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始まり

目覚ましの時計が鳴り出した、僕は布団の中に潜り外気温から逃げた。鳴り続ける時計。…起きるか。


布団から出て、机の上にある時計を止める。


「午前六時十分、今日も何も無く始まる。…はぁ。」


 別に病んでいるわけではない、単に暇なのである。そう、僕は退屈しているのであるこの何も無い世界に。何も起きておらずに始まり何も起きずに終わるこの世界に。はぁあ、僕に神的な力があれば某カチューシャ娘より面白い世界にしてあげるのになぁ。世界破滅しない程度に。もう一度言う、僕は普通、考え方が少しずれているだけである。ま、少し変わったおっさんのお陰で今のところは楽しいけどな。まぁ、そんな事は如何でも言い。取り敢えず、朝食作ろう。


階段を下り一階にあるキッチンに向かう。今、僕は一人暮らし。家出したわけではなく単に父親が海外出向中、母親と妹はそれについていき、兄と姉はもう一人暮らし。ようは僕一人…になる筈だったんだけど。まぁ、アイツの事は後で紹介しても良いだろ。


「ん~、取り敢えずこんな物だな。」


 手抜きはしたくないので和食がウチの朝食だ。ご飯にお汁、夕食の残りの魚。


「ん~、あの寝ぼすけ起こすの億劫だなぁ。」


「誰が寝ぼすけなの?」


「おっ、おはよう。今日は早いんですね。」


振り向くとそこには髪の毛ボサボサ、パジャマも型崩れしボタンが胸元まで開き、あの大きめの胸を見せ付けるあの子が居た。まぁ、何時もの事だから僕も何も反応を示さないけど。


「そう?今日はやけに目覚ましが五月蝿く感じたから。」


 やっぱ少し音量を上げといて良かったな。また、遅刻ギリギリに為るまで寝られても困るからな。


「ん?何か知ってるの?琉巳(るみ)。」


「ルミではないリュウミだ。そして、髪を梳かせ、服をちゃんとしろ、ボタンを留めろ。」


「はぁい。分りましたぁ、ルミィ。」


 訂正する気無し。


「……プクゥ。」


「かまって欲しいと思うのならさっさと着替えて来い。」


「ふぬぅ。」


 少し唸り小走りで二階へと上がっていった。


ドアの閉まる音が聞こえ、朝食の盛り付けをしていると突然電話が鳴った。


「はーい、今出るぞぉ。」


受話器をとり耳につけた。


『よお、リュウ、面白いもん出来たから今すぐこぉい。』


「ドクター、休日ならいけましたけど今日は学校ですよ。学校終わりじゃダメですか?」


『ん~、薬の効果が可笑しくなるかもしれんしなぁ。』


「まぁた、変な薬作ったんですか?もう勘弁してくださいよ、変な化け物に襲われそうに為るのは。」


『大丈夫大丈夫、十万ほど上げるから実験台に為ってくれれば…特典としてギャルゲーのソフト上げるからさぁ。』


「ん~、如何しようかなぁ。」


死ぬ危険有、でもゲームは欲、でも死んだら出来ない。ん~


『じゃあ、さぁ、ワシの最高傑作スケスケカメラで撮った嬢ちゃんの写真もつけるからぁぁ。』


「ルゥミィ、なぁに話してるのかなぁ?」


『ん?何だ、嬢ちゃんもう起きてたのか…まだ就寝時間だと思って電話したのに。』


「おじ様ぁ、特典として何を上げるんですかぁ?」


『…よし、午後で良いぞぉ。』


「はい、分りましたぁ。それと、最後のは欲しくありませんので。(そんな物貰ってもモノホンいんだから意味無いし。つか、ばれたら殺されるし。)」


それだけ言い、僕は受話器を戻した。


「ねえ、何くれるって言ってたの?」


「ん?下らないもん。とりあえず、お前がそれ聞いたらすぐ殴りに行くような品物。」


それだけ言い、テーブルに座り朝食を取った。


「ねえ、何なのよ?」


「…前、お前を撮った写真をくれるだと。」


それだけ言い、食事を再開した。すると直ぐに頭頂部に激痛が走った。


「…あのさ、何処からともなく10tハンマー出すの止めようか?」


それだけ言い、食事を再開する。


「ハァ、ハァ、ハァ、あれまだ残ってたの?」


「知らん、多分、お前が来たときに隠し撮りでもする気じゃないのか?僕は知らんけど。で、とりあえず、お前も食え。あんまりゆっくりしてると遅刻するぞぉ。」


「…ムゥ、何で断ったの?」


「ん?見られたかったのか?」


またしても激痛が走る。たく、僕が石頭で助かったな、ヘタすりゃ刑務所行きだぞ。


「そ、そんなわけないでしょ!バッカァ!!」


あぁ、そうですか。多分後ろの方で物凄く赤くなってるんだろうなぁ。ま、それはそれで面白いけど。


後ろではまだ荒い息遣いが聞こえていたが少し落ち着いたのかテクテクと向かい合うように置かれた自分の椅子に向かい食べ始めた。




投稿中


「よぉっす!ご両人、いつも変わらず仲良くご登校ですかぃ?」


「ん?まあな。」


そこに居たのは赤いショートヘアの我が友の武井氏である。


「なぁリュウ、前から聞こうと思ってたんだけどさぁ。何で、弥美(やみ)ってお前のうちに居るんだ?」


「詳しい事は知らん。何かお袋が家の手伝いようにって連れて来た子だしな。まぁ、僕が全部やっちゃってるから単なる居候みたいな者だけどな。」


「ほう、でさぁ、やっちゃったか?」


周りにいる登校中の生徒に聞こえないように小声でそう言った。


「死ぬ。」


「だろうな♪ナハハハ!」


安心したかのような笑いを上げる。何故、死ぬと言っただけで安堵するのかというと…この娘、男勝りなのである。喧嘩っ早いし負けず嫌いだし…百合だし…百合は関係ないか。まぁ、それが世間体の弥美という人物である。とりあえず、アイツはヤンデレというものであると僕は思う。まぁ、恥ずかしくなるといきなりぶっ叩いてくるし、羽交い絞めしてくるしな、まぁ、とりあえず放っておくと何か泣きそうに為るという特性がある。それが可愛いと思うのは僕だけだろうか?…何か、とても長く話してしまった気がするなぁ。




授業中


「フワァア。」


後ろの方から間抜けな欠伸が聞こえてくる。


「退屈ぅ。」


無視しとこ。


「フワァア。」


またしても聞こえてくる間抜けな欠伸、さっきより大きな声で。


「五月蝿い。」


それだけ、最低限だけ体を捻らせそれだけ言い、授業に戻る。


「フヌゥウ。」


不満そうな声が聞こえてくる、それと同時にクスクスと笑う声も聞こえてくる。


如何でも良いや、何時もの事だし。

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