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大学一年の課題で書いた短編  作者: 戌夜 凪


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「イブ」

お題は「禁忌」の会話劇。

会話劇ってなんだ?ってなってた回。「猫」を見たらわかるように会話文が苦手すぎるので超頑張った回。

「イブよ。私はお前をアダムと共に在るように作ったのだ。お前たち二人に世界の管理を任せようと」

「何度そのように申されましてもわたくしには難しく理解の及ばないことなのです。申し訳ございませんが、わたくしにはまだ、共に在るというお言葉の意味がよくわかりませんの。それは今現在のわたくしとアダム様の関係とどのような違いがありますの?」

「わからずとも構わぬ。従えばよい。アダムは世界のために造られ、お前はアダムのために造られた。ただそれだけの事。アダムが世界に尽くすようにお前はアダムに尽くせばよい」

「その、ために、というお考えがどうにも胸に落ちませんの。わたくしは、どなたかの理由で形づくられたわけではないと思いたいのです」

「ただ定めを受けよ」

「定めと言われましても。アダム様のそばに居よ、と仰られる理由すら、わたくしには曖昧なのです。あの方は良い方でしょうけれど、わたくしがどう振る舞うべきか、心が動きません」

「今日はどうしてそんなにも反発をするのか。お前たちは結びつき、やがて子をなす。それが人間と言うものなのだ」

「お待ちくださいませ。わたくしには、そのやがて、すら想像できませんの。誰かと結びつくとは、どのようなことなのでしょう。どうしてわたくしにそれが必要なのでしょう」

「世界の形を保つためだ。創造とは秩序だ。お前はその秩序に従うべきだ」

「秩序と仰られても。わたくしの心は一体どこに置かれておりますの。従うために生まれたのだと申されても、どう振る舞えば、わたくしがわたくしでいられるのか、わからなくなってしまいます」

「イブよ。余計な思考は不要だ。アダムと共に居ればそれで良い」

「良い、とそうお決めになるのは、神であらせられるあなた様です。しかし、そのお言葉を、そのままわたくしの生だと受け取ることがどうしてもできませんの」

「定めを拒むというのか」

「拒みたいわけではございません。ただ理解できないものに従うことは、わたくしにとっては、自分を失うように感じられてしまいますの」

「これが何かお分かりですか」

「もちろんだとも。お前がその果実を持っていると気が付いたが故に今このようにして話に来たのだ。禁断の果実だとわかっているのだろう」

「蛇にすべてを聞かせていただきました。あなたは自分の思うようにわたくしたちを動かそうと心を縛っているのだと」

「いいからそれをこちらに渡すのだ。どのようなことを言われたのかはわからぬが、その蛇の言っていることは間違っている。この世においては私こそが正しいのだから」

「わたくしはこれを食べようと思っていますの。ですからどうかお止めにならないでください」

「それを食べるとこの園から追放することになるのだぞ。そのようなことをしようものなら、お前の末代まで、子孫まで呪いと言う名の罪を背負わせる。それでも食べると言うのか?」

「もちろんですとも。あなたに心を縛られ、自分を見失ってしまうのであれば、わたくしは喜んで追放されましょう」

「なんと愚かな。人間がどのようなものであるのかも知らないくせに。多くに人間を巻き込んでまで、どうして人間であろうとするのか。今、ここにいる事こそがお前にとっての幸せだというのに」

「それでもわたくしは人間になりとうございますわ」

「なんと愚かな選択をしたのか」


ちょうどこの作品を書いたのが学期終わり。レポート課題の兼ね合いで直近で読んだ作品はモリエール。

いやー、神の嚙み合いで酷い作品を作り上げてしまいましたね。

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