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覇弾の射手  作者: 華野 金曜
1章 悪魔が生まれた日
10/14

9話

「焦るな!数は減らすことはできているんだ!確実に倒すぞ!」


 隊長は薙刀を構え直し、魔獣に立ち向かおうとした時、肩に手が置かれた。


「第2部隊長。状況は?」

「!?」


 隊長は突然、何者かに背後をとられ、肩に手を置かれたことに体が飛び上がってしまう程に驚いた。彼は今まで、同僚や部下であっても背後に立つことを許さなかったため、誰が自身の背後をとったのか、嫌な汗を流しながら、恐る恐る振り向いた。


「しょ、所長!?」

「やぁ。遅れてすまないね。」


 彼が驚くのも無理はなかった。マリアは単独であったのに加え、救援要請を出してから僅か数十分で到着したからだ。


「…苦しい状況です。住民の避難を優先させましたが、突然の襲撃だったので、逃げ遅れた人の安否に不安が残ります。捜索隊を編成し、別行動で捜させているのですが、あちらも魔獣の対応で苦戦を強いられています。私たちも早急に民間人を探したいのですが、この通り、手一杯です。」


 隊長は申し訳なさそうな表情でマリアに現状を説明した。


「そうか。よく頑張ったな。ここから先は私“たち”に任せてくれ。」

「た、たち?所長だけでですよね!?」

「ここにいるだろ?」


 マリアは手元の自動小銃を指でつついた後、目の前の狼たちに銃口を向けた。


「ではまず、目の前の敵を片付けようか。」

『了解。』


 マリアは、引き金を完全に引き、魔獣の大群に向けて掃射を行った。向かってきていた狼たちに数百発の魔力の弾丸が襲いかかった。放たれた弾丸は、狼の肉を穿ち、抉り、引き裂いた。あっという間に、群れは物言わぬ屍と化した。


「外皮があるのに一撃で…。」

「あれも神器なの?」

「重火器型か。初めて見たな。」

「俺たちはまだまだってことか…。」


 隊員たちは、今まで苦労して倒してきた魔獣をマリアがたった一撃で片付けてしまったことに驚くしかなかった。


「第1部隊が後から到着する。第3部隊も合流できるだろう。君達は部隊と合流してくれ。私たちは先行して、魔獣を倒しながら民間人を探す。場所がわかったら、座標を端末で座標を送ろう。」


 マリアは振り返り、全員にこれからの指示を伝えた。


「あ、ありがとうございます!お願いします…。」

「ああ。…どうした。何かあった?」


 歯切れの悪い様子で話す隊長の様子が気になり、マリアは声をかけた。


「…申し訳ございません。ここまで難航しているのは私の力不足です。隊長として、情けないッ…。」


 隊長はどうすることもできない状態まで追い込まれてしまった状況に耐えきれず、目から溢れてしまうものを隠すために、顔を下げてしまった。


「情けなくなんかないさ。君たちが頑張ってくれたからこそ、今この街は最小限の被害で済んでいる。ほら、まだ終わっていないぞ。これまでも、今も、これからも、私には君たちの力が必要だ。」


 マリアは隊長の肩に手を置き激励した。彼はゆっくりと顔を上げ、湧き上がる様々な感情に耐えるような表情で言葉を返した。


「ッ!了解しました!他部隊との合流後、私たちもすぐに所長に追いつきます!」

「頼む。」


 マリアは体に風を纏い、魔獣を処理しながら、凄まじい速度で駆け抜けていった。隊員たちは呆然として見送ることしかできなかった。


「負傷した者は手当してもらえ!他部隊と合流するぞ!2班と3班への連絡も忘れるな!」

「「「「「了解!!!」」」」」


 第2隊長は部下たちに指示を飛ばした。放心していた隊員たちも隊長の声によって気を取り戻し、準備や手当など、各々の役割を全うするために急いで動きだした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 マリアは人の気配を辿り、魔獣を倒しながら、商店街の深部へ向かっていた。道中、逃げ遅れた民間人数名を見つけ、魔獣から救助することができていた。


「多いねぇ。情報と違うんだけど。」

『この多さ。奥に何かがいるんでしょうか。』

「…かもしれないね。」


 本部の観測結果では、魔獣の数は増加しており、機動隊本部の観測では、配置はばらけていたはずだというのに、奥に進むほど魔獣が増加していた。常に多勢に無勢だったが、マリアは難なく乗り越えてきた。しかし、30匹以上を一度に相手にさせられるのはいくら彼女でも流石に困ってしまった。


