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冬休み

物語は過去へと誘われる。

「フワァア…うぅ、寒い。」

現在十二月冬休み中である。そして過去最高の積雪量である。

「…雪かきするか。」

服を着替え、コートを着込み外に出た。

「うわぁ、凄い量。」

「アー、アー」

すると雪の中から烏の鳴き声が聞こえてきた。

「ん?」

雪がもぞもぞと動き出し、上の方から白い鳥が現れた。

「アー、アー♪」

雪の中を埋れながらこちらにやってきた。その白い烏は…

「ハク?」

「アー♪アー♪」

正解だと言わんばかりに鳴く烏に僕は見覚えがある。

「ハク、如何した?」

僕はそう尋ねるとハクは少し羽ばたき、僕の肩に留まった。

「寒かっただろ?中入るか?」

僕はハクの冷たい小さな頭を撫でる。

「アー♪」

大きく鳴き僕の指を甘噛みする。

僕はその行動を微笑ましく見て家の中に入った。

とりあえず、ホットタオル(三十度くらい)をハクの体に巻いてあげた。

「♪♪」

ハクは気持ち良いの眼をとろんとさせて、眠り始めた。

「さてと、雪かきは後で良いか。朝食朝食。」

とりあえず昨日の残りのビーフシチューを暖めなおした。

で、気がつくともう七時になりそうだったので弥美を起こした。

「フワ…あ?なにこのハトっぽい烏?!」

「僕の友達。」

「友達?」

「白烏っていううちの親父がなんかの研究用にDNA弄くって作った烏。とりあえず、色が白いからハクって呼んでる。」

ハクは近くで弥美が五月蝿くしていたためかせっかく気持ちよく寝ていたのに起きてしまっていた。

「ア~」

タオルを嘴を使い自分から剥がすと近くに置いてある観葉植物の枝に留まった。

「賢いね。」

「まぁ、カラスだし。」

そう言いながら、ビーフシチューを皿に盛り付け、テーブルに運んだ。

「ア~、ア~」

ハクは二回鳴き僕の近くまで飛んできて右足を上げたするとそこには小さな包みがあった。

「ん?母さんからかな?」

包みを開けると小さな紙が入っていた。その紙にはこう書いてあった。

『リュウ君とヤミちゃんへ、ごめんねぇ、今年の年越し帰れそうにありませんので二人でいちゃついてて良いよぉ♪ 母さんより。』

 いちゃつく気は無し。

「ねえ、何だって?」

「今年も帰ってこないだと。」

それだけ言い、弥美にその紙を渡した。


年越しも終わらし何時ものように初詣に向かった。

「混んでるねぇ。」

「仕方ないと思うがなぁ~」

という他愛も無い会話をしているとふっと、弥美の姿が無いのに気付いた。

 高校生になって迷子になるか普通?

等と考えながらも人ごみの中を掻き分けながら探していると不意に肩を叩かれた。

「ん?…!!」

僕は後ろを振り向くと白髪赤目の女性…のお面をつけた弥美がいた。

「アハハハハ♪どう驚いた?これね、十字架と吸血鬼って言うアニメのキャラクターなんだってぇ、ちょっと聞いてるの?」

「…え?あぁ、スマン、ちょっと一人にしてくれ。」

そう言い、僕は不思議そうな顔をするあの人の妹から離れた。


境内の中の木々が生い茂る中で僕は先ほどくすねた煙草に、花火の着火用に売っていたライターで一服していた。…いや、気を落ち着かせていた、の方が正しい。

「…ヒカリさん。」

僕はその白髪赤眼のキャラクターに良く似た女性の名前を呟き、煙草を踏み消した。

「……ん?」

 何か、いやぁな感じの風が吹いたかな?

そんな事を考えライターを胸ポケットに入れ、弥美の元に向かった。


案の定、嫌な風の正体は闇に纏わりつく死神よりも悪質なチンピラであった。

 情景から察するに弥美に近付いたは良いが僕に置いてけぼりにされイラついていた弥美に仲間の一人が蹴られてカっとなり、ナイフを振り回してるって所かな?…全く姉妹揃って厄介事を僕に押し付けてくれる。

「おぉい、そこの人、正月から暴れ回ってても何も言い事無いぞぉ。」

等と呑気な事を言いながらそのチンピラに近付いていく。

「あぁん?…なっ?!お前は!」

「ん?…僕を知ってるのか?」

「僕?はっ!良い子気取りか手前。散々人の仲間苛めてきて…」

 …良い子気取りねえ、コイツどっかであった事あっかなぁ?

「如何した?また、大事な人殺されるのが恐いか?また殺ってやろうか?」

 …ん?いま、コイツなんて言った?

「ほらほら、やらないんなら、またヒカリ奪ってやろうかな?」

その名前に耳を疑った。

「…今なんて言った?」

「あぁ?」

「今何て言ったと聞いてるんだよ、クソが。」

今の俺は死神だぜ。恐い恐い、闇の道化師だ。

「へぇ、驚いた。大事な人ころした奴知らなかったんだぁ。意外だなぁ。」

「ね、ねえ、ルミ?何言ってるの?」

「少し黙っててくれ。」

「ほう、良い趣味してないね。ヒカリさんと同じ呼び方させるなんて。」

「悪いが俺がそう呼ばしてるんじゃない。最初っからそう呼んでるんだ。つうか、引き下がってくれないかなぁ?もう、俺の臨界点突破しかけてるんだけどなぁ。」

「あっそ。」

男はそれだけ言い、俺に向かって走ってきた。俺はそいつの手を掴み、奴のスピードを使いもと来た方向に投げ飛ばしてやった。

「動くんじゃねえぞ。」

後ろからそんな声が聞こえ振り向くと弥美が首先にナイフを押し付けられていた。が、何時もの俺ならこれで臆する事は無かったであろう、その状況にある記憶が掘り起こされ一瞬の隙を生じさせてしまった。次の瞬間後ろから何かに押される感じと共に痛みが走った。

「昔の恋人が撃たれる瞬間でも思い出したか?」

男の声が聞こえてきただが、そんな事は如何でも良い、俺は直ぐにその男の方を向き手刀で相手を眠らし、背中に刺さっているそのナイフを抜いた。

「う、動くんじゃねえぞ!!」

「うごかねえよ。この場からは。」

そう言い、俺は右手にある血塗られたナイフを弥美に刃先を向けている男に向かって投げつけた。ナイフはダーツの矢の如く男の左肩を刺した。

「グアッ!」

俺はうめき声を聞く間もなく、男からナイフを奪い取りナイフの柄、相手の首に一撃を与えた。

「…ハァ、ハァ。」

一瞬の出来事でもあったであろうが僕には長く感じられた。だが、口から赤い何かを吐き出す事により時間の感覚が戻った。

僕はその場に倒れた。

 …ナハハ、ざまあねえな。

自嘲の言葉を心の中で吐き、僕は意識を手放した。

ヒカリとヤミ、二つの関係はいかに


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