繰り返す悪夢
この作品は一日性転換する流巳の生活を着々と書いていく物語です。
過度な期待はご遠慮願います。
また、物語序盤で色々な事が起こりネタ切れを起こす可能性がありますのでご注意願います。
ちなみに、この小説を載せるにあたり妹の存在をすっかり忘れていた為出てくることは今の所皆無です。
目覚ましが鳴る、そして起きる、ベッドから降り目覚ましを止めに前に倒れそうになりながら歩み始める。
……ん?
胸の所を触ってみると軟らかい弾力発見。無駄に…
「…悪夢再びなのね。」
高い声でそう呟き時計を止め、一階に下り、博士に電話。
『多分、劣化した薬を飲んだから一日起きに細胞以上による性転換が起きるんじゃないかな??』
「解毒薬を作ってください。」
『ふむぅ、まぁ、一応君が飲んだ薬ぐらい劣化させたのを作って試してみるよ。でもあんまり期待しないでくれよ。』
「よろしくお願いします。」
それだけ言い、受話器を下ろす。すると直ぐに電話が鳴り出した。
「…ふむぅ、誰からの電話だろう?」
一応受話器を取った。
「はい、もしもし。」
『…あれ?番号打ち間違えたかな?あ、あのそちらは龍炎さんのうちでしょうか?』
…芳賀か。
「えぇ、そうですけど。何の用だ芳賀?」
『……え?』
「此方は龍炎流巳ですけど。何の用だ?」
『うわぁ、悪い予感当たっちゃったみたいだな。』
「あぁ、一番最悪な将来を送りそうになりそうだよ。」
『…ご愁傷さま。』
「取り敢えず何の用だ?」
『いやぁ、ちょっとタケがヤバイ事しでかした。』
タケとは言わずとも武井の事だ。
「ん?」
『そのう、お前の写真集っぽいものを。いやっ!俺は関係していないぞ。タケにそれ作るの手伝えって言われたが。』
「…よし、その情報提供感謝する。あと、今日休むからそう言っといて。」
『ん?そんなの弥美に頼めば良いじゃないか?』
「ボクの危ない予感が当たると思うから。」
『…おぉ、そういう事か。よし、俺から一言言っておく。』
「何だ?」
『気をしっかり持て、でなければお前その場で気絶する。由美に付き合って行った時に鼻から赤い物が出かけた。』
「…芳賀、お前付き合っていたんだ。」
知らなかった。
『…まぁ、そういう事になるがそれっきりそんな場所には行かないようにしてる。』
「実体験による情報ありがとう。」
『頑張れ。流巳。…ルミで良いか。』
「まぁ、それで良い。そっちの方が自分を見失わないで済みそう。」
『…?…あぁ、女の時はルミだって事か。まぁ、頑張れ。』
「あぁ、頑張るよ。」
芳賀との電話をやめ、料理を作ろうと振り向くと目の前にドォンと弥美の顔面があった。
「!…な、何している?」
「…ん~、と電話中に耳カプしょうかなって。」
「頼む、そんなボクの心が壊れそうなイタズラ止めて。」
「ふむぅ、ズルいぃ。」
「何が?」
「その顔ぉ!可愛い!」
「だから、可愛い言うの止めてって言ってるのに。」
「やっぱり口調変わるんだね。」
「まあねえ。」
「ねえねえ、さっきの話だと一日毎に変わるの?」
「予想だけどねぇ。」
「じゃぁさぁ、服買いに行かない?主に下着類。」
やっぱりなぁ。そう来ると思ったよ。
「へいへい。取り敢えず、あれだ危ない物を選ぶな。武井が犯罪を犯さなさそうなのにしろ。」
「ぶ~。」
「…お前、またボクを泣かせたいの?」
「……うん♪」
コイツをSにするボクって何だろ?