 困ってしまうだけなのである。


「馬鹿正直に正面から戦う気はないからね。」

『一気に倒しますよ!』


 マリアは強化された脚で跳躍し、建物の屋根に飛び移りながら、高所から狼を撃ち倒していた。


「よっと!」


 追いかけようとする個体もいたが、爪も牙も届かない場所から攻撃され、狼たちは対処することできないまま、空を見上げて無抵抗で撃ち殺されるしかなかった。


「ふぅ…ここら一帯は片付いたな。民間人の反応は後はここだけだ。」

『休憩したいところですけど、休ませてくれないですね。』

「そうだね。後は探すだけっと。」


 マリアがある一定の方向を見ながら歩いた、そして、建物の前で止まった。


「ここら辺に気配があったはず……中にいるね。」


 逃げ遅れた人たちは建物の中に隠れているようだった。


『ここも、一時的ですけど、安全ですね。』

「ああ。逃げ遅れた人の位置情報を送って、救助は後続に任せよう。」


 マリアは民間人に、屋内に隠れているように呼びかけ、機動隊に位置情報を送った。彼女が救助を行わないのは、狼が処理できても道中、何が起こるかわからないからだ。いつどこから魔獣が現れるのかわからない環境に民間人を連れ出しても危険なため、機動隊が安全を確保してから救助を行うつもりだった。


「…。」


 マリアは徐に側にあったベンチに座った。


『やっぱり、疲れてるんじゃ』

「いや、考え事。…少し聞きたいんだけど、これまでの魔獣は全て土属性だったね?」

『あ、はい。茶色だらけだったので間違いないです。』


(この魔獣たちは全て土属性。観ている奴も同じ属性か。あれが、狼たちに戦い方を教えている。)


 マリアは、初めは殺気を強く出している狼に状況の分析はできないと考え、狼を選択肢から外し、観測を行っている第三の魔獣がいると考え、周囲に気を配ったり気配を探る等、警戒していた。しかし、観られている感覚もなく、気配もないため、彼女は違和感だけを感じていた。


 マリアの考えは惜しくも間違っていた。


 マリアたちを観る“眼”は外ではなく内側、狼の群れの中に存在していたのだ。彼女は狼との戦闘を重ねるうちにその眼に気づき、無視できないものだと認識した。狼たちの殺気溢れる眼の中に、理性のある獲物を品定めをするかのような眼が紛れ込んでいたからだ。彼女は狼たちから多数の殺気の籠もった視線に晒され、戦闘が終われば狼は倒され、視線は消えてしまうため、大きな感情の奔流の中にある、静かな理性に気づくことが遅れてしまった。 


(私たちはこれまでの戦闘で会敵した全ての狼を逃がすことなく倒しているからできないと思い込んでいたのが浅かったな。群れの中に、観ている奴は確かにいた。しかし、尻尾を掴むことができない。)


 マリアは司令塔が別の群れにもいることが気に食わなかった。


(死んだ狼が自身を殺した敵の情報を仲間に伝えることなんてできないはずだ。屍者(ゾンビ)である可能性もあるが、死体が再起動する気配はないから違うだろう。幽体離脱は神秘(オカルト)過ぎる。そんな無茶苦茶なことできたら私たちは既にやられてるな。考えられるとしたら、何らかの方法で観測できる能力を持っている奴がいる。それも頭の切れる個体がやっていることだ。これが正しければ対策を重ねられて、私たちの打つ手がなくなる。)


 マリアは自身の推測から、考えうる最も最悪な展開を予想してしまい、思わず立ち上がり、ザキを握る手に強く力が籠められた。


『どうしました?』

「なんだか嫌な予感がしてきた。ザキ君、いけるか?」

『僕も大丈夫です。』

「よし。」


 マリアたちは先へ進んだ。先へ進む程、魔獣の討伐難易度は上がっていった。狼たちの戦い方が変わったのだ。壁をよじ登り、屋根伝いに移動するマリアを追いかけるようになった。仲間を踏みつけ、足場にしてまでも追いかける執念はとても深いものであった。彼女は追いかけてきた狼に退き撃ちを行い、一定の距離を保っていた。


