぞ一等地という佇まい。
一方で日常感も感じられるのはこの一帯ならではの雰囲気だと思います。
もう一つ好きなのが日本橋。
こちらは夏、陽が少しだけ沈み始めた16時過ぎくらいでしょうか。
私がとりわけ気に入っているのが、高島屋から三越へと向かう道。
高いビルの立ち並ぶ大通りですが、一方で重厚感のあるレトロな建物も多く、どこか風格を感じる場所。
特に三井本館など、思わず「ほえ~っ」となるような凄みを感じる気がします。
そしてビルの1階にあたりに目を向けてみれば、たくさんの老舗が見つかるのも好きなところ。
文明堂や榮太樓飴など、名前は知ってる有名なお店から、ちょっぴり足を踏み入れるのを躊躇してしまう古美術のお店まで、揃って歴史を感じる堂々たる店構えです。
キョロキョロとあちこち見回しながら歩けば、ほんのちょっとの距離でも意外と時間はかかったり……
でも、これまた素敵な時間の使い道ですよね?
暑い盛りでも夕方ともなれば多少は涼しくなり、特に日本橋を渡る辺りは、川の風も感じられるのが気持ち良い。
高速が被さっているとはいえ、思っているよりずっとちゃんと『橋』の姿をしている日本橋。
ここもまた、長居をしてしまいたくなる場所です。
帰りは少しばかり贅沢して、百貨店の地下で美味しいものを買うのも楽しみ。
今日は高島屋か三越か……さんざん悩むのもまた一興です。
春の散歩は迷いますね。春といえば散歩の季節、そして桜の季節です。
桜の名所は都内に数ありますが、あえて1つ選ぶなら九段下でしょうか?
14時くらいのポカポカ陽気の中、皇居のお堀に沿ってのんびり歩くのはなんとも気持ちが良いもの。
私が歩いた時はまだ東京に来て1年程でしたから、この街に抱いていた「大都会、東京」のイメージとは、随分違う雰囲気に驚いたものです。
そして何より、千鳥ヶ淵公園の桜のなんと絵になること。
お堀にはたくさんのボートが浮かび、そしてそのお堀を囲むように満開の桜の花。
目に焼き付けて、かつもちろん写真も忘れずに。
この辺りは随所に江戸城の史跡があるのもまた素敵。
ちょっと早めにお家を出て、のんびり歩きたい場所です。
神田を歩くなら秋、昼下がりの15時くらい。
秋葉原の駅で降りて、岩本町から神保町へゆっくり歩きます。
最初はガヤガヤとしていたのが、少しずつ落ち着いた雰囲気になっていくのが好きです。
さて、神保町といえば本の街。
あのズラッと書店が並ぶ感じ。そして、少し店の前で様子を伺いたくなるような古書店が集まる雰囲気は、本好きには堪りません。
神田には小さな路地が多く、ふと思い立ってその1つに入るのもまた好きだったり……
帰りは神田川の方へ歩いて、万世橋の方を周って秋葉原へ戻りましょう。
大きなビルが集まる中でここだけ時間が止まっているような雰囲気は、なんともワクワクとします。
上野といえば春。ですが私は真夏を選びます。
というか、春の上野は人が多すぎる。
真夏の上野公園は、それはそれは暑いですが、木々は青々と茂り、なんだかエネルギーがもらえる気分。
そして何より、上野はアートの街です。
美術館や博物館がこれだけたくさん集まっている街も珍しいでしょう。
もちろん、建物の中はしっかり冷房が効いています。
貴重な資料や美しい美術品を楽しみながらのんびり歩くのもまた散歩。
そして、少し陽が落ちてきたら、駅を挟んで反対側のアメ横へ向かいましょう。
私が上野の夏を選ぶ理由。それはズバリ、アメ横で一杯ひっかけたいからです。
美しい芸術作品を楽しんだ後に、立ち飲み屋で瓶ビール。
なんともアンバランスではありますが、この2つの場所がすぐ近くにあって、しかもちっとも変じゃないのがこの街の魅力。
ほろ酔い気分になる頃には、陽も沈んで涼しくなっているでしょう。
ちょっぴりカオスで、賑やかな雰囲気もまた素敵です。
憧れの街といえば銀座。
まだ関西にいた頃、東京散歩、と言えばつまり銀座のイメージでした。
和光の時計台、不二家の看板、歌舞伎座の建物。
この街はついついおのぼりさんをしたくなるような場所がたくさんあって、いまだに歩くと気持ちがソワソワとします。
許せない街は渋谷。
「いや、なんでやねん!」と言われそうですが、迷うんです。
それなりに方向感覚には自信があるのですが、渋谷だけは無理。まず駅から出れない。
何度、建物から建物へ飛び移りたい、と思ったことか……
それはそれとして、いろんな文化が入り混じった力強さ、エネルギッシュさは渋谷にしかない魅力ですよね。
それでいて、少し歩けば急に高級住宅街に入るのもまた面白いところ。
ヒカリエやオーチャードホールといった大きなホールがあるのも、音楽好きの私としては魅力的に感じるポイントです。
池袋はなんともカオスな街です。
デパートがあって、コンサートホールもあって、かと思えば飲み屋街もあって、しかもそれが駅を挟んで両側にギュッと集まっている。
なんかごちゃごちゃとしていて統一感がないのに、なんとなく落ち着く雰囲気は、地元関西の空気感に似ているからかもしれません。
もし初めて東京へ来たのなら、とりあえずは浅草をおすすめします。
仲見世から浅草寺の辺りはとかく観光されてる方が多くて、少々散歩どころではありませんが、でもやっぱり東京に来たら、見ておきたい場所です。
昔、私はこの近くで働いていたことがあり、あの辺はあちこち歩きました。
探せば探すほどに美味しいお店が軒を連ねる、いわゆる裏浅草と呼ばれる辺りを当てもなくブラブラ……
かっぱ橋では、買っても絶対使わないだろう調理器具を買うかどうかで、悩みに悩んだのも思い出。
隅田川を渡って、下町風情の漂う吾妻橋を散策したのも楽しかったです。
のんびり歩くなら赤坂も好きです。
赤坂離宮の立派な佇まいと美しさに感激し、日吉神社の静謐な空気に癒やされる。
そして、あちこちに大使館があったり、名前のしれた高級ホテルや、立派な門構えの料亭があったりして都内でも随一の格式を感じる場所でもあったり……
少しお洒落をして、背筋を伸ばして周りたくなる街だな、と思います。
海風を感じるなら芝浦へ行きたいですね。
浜松町駅から歩けば、シュッとしたビル街がだんだんと工場や倉庫が集まる港に変化していきます。
どちらもほんのり潮の香りがするのが素敵。
考えてみれば当然かも知れませんが、意外と東京は海とごく近い場所にあるのですよね。
時折、羽田へ降りる飛行機の『ゴオーっ』という音が聞こえてくるのも好きだったりします。
もっと海を感じたい時はレインボーブリッジへ。私もつい1年程前に知ったのですが、ここは遊歩道があって歩いて渡れるのです。
都心のビル群を背景にした海も、これまたなかなか良いもの。
そのままお台場散策と洒落込むのまた楽しいです。
さて、思いつくままに東京の街歩きについてお話してみました。
こうやって書き出してみると、意外と自然が多く、お散歩スポットも多種多様な東京の街。
もちろん、まだまだ訪ねていない場所も多いです。
次はどこを歩こう、と考えるのもまた楽しい時間。
願わくば、次の休みが晴れなことを願って……