「…取り敢えず今すぐ荷物纏めてこの家から出て行くか今の条件を呑むか選べ。」
「ん~…住む家なくすのはヤダ。」
ある意味捨て子みたいなものだしな。
「だったら条件を呑め。」
「…はぁい。」
渋々了承する弥美の表情を眺め少し笑う。
「じゃあ、料理するから待ってろ。」
「は~い。」
コンコン
「ん?誰だろ。弥美ちょっと出てくれ。」
「え~?」
「ボクが出たら何かと面倒だろ?」
「なるぅ。」
コンコン
「はぁい♪」
何故か楽しそうにドアを開けに行く弥美。ボクはそれに構わずキッチンに向かった。
「ルミィ。」
「ん?如何した?」
呼ぶ声がしたのでガスを止め玄関に向かった。
「何か人来たぁ。」
そこにいたのは昨日生き埋めにした人々だった。
「何か用ですか?」
不機嫌そうな口調で言うと。
「い、いや、こっちこそ何かすまなかった。それとそのお詫びついでにこれ持ってきた。」
男子生徒に手にはSDカードが握られていた。
「これは?」
「武井の隠し撮り写真のメモリーだ。これでチャラという事に。」
「ん?ボク的には昨日ので許した…まさか…」
「芳賀君からの電話でその試作品燃やしたしそれとこれがそのお詫び的なもの。」
「…まぁ、良いですけど。とりあえず。一つだけ約束してください。」
「何かな?」
「武井の碌でもない商売にもう二度と加担しない事特にボクに関係する物に。」
「あ、あぁ。理解したよ。」
「ではよろしくお願いします。」
生き埋め君達はそそくさと帰っていった。
「良いの?何も言わなくて。」
「だってさ、もう手遅れ的な感じだし。」
それだけ言い朝食作りに戻った。
「ねえ、髪邪魔じゃない?」
「ん?確かにそうだな。」
「じゃ、纏めれば良いじゃん。」
「…なるほど。じゃあ、ヘアゴム一つ貸して。纏めるから。」
「はぁい。」
間延びした返事をしトテテと階段を上っていった。
「…ん~、今の自分を楽しいと思えるのは何でだろう?」
そんな呟きを暇つぶしの道具にし料理を作る。
料理が終了するのと同時に階段を下りてくる音が聞こえてくる。
「やけに遅かったな。…なんだその手に持っている白いものは?」
「ん?パンツ。だって男物だと違和感あるんじゃない?」
細いなぁ色々と。まぁ、そんな事は如何でも良いんだが。
「……まあな。」
「じゃあ、これ穿いといて。それとはい、ヘアゴム。」
取り敢えず最初にヘアゴムを受け取り、髪を一房に纏めた。
「…上手いね。誰かから教えてもらったの?」
「ん?姉貴。毎回毎回やってくれ言うからやってた。」
「…どんだけお嬢様ぶってるの?」
「単に自分がやると失敗するからボクにやらせてただけ。」
「それだけ上手いの?」
「この通り。」
そう言いくるりと回った。
「ん~、何か一つ一つの動作が可愛いんだけど。」
訂正するのも嫌になってきたので溜息を付いた。
「まぁ、朝食出来たから食べるぞ。」
「はぁい。」
「…そういえば、お姉さんの事で思い出したんだけど。お母さんは会った事あるけど他の家族如何してるの?」
「親父は海外に長期的出張、母さんはそれを追って。姉貴はどっかの会社の秘書。兄貴は科学的な会社の副社長。妹は母さんと一緒。」
「それって何時から?」
「親父は弥美が来る三年ほど前から、姉貴は一年前、兄貴は二年と半年前。」
「?つまり、小学生ぐらいから一年ずつぐらいで一人ずつ出て行ったんだ。」
「まぁ、そんな感じだな。」
「……寂しくなかったの?」
「んまぁ、寂しくないといえば嘘になるけど。近くに一人はいたからそれほど寂しいとは思わなかったなぁ。」
なぁんとなく弥美を見ながら話す。
「ふぅん。そうなんだぁ。」
ヴゥ、ヴゥ、ヴゥ
「ん?電話だ。」
「はい、もしもし。」
『……』
「ん?もしもぉし。」
『リュウか?』
武井か。
「何か用か?そして殺す。」
眉を吊り上げながらそう言っておく。
『そ、そう言うなよ。な?』
「なぁ、SDカード如何した?」
『な、何でそれを?!あ!おま!?』
「お詫びだって言って持ってきてくれた。」
『な、なぁ、五万やるから…』
「四千五百万。」
『な、何て中途半端な金要求するんだ?!』
「四千六百八十九万。」
『微妙に上がってるしよ!』
「嫌なら壊す。」
『ぐぅ、わ、分った。』
「了承してもやる気はねえけどなぁ。もう、ゴミ捨て場に捨てたし。」
『なっ?!』
「じゃあなぁ。」
それだけ言い電話を切る。
「誰から?」
「武井から。これ返せだと。」
そう言いさっき武井の元お友達から貰ったSDカードを見せた。
「返せば良いじゃん。」
「ボクの人生が今以上に可笑しくなる。」
「なるぅ。」
そんな会話をし朝食は終了した。
洗い物をさっさと終わらし、弥美の持ってきた細い白い物を持ち自分の部屋に入った。
少し悩み穿いてみるとあまり違和感を感じなかった。
…なんだろう、この自分への絶望感は?