『屋根を飛び移ってくる!こっちの真似してきますよ!』

「ええい!面倒くさいね!……ッ!」


 マリアはうんざりした様子だったが、突然何かに感づいたかのような表情を見せた。 


「見つけた!前…今は後方に人がいる。気配が薄すぎて危うく気づけなかった。しかもまずいぞ。」

『えっ!』


 マリアが人の気配に気づいた。ザキは気配が薄いということは何か生命に危険が迫っているのかと思い、焦ってしまった。


『もしかして襲われた!?』

「大丈夫だ。まだ生きている。って、あれ?反応が消えた。この消え方は…」

『それって危険なんじゃ…あとまずい状況って』

「一番やばそうな奴の近くにいるってことだ。」


 まだ助けることができていない民間人が存在する不安を残しながら、マリアたちは商店街の最奥に到着した。周囲の建物は破壊され、ボロボロになっており、その瓦礫の山の中心で魔獣たちが寛いでいた。その中でも一際体が大きく、牙や爪が他の獣より鋭い個体がいた。特徴的な一切の汚れがない白色の体毛を持つ魔獣。“白狼”、間違いなく一番位の高い個体だ。


「…でかいな。見るからに魔獣の親玉みたいだね。しかも、子を増やしている…これはやばいぞ。それなら魔獣の総数は倒してきた分含めて、

136体以上いることになる。」

『進めば進む程、数が増えていたのはアイツのせいか!』


 マリアの言葉通り、白狼は狼は子を次々と産み落としていた。尋常ではない速度で個体を増やしているのだ。しかも、生殖行動をしているわけでもなく狼が生まれていた。まるで、機械が淡々と物を大量生産するように。単一生殖を行うことができるということ、それが魔獣の異常性を更に際立たせていた。


「もう少し様子を見るべきか…。」


 マリアには懸念点があった。まだ司令塔を見つけることができていいないことだ。リーダーと司令塔は全く別の役職であり、白狼が司令塔ではない可能性もあった。もし、別に司令塔がいた場合、白狼が支援されて戦闘が不利になるリスクがあった。


「!」


 マリアは観察を続けようとしたが、距離をとっていたのにも関わらず、白狼は彼女の視線に気づいたのか、出産を中止し、勢いよく立ち上がった。


『見つかった!この距離で!?』

「さすが狼。目と鼻が良いわけだ。」


 白狼はうなり声を上げ、周りにいた狼たちと一緒にマリアに向かって走り出した。その中には、生まれたばかりの個体も混じっていた。生後から即戦力級の魔獣を生む魔獣の危険性を理解したマリアは司令塔を見つけられていない状態であっても、白狼の討伐を行う判断をとった。


「産後疲れとかないのか…仕方ない。確実に減らしていくよ!」


 子の狼たちが白狼より先行し、マリアに襲いかかった。彼女は慌てず、射撃と格闘を絡め、零距離での射撃、時には爪や牙を躱しながら、飛びかかる狼を回し蹴りで、蹴り飛ばしながら、狼を倒していった。


『白い奴がいない!』

「!」


 マリアはザキの声で周囲を見渡した。子の狼が視界に覆い被さるように襲いかかってくるせいで、マリアたちは白狼を視界から見失ってしまった。


「グルァアッ!!!!」

「ッ後ろか!」


 白狼はマリアに子の狼の対処に意識を向けさせることで生まれた隙を利用し、凄まじい速度で彼女の死角に入り、背後まで接近してきていたのだ。


「うごけっ!」


 マリアは一瞬判断が遅れてしまった。彼女は白狼を遠目で見て、大きい魔獣だとは理解していたが、接近されて初めて圧倒的な圧を体感した。例えるのならば、大人の象が全速力を出した車並の速度で眼前に迫ってきているようなものだ。彼女は体を必死に動かそうとしたが、まるで痺れてしまったかのように動かなかった。どれだけ彼女が訓練や経験を積んでいても、白狼の体の大きさによって発揮した圧力はそれらを無力にさせる程の心理的な効果があった。


「くぅっ!!!」

『マリー!』


 ザキは咄嗟にマリアの体を操り、後ろへ跳びながら両腕で銃の側面を前に出した。銃身を盾として攻撃を防いだのだ。しかし、衝撃を殺すことはできず、マリアは力強く蹴り飛ばされたボールのように吹き飛んだ。


