墓参り
過去話です。
更新遅れてすみません。
『少し出かけてくる。
置いてある物は失敗作、食べたければ食べても良い。 流巳より。』
そんな置手紙を六分の一だけ切ったチーズケーキを残し流巳は家から出たのは夏休みが始まり二日しか経ってないある日の事。
「……」
流巳はある墓の前に薔薇の花束とチーズケーキを置き手を合わせていた。
「あの、失礼。」
「…なんでしょうか?」
「この墓の人とお知り合いですか?その…日夏利さんの。」
「……そんな者です。」
考えるような素振りを見せずに少し間を開けそういった。
「あの、では名前は?」
「何故、見ず知らずの人にそこまで聞かれなければいけないのですか?」
「あ、その日夏利さんからの遺言書の人を探しておりまして。」
「?」
「おんやぁ?新井出さんじゃないですか?」
太った中年の男性が花束を持ってやって来た。
「あっ、刑事さん。」
「おや?そちらにいるお嬢さんは誰ですか?」
「…知り合いです。」
「ほう、知り合い…ただの知り合いなんですか?」
「えぇ。」
「そうですか。てっきり、ヒカリさんが発見された時に一緒にいた人かと思いましたよ。」
「…何故そう思いますか?」
「フッフ~ン♪他の人は騙せても私には騙せませんよぉ。龍炎さん。」
「刑事さん、誰かと勘違い為されてませんか?ボクはその龍炎君と言う方とは知り合いでは…」
「おや?可笑しいですね。貴女、何で龍炎さんと私は仰ったのにそれで男の人だと判断されたんですか?」
「…とりあえず、この日ぐらいはそっとして置いてくれませんか?大岩さん。」
「フ~ン、そういう訳にもいきませんね。龍炎さん。貴女にはまだ聞いていない事がありますので。」
「今日だけはそっとして置いてくれませんか?警察の方に言いますよ。」
「ナッハハハ~、行き過ぎておりませんよ?現に私はあの事件の事情聴取依頼ですよあなたに会うのは。」
「えぇ、知ってますよ。だって、貴方は自分の部下にボクをつけさせていますから。」
「ナッハッハッハ、やっぱり世間的に公表されてない貴方の情報を警察が掴んでる訳ないですもんね。」
「あのう、遺言の方はこの人で間違いないんでしょうか?。」
「え?えぇ、そうですよ。」
「遺言、って何の事ですか?」
「ヒカリさんの遺体の中からみつかったコインロッカーの鍵、それと合う駅のコインロッカーに入ってたんですよ。遺言書が。」
「……やっぱり、遅かれ早かれこうなる事分かってたんですね。ヒカリさん。」
「遅かれ早かれ?それは一体…」
「新撰組って言えば分かりますよね?大岩さんなら。」
「…えぇ、解ってますよ。貴方方が結成した義賊者の集まりですね。」
「……まぁ、言い方は悪いですけどそういう風になってしまいました。あの、居水のせいでな。」
「何が起きたんですか龍炎さん?教えてください!ヒカリさんのためにも。」
「……来年。…話します。弁護士さん。」
「はい、何でしょうか?」
「来年まで待ってもらえないでしょうか?本当の自分でその遺言を聞きたいんです。」
「…解りました。では、一年後この場所で。」
弁護士は軽くお辞儀を去っていった。
「さてと龍炎さん、私お腹空いたんでそれ食べても良いですか?」
「食べても良いですけど。ヒカリさんの事思い出して作ったんで間違って砂糖と一緒に塩も入れてしまいましたのでとても食べられたものじゃないですよ。」
「…そうですか。あっ、クリスマスの時にお会い出来たらケーキ作ってくれませんか?」
「あれ?大岩さん、家族居たんじゃなかったんですか?」
「あれはフェイクですよ。」
「だろうと思いました。」
「それと、前にも言いましたけど。私は大岩じゃなくて大山です。大山石動です。名詞の誤植のままで呼ばないで下さい。」
「そうですか。では、また。」
流巳はそう言い、家に帰った。
「えぇ、また。」
大山さんは手を振り、その姿を見送った。
「…貴方も困った人ですね。あんなに良い人なのに十八歳の誕生日にビックリさせるまでお願いしますだなんて。4~5年ぶりの貴方からのプレゼントがあれでは彼も驚愕しますよ。まぁ、Dさんも…でしょうけど。」
苦笑気味に日夏利さんの墓にそう言う大山さん。