取り敢えず服を着て一階へと降りた。
「むぅ、やはりシャツでは何か危ないね。」
なんと言うか…うん、無駄に動く。
「……だったら貸してくれ。」
「サイズが違うしね。私の視点的に言えばDだね。私はC。」
…姉貴、弟は貴女より大きいそうですよ。…何か殺気を感じた。
「じゃぁ、行こう。」
「へいへい。」
生返事で弥美の後を付いていく事にした。
さて、十数分後、ボクは彼女も居ないのに来て良いのかと思う場所の目の前にいる。
「…なあ、取り敢えずこんな場所じゃなくても良くないか?」
「え~。でも、ルミちゃん可愛いしぃ。」
コイツ、何時からボクの事をちゃん付けする気になったんだ?まぁ、その方が区別しやすいからいいけど。
「じゃぁ、イコイコ。」
コイツ、真面目にボクが男である事忘れてないか?
数時間、いや、数十分ほど出来事であったのだろうが、外見的には女の子のボクは多少気まずく弥美の近くで縮こまっていた。いや、逆にそれが興味を引いたのだろう、数メートル近くに来た客一人一人がこちら側を見ていた。
まぁ、そんな目に遭いながらも弥美のそばを離れる気は起きなかった。何故かって?そりゃ、あれだ。自分のために買いに来てくれた人を放っていくほどボクは薄情者ではない。
とりあえず、弥美がどんどん入れる下着類には危険な下着があったのでそれをさっともとの場所に戻していった。
会計はボクの帳簿を大きく狂わすほどの金額になっていた。まぁ、今月の食費がって所まではないので何も咎めずに買う事にした。レジに出した品を戻すのも気まずいしね。
さて、その後は普通に帰ってた筈なのに見覚えのある四人衆とばったり遭ってしまった。
「…学校は?」
「抜け出してきましたぁ♪」
普礼。
「で、リュウ君の家に行っても鍵が掛かってるし芳賀君に聞いたら服系統見に行ったんじゃないかなって事聞いたの。」
由美。
「まぁ、取り敢えず、色々と面倒なこと起きそうだったから俺も付いてきたわけだよ。」
芳賀。此処まではまだ良い。問題はその近くにいる高倍率カメラを持ったパパラッチっぽい奴の事だ。
「で、この阿呆は何故此処にいる?」
「知らない。どっかで聞いていたみたいで私達の後付いてきたみたい。」
いつの間にかパパラッチは僕の持っている服を物色し始めている。
「フムゥ、高そうな物ばかりですなぁ。」
…殺す。
気配と足音消し、エロパパラッチの後ろに回りこみ、首に腕を回し交差させ、一気に横に傾ける。
ゴキッ
そんな音と共に僕が手を離すとコテッと倒れた。
「カメラ、捨てるか。」
カメラを拾い近くにある川に投げ捨てた。
「いやぁ、良いフォームだね。龍炎君、いや、龍炎さんかな?」
聞いた事のある高い声に少し驚きその声の方を見ると。
「ふむぅ、武井君の写真より実物の方が可愛いね。」
コバルトブルーの目の茶髪女性、我がクラス担任の冴島先生、その人がいた。
「あんまりそう言わないで欲しいんですけど。」
「アハハハ♪いやぁ、三人がこそこそと外出て行くの見えたからつけてみたら。」
「つけていたんですか。ていうか先生授業は大丈夫なんですか?」
「授業?そんな物構わないよ、居なくなれば勝手に自習にしてくれるんだから。」
…この人本当に教師で良いのかな?某金髪関西弁教師ぐらい危ない立ち位置かと。
「それにもう正午だしね。」
ん?言われて確認携帯で。あぁ、確かに。
「へえ?そうなの、私楽しくて時間分んなかった。」
ボクはその隣で縮こまってて確認している暇なかったしな。
「ん~、あ。じゃあ、リュウ君の家行こう。」
「おぉ、それ良いなぁ。それなら弁当代掛からないで済むし。」
という事でボクの家決定…ご飯残ってるかな?
