本の館
今日、ボクは退院した。それは良いのだが、弥美に引っ張られる感じで家に戻ってきた。
「さあ、その部屋に案内してもらえるかな?」
だろうとは思ってたよ。
「…はいはい。」
そう返答し、部屋に入りキッチン近くの物置部屋の扉の前に立った。
「え~っと。」
ノブの右に二個行って、上に三個であぁ、此処だ。そこのタイルを少し押すと、タイルが開き小さなパスワード装置が出てきた。
確か…02141223だったな。
ポンポンと押していき、エンターキーを押し、物置部屋の扉を開く。
「之が地下への唯一の階段。」
そこにあるのは物置部屋ではなく螺旋階段が大きく鎮座している。
「こんな場所にあったんだ。」
弥美の感嘆の声を他所にボクは地下へと歩いていった。
「あ、待ってよ!」
「足元滑る可能性があるからヨロシク。」
「ふ~ん、そうなの。…フワッ?!」
弥美の奇声と共に闇が後ろからぶつかってきた。が、あらかじめ予想していたので両側の手すりに捕まっていたので巻き添えを食らわずに済んだ。
「おい、普通逆だろ?言ったほうがコケないか?」
「ごめん。」
謝れてもこっちが困るんだけどなぁ。
等というベタかな?っていう展開と共に地下到達。
「この扉の向こうが地下室第1フロアって言う感じ。」
そう言い扉を開けると暗い部屋、扉近くの電気のスイッチを押すとボクの相棒と知り合いが先に照らされた。
「ウワァアア。」
「黒いバイクがボクの相棒、白い方がヒカリさんのバイク。」
相棒の『死神の鎌』、それと『白き剣』
「どっちも凄く綺麗だね。」
「まぁなぁ、ドクターに金払って改修して貰ったしな。」
だが、直せる部分は自分で直したけどな。まぁ、ヒカリさんのバイクはショップに出して直してもらったけどな。
「ねえ、ルミ。このバイクってどうやって運び込んだの?」
「……ちょっと着いてきて。」
そう言い入口から見て右側にあるエレベータを指差した。
「これ。」
「エレベータ?何処につながってるの?」
「本家。」
「本家?」
「ほら、ミーシャが来た時に言っただろ?引っ越したって。」
「あぁ、そういえばそんな事を…え?直結?」
「んな事あるか。近くに山あるだろ?そこにつながってる。」
「…山?あの、えっと…炎山?」
それ以外無いと思うのだが…
「そう、それ。」
「…凄いね。」
今更驚かれても…
「ねえ、それにしても。あの写真、誰?」
そう言って弥美が指差した写真はボクがまだ小五くらいの時にヒカリさんと一緒に撮られた写真である。まぁ、副委員長によって撮ったため少しピントは合っていないが。
「ボクとヒカリさん。」
「ふ~ん、お姉ちゃんてこんな感じだったんだ。」
そう言い、写真を覗きこむ弥美。
「…はあ、次行くぞ次。」
「え?次?」
「こっちの扉の向こう。お前が来たって意味の無い場所。」
そう言い、ボクは弥美がやって来るの確認し扉を開けた。
「…わあぁあ。」
「ようこそ、我が書庫へ。」
目の前に広がるのは壁一面を覆い尽くす推理小説の棚。
「え?之全部本?」
「そう、その全てが推理小説。外国の推理小説も含まれる。」
そう言い、感嘆の声を上げる弥美の横を過ぎ、ちょうど真ん中に設置してある机に向かった。
「さて、始めるか。」
「え?何を?」
「何をって、此処の掃除だよ。」
「フエ?!」
「覚悟しておけよぉ。掃除するために此処来たような物なんだからさ。」
「…嫌だぁ。」
「一応言うが、お前が寝静まった後にやってたんだぞ。お前の姉と一緒に。」
「フエッ!?」
