服用
放課後
ウチの近くにある大きめの家に到着。
「ドォクター、来たぞぉ。」
それだけ言い扉を開け中に入った。
「お邪魔しまぁす。」
パシャッ
突如カメラのシャッター音が聞こえた、
「ヒャウッ!?」
いたるところから鳴り響くシャッター音。
「ドクター、取り敢えず、死にたくなければ止めてください。」
僕がそう言うとシャッター音は止まった。それと同時に、白衣を着込んだ三十代半ばの男性がデジタルカメラを持ち現れた。
「ふむ、やはり高速連射機能の速度を上げなければいけないな。」
「取り敢えず、シャッター音の音量下げないといけないと思いますよ。」
「おぉじぃさぁま~!!!」
物凄い剣幕で弥美がドクターに向かっていく。
「いやいや、ほら見て、スケスケカメラチップは差し込んでないよ。」
「それでもいきなり撮りださないで下さい!!」
このドクター、弥美のおじさんなのだ。まぁ、このように危ない物を作っているので弥美には怒られている事がしょっちゅうあるのだ。
まぁ、僕にとっては退屈な毎日の気晴らしにはなるが…たまに身の危険を感じる事がある。
「で、今回何作ったんですか?」
「ん~、まぁ、これだ。」
栄養ドリンクっぽい物が入ったビンを出した。ラベルには♂と♀の○の部分がくっ付いた感じのマークが張ってあった。
「何すかこれ?」
そのビンを取り、光に当てたりしてみた。
「ふふん、飲めば分るよ。」
「遠慮しておきます。」
そう言いビンを付き返す。
「まぁ、そう言わずに。」
付き返したビンを武術みたいな感じで僕の腕を曲げ飲ました。
「お見事ぉ。」
飲んだ瞬間吐き気を感じた。その数秒後、心臓に激痛が走り、それに伴い僕は呻き声を上げた。
「ちょ、大丈夫なの?」「ふむぅ、少し薬の効能が高すぎたか。」
等の言葉が聞こえてきたが反応示す余裕すらない、脈が大きく波打ち先程よりも数倍強い激痛が走り意識がシャットダウンした。
意識を戻し取り敢えず起きてみた。体の異常は何もない。
「ふむぅ、これは一体如何いう事なのだろう?」
「ドクター?一体僕に何を飲ましたんですか?」
「性転換薬、男女試作品一号。」
「なんちゅうもん飲ますんですか。」
「イヤでも、一時間で効果が切れるはずのものだからさ。」
「なぁんだ、失敗品なんだぁ、がっかり。」
「失敗品にも恐ろしさがあるんだぞおい。」
あの化け物の事を思い出してみろヘタすりゃ警察沙汰だったぞ。
「…確かにそうだね。」
「ん~、何にも起きない事はない筈なんだが。」
「取り敢えず何か起きたら月五万下さい。」
「三万にしてくれないか?」
「それでも三万出すんだ。」
それぐらいの慰謝料は貰わんといけないだろ。
さてその後直ぐにドクター宅を出た。外に出ると初夏なのに冬並の寒さを感じた。
「……ま、気のせいだな。」
そう思いたい。これが何かの前兆とは考えたくない。
家に帰り夕食を作る事にした。
「…ん?」
洗面台で洗い物をしていると洗面器に移った自分の顔が何やら少女に見えた。目を擦りもう一度見ると元の顔であった。
今日は一段と疲れたしな。幻覚でも見たのかな?
そう自分を納得させ夕食を作り終えた。
「はぁあ」
「?珍しいね、ルミが欠伸するなんて。」
「いや、何か、疲れてな。今日は早めに寝る事にするから洗い物頼む。」
「はぁい。」
さて、その後直ぐに食べ終え風呂に入った。
「……ん?」
またしても水面に移る自分の顔が女性のようになった、落ちてきた水滴で水面が揺れ、元の僕の顔に戻った。
「やっぱ疲れてるんだな。さっさと寝る事にしよ。」
そう、思い風呂から上がりフラフラと自分の寝室戻った。
「うぅ、何か頭痛くなってきたぁ。」
千鳥足でベッドまで歩いていき、躓く形でベッドに倒れこんだ。近くにおいてある電気のスイッチリモコンで電気を消し。眠りに付いた。
心臓が大きく脈打つ感覚がし、飛び起きた、部屋の中は暗く時計を見るとまだ午前二時深夜。
起きる原因と為った心臓はまだ脈打つ事が分かるくらい大きく、息が荒く、顔は汗でびっしょりになり喉の渇きを感じた。
…水でも飲むか。
それだけ考えテッテと小走りで一階に向かった。
…何か服が重く感じるな。
等と考えつつ冷蔵庫内のミネラルウォーターを取り出しコップに開け飲んだ。
少し疑問に感じることがあり自分の手を見た。
…こんなに小さかったけな?それにスベスベだし。まぁ、疲れのせいだろう。
そんな事を思い、ミネラルウォーターを戻し、洗面器の所に行き、コップを洗いついでに自分の顔も洗った。
「ふわぁ、やっぱ、中途半端に寝るのは良くないなぁ。…ん?」
自分の声がやけに高く聞こえるなぁ、まぁ、脳内変換が可笑しくなったんだなぁ、明日の朝になっても戻らなかったら三万だなぁ。
と呑気に考え自分の部屋に戻り残り四時間ほどの睡眠を楽しんだ。