で、家に到着。
取り敢えず直ぐにご飯の確認、よし、大丈夫。味噌汁の方もOKだな。あとはおかずかぁ。…まぁ、冷蔵庫にある物を使えば良いか。
「ん?なんだ、龍炎君が作っているのか。」
「えぇ、そうですけど。」
「私はてっきりヤァミンが作っていると思った。」
「昔からボクが作っていますよ。弥美が此処に来るのが決まったのは本当突然でしたし、その前まで、母親に教え込まれてましたし。」
そう答えながら冷蔵庫の中身を物色。ふむ、野菜炒めで良いか。野菜は新鮮な方がおいしいし。…ところで
「先生、今、ヤァミンって言いましたか?」
「ん?そうだけど、私、ヤァミンとは友達みたいなものだし。小学六年位かな?」
「へぇ、そうなんですか。」
新たな事実発覚ぅ。
「ところで、一日ずつそうなるのかな?」
「まぁ、そうなるっぽいですね。」
そう答え、野菜の下ごしらえを始める。
「ん~、とりあえず、ユー、セーラー服着ちゃう?」
「…はい?」
「だって、幾ら秀才の龍炎君でも一日おきに休んでちゃ、進級できないよ。」
「学校にはあまり行きたくないんですよね。あのパパラッチ君が居ますし。」
気を抜いたせいか、口調が女になった。
「でもさぁ、そうしないと私としてもね。クラス全員が進級が目標なんだよね。だから、お願い。」
「………はぁ、分りました。」
着ますよ着れば良いんですよね?
「ありがとうね。」
感謝の言葉を述べ、先生は台所から出て行った。
「はぁあ。」
大きめの溜息を付き、調理に戻った。
数分後、野菜炒めの完成。
フライパンから大きめの皿に盛り付けテーブルの上に持っていった。
「へえ、上手いね。」
「そりゃあ、毎日作っているからね。」
さて、少し遅めの昼食を食べている時。
「なぁ、弥美って料理できるんだろ?何でやらせないんだ?」
「だって私じゃこんな物出来ないし。それに、手伝おうと思っても手伝わしてくれないし。」
「へぇ、何で?」
「料理はおいしいけど、台所が惨状に変わるから。まぁ、漫画とかである下手っぴ娘が料理を作るときに起きる爆発が毎回起こるから、何時か台所が無残な姿になるかも知れんからボクがいつもやってるわけ。」
「へ、へえ。そうなんだ…ところで大丈夫?」
「台所が惨状…」くらいからずっとボクの頭を中華なべで殴り続けている弥美。
「取り敢えず慣れた。たまに度を越えたお仕置きが来るがこれぐらいならまだましだ。とりあえず疲れてやめるまで待ってた方がその後が楽に扱えるし。まぁ、兄貴に色々とされたから大抵の人間が嫌がるような事でも蚊に刺されたぐらいにしか思えなくなったけどね。」
さて、ボクの過去話により一瞬にして無言になった食卓には一定のリズムで鳴らされる中華鍋の音が寂しく響き渡っていた。
さて、食事も終わり洗い物をしていると。
「ねえ、スリーサイズって分る?」
「?突然何を言い出すんですか?」
「いやぁ、セーラー服作るにもサイズ分らないとね。」
「さあ?…あ。ドクターのところ行けばありますよ。」
「ドクター?」
「この薬を作った張本人です。」
そう言い、食器を洗い終わり、乾燥機の中に入れておいた。
「ふ~ん、そうなの。名前はなんなの?」
「…覚えてないです。取り敢えず博士ですから、ドクターって呼んでいますし。本名なんだったかな?」
「へえ。ね、その人の家に案内してくれる?」
「え?良いですけど。」
という事でやってきました。ドクター家。
「ドクター、居る?」
「ふわぁ、はいはい、今行くよ。」
そう言い現れたのは寝癖だらけのドクター。
「ん?今回は何の用だい?薬はまだ完成していないよ。」
「まぁ、取り敢えず、ボクの資料貸して頂けませんか?」
「?…あぁ、そういう事か。少し待て。」
それだけ言い中に入っていた。
数分後ドクターが一枚の紙だけ持ってきた。
「はい、ルミのデータ。」
ドクターから先生がその紙を受けとった。
「うわぁ、データで見てもスタイル抜群って分るね。」
「ん?そちらの女性は?」
「ボクの担任。」
「ほう。綺麗な方ですね。」
「間違ってもあれで撮ろうとは思わないでくださいね。」
「アハハハハ。幾ら私でも本当に危ない人は撮らないよ。」
「…危ないとは私の事かな?秀一君。」
「アハハハハ…」
「あれ?知り合いですか?」
「学生時代の友人。この科学者さん、自分の欲求に忠実に動くからいつも手を妬いていたの。」
…初代パパラッチ君なんだ。ドクターって、まぁそんな感じしてたけど。
「ま、これなら一応注文できるね。」
それだけ言い先生は紙を返す。
その後、直ぐに先生と別れ一人自宅へと向かった。