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見える僕と見えない君  作者: ちび太
第2章

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25/25

「鬼が出るまで」

読んでいただけると幸いです

昼下がりの商店街は、いつも通りだった。


シャッターの半分閉まった駄菓子屋。

自転車のベルの音。

遠くで犬が吠える。


――なのに。


恒一には、違和感がはっきり見えた。


空気が、歪んでいる。


「……まずい」


アスファルトに落ちる影が、

一つだけ“逆方向”に伸びていた。


影の主は、四つ足。

犬に似ているが、口が裂けすぎている。


牙が、地面を擦る。


「……ギャリ」


低い唸り声。


悪い妖怪だ。

理屈じゃなく、分かる。


「来たか」


背後から、楽しそうな声。


クロギが、街灯の影に寄りかかっている。


「今回はちょっと乱暴だよ。

 理性、ほとんどない」


「……人がいます」


恒一の声が強くなる。


通学帰りの小学生。

買い物袋を下げた老人。


「大丈夫」


クロギは、軽く手を振る。


「君が気づいたから」


影の妖怪が、一気に走り出す。


恒一は、体が先に動いた。


「危ない!」


叫ぶと同時に、

妖怪の進路に飛び出す。


――その瞬間。


「下がれ!!」


地面が、割れた。


否、割れたように“見えた”。


ヒナトが、前に出ていた。


空気が、震える。


角が、はっきりと現れ、

瞳が金色に光る。


鬼。


恒一が初めて見る、

“隠していない”ヒナトだった。


「ギャリィッ!!」


妖怪が跳びかかる。


ヒナトは、避けない。


拳を振るう。


衝撃音。


妖怪の身体が、地面を転がり、

アスファルトにひびが入る。


一撃。


でも――倒れない。


「……しぶといな」


ヒナトが舌打ちする。


妖怪が再び立ち上がり、

今度は恒一のほうを向いた。


視線が合う。


――呼ばれている。


なぜか、そう感じた。


「恒一!」


ヒナトの声。


「下がれ!」


でも、恒一は動けなかった。


怖い。

それ以上に――


「……助けたい」


口から、自然に出た言葉。


妖怪が、躊躇した。


一瞬だけ、動きが鈍る。


クロギが、目を見開く。


「へえ……」


「そんな使い方も、できるんだ」


ヒナトが、間に割って入る。


「見るな!!」


今度は、蹴り。


妖怪は、完全に地面に伏した。


影が、霧のように散っていく。


消滅。



静寂。


商店街は、何事もなかったように動き出す。


誰も、異変に気づいていない。


「……怪我は」


ヒナトが、恒一を見る。


「ないです」


震えていたけど。


ヒナトは、深く息を吐いた。


「だから言っただろ」


少し怒った声。


「巻き込まれるな」


恒一は、目を伏せる。


「……でも」


顔を上げる。


「ヒナトが戦う前、

 あの妖怪、止まりました」


ヒナトが、黙る。


「……僕のこと、見てました」


クロギが、笑った。


「やっぱりね」


楽しそうに、手を叩く。


「君、妖怪に好かれる」


ヒナトが、睨みつける。


「それ以上、言うな」


クロギは肩をすくめた。


「鬼が守って、

 人間が呼ばれて、

 妖怪が応える」


「面白い構図だ」


影に溶ける直前、

クロギは恒一に言った。


「次は、

 君が“止める側”だ」



帰り道。


夕焼けが、やけに赤かった。


「……怖かったです」


恒一が言う。


「……でも」


言葉を選ぶ。


「嫌じゃ、なかった」


ヒナトは、立ち止まった。


「……それが、一番厄介だ」


そう言ってから、

少しだけ、声を落とす。


「だからこそ、俺がいる」


鬼の力を隠しながら。


守るために。


ちょっとバトルさせてみました

たまにはいいよね

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