まぁ、寝た後にはやってはいないが二人でやったのは事実だぞ。
「じゃあ、さっさと始めるか。」
「はぁい。」
数時間後
ピンポーン
「ん?誰か来たのかな?」
机の上にある、テレビ画面の画面を切り替える。
「ん~、意外と遅かったな。」
画面に映し出されたのは知り合い四人と担任。
『リュウ君、居るのぉ?』
「居るぞぉ。」
そうマイクに向かって言うと何処からとも無く聞こえたボクの声に少し驚いた。
『今何してるのぉ?』
「キッチン近くの物置部屋有るよな、そこの扉あけて階段あるからそこを下ってきて。」
『分ったぁ。』
数分後
「よぉ、来たぞぉ。」
「うわぁ、何この部屋?!」
「本ばっか。」
「あれ?これって…」
「之全部推理小説だね。」
此処の反応は十人十色だな。
「えぇ、よく分かりましたね。」
「あ、ヘビ。ここに私連れて来たこと有ったよね?」
「ぁあ、それ、本家の方に有る、之の三分の一ほど有る小さめの奴な。」
「へえ、で今何してるの?」
「掃除。」
「之全部?」
「まあ、物の五時間強で終わるし。」
「五時間?!」
小学五年の時だけどな。
「まあ、人増えたから一時間くらいで終わると思うけどな。」
「え?若しかして…」
「俺達にやれと?」
普通にそうだろ?
「若しかしなくとも、他に誰がいるんだ?」
「確かに…」
数十分後
「終わりぃ。」
「凄い埃の量だな。」
「あぁ、まあ、数年に一度くらいでやってるからな。」
「何でそんな感じでやってるの?」
「まぁ、それほどあまり使わないって言う事だよ。」
「そういえばさぁ、掃除してたらこんな写真見つけたんだけど。片方、リュウだとしたらさ、隣の白髪の美人さん誰だ?」
「え?」
芳賀が持ってる写真、それは中二のクリスマス。ヒカリさんとの最後のクリスマスの時の写真であった。
「こんな所に有ったんだ。通りで探してもないはずだな。」
その写真を受け取り、机の上にある額縁に入れる。
…ホント、見つかって良かった。
「あれ?…若しかして、これ天柳さん?」
「……え?先生知ってるんですか?」
天柳、ヒカリさんの苗字である。あまり上の苗字で呼ばれる事なかったから思い出すのに時間掛かった。
「だって、ヒィちゃんでしょ?」
「ヒ、ヒィちゃん?」
「そう、ヒィちゃん。胸無いけど優等生のヒィちゃん。ヤァミンとは違う可愛さをもってたんだよね。そのヒィちゃんの写真が何で此処にあるの?しかも、イルミネーション的にクリスマスだよね。あれ?若しかして付き合ってた?」
貴方は探偵ですか?
「え、え~と…ですね…」
付き合ってたといえば本当だけどそこを追求されるのはちょっと嫌だし、嘘はつきたくないし。
「う~ん、まぁ、良いかぁ。それで、ヒィちゃんのお墓何処に有るの?」
「あ、それなら。」
そう言ってボクは先生に場所を教えてあげた。
「成る程成る程、そこなのね。」
そう言い、メモをしていった。その後先生はボクに手招きをして、相棒の居る部屋にボクを呼んだ。
「何の用でしょうか?」
「…このバイク。誰のなの?」
「ボクとヒカリさんのです。」
「そうなんだ。白いのがヒィちゃんのだよね。」
「そうです。」
「ヒィちゃんのバイク、とっても綺麗だね。それにヒィちゃんに似ている。」
「やっぱり、そう思いますか。」
「えぇ…ヒィちゃん、何で死んじゃったか知ってるの?」
「はい。」
「そっか。あんまり気にしないほうが良いよ。」
「無理ですね。ボクのせいでヒカリさん死んじゃったんですから。」
「え?」
「…先生には自分の口で話します。」
そう言い僕はその時の話をし始めた