「がぁっ!!!」


 マリアを吹き飛ばした白狼の一撃は、彼女を建物の壁に強く叩きつけただけではおさまらず、外壁を砕き建物の内部にまで押し込む程の破壊力だった。建物の内壁に叩きつけられたことで勢いは止まり、彼女は地面に崩れ落ちた後、肺の酸素を一気に押し出され、うめき声を上げた。


『痛ッ…くはないか。それより!』


 ザキは鋭い爪の直撃を受け止めたが、彼の体に傷がつくことはなかった。彼は自身の頑丈さに感謝した。だが、その感謝も一瞬で吹き飛んでしまう程に焦った。マリアは人間だからだ。攻撃を受けた地点から車5台分の距離を飛ばされた。白狼は人を意図も簡単にひねり潰せる筋力があるということだ。それに加えて、建物の壁が破壊されるぐらいの威力で叩きつけられた。いくら強化されていたとしても、人の身では耐えられないだろうと考えた。


「マリアさん!意識は!?」

「ゴホッ!ケホっ!……いたた。ザキ君が盾になってくれたから助かったよ。身体は…強化されているから、全身の至る所に打ち身と打撲、右肩の脱臼ですんだね。よかった。よかった。あ、さっきマリーって呼んでくれたよね?」


 ザキの最悪の予想は外れた。彼は怪我だらけだが、マリアが生きていることに安心した。

マリアは右肩をはめ込みながら、ウキウキとした表情でザキをつついていた。


『それより動ける?逃げたい所だけど、逃がしては…くれなさそうだな。』

「あれを倒さない限り、ここは安全にはならないね。」


 マリアは建物から出て再び白狼と対峙した。白狼は目を離すことなく、マリアたちを見ていた。背中を見せれば、一瞬で距離を詰め、彼女に確実な死を与えるだろう。逃げることは不可能であり、ここでマリアと白狼、どちらかが死ぬまで終わらないことは確実だった。


「それよりで流さないで欲しいんだけど…。そうだね。今は動けるけど、次に奴の攻撃を真正面で受けたら絶対動けなくなるよ。これは骨が折れそうだ。状況的にもね。」


 攻撃を防ごうとしても、圧倒的な力によって押し通されることはマリアとザキが身をもって証明した。防御をすることは許されない。生き残るためには、白狼の攻撃を全て回避することが求められた。


『…奴の間合いに入ったら危険だ。しかもあの速さ…。常に距離をとって、直線上にいないようにしないと。』

「渾身のネタも流さないでもらえるカナッ!触れてもらえないのはキっっっツいから!」


 言い終えると同時にマリアはネタを流されたことに対して、八つ当たりをするかのように白狼に弾を撃ちはなった。白狼は左右に移動を加えながら走り、冷静に弾丸を躱した。彼女は後退しながら撃ち続けているが、いくら体が強化されていても、足の速さは四足歩行の白狼の方が速く、距離は確実に詰められた。


「また避けられた!」


 白狼はマリアの銃撃を、まるで経験していたのかのような動きで回避した。そして、正面から彼女へ襲いかかった。まるで、正面からお前の攻撃を避けられるぞと言っているような自信のある動きであった。マリアの目の前に白狼の顔が迫り、彼女の瞳に獰猛でありながらも、魔獣とは思えない理性のある眼が映った。


「…その眼ッ!」



 マリアは白狼の眼を見て、自身の推測が確信へと変わった。



 白狼には戦闘経験はない。汚れ一つない毛を見ればわかることだ。そして、子を増やすために巣から動いていなかった。白狼から生まれた子も戦い方も知らないはずだ。どうやって身につけたのか。狼として生まれたのだから獣の直感だと言われてしまえばそれで終わることだが、白狼の洗練された動きと子の狼の学習能力と教える者の存在という点に注目すれば、獣の直感では済まされない。現在進行形で白狼が子を通して外界をから情報を取り込み、子へ解をフィードバックを行っているということだ。直接的な干渉を行わずに、親が子へ戦い方を教えることができるのならば、魔獣同士の間には、視認できない独自のネットワークが構築されているということになる。


(こいつが司令塔()だ!)

「グルァアッ!!」


 白狼はマリアとの距離を詰め、右前足を振り上げて、魔力を籠めた爪で彼女を引き裂こうとした。


「こんのぉ!」

「!?」


 マリアは白狼が前足を振り下ろす前に、前方へ飛び込み爪を避けた。そして、白狼の側面に回り込み、体を蹴りつけ、その反動で無理矢理距離をとった。白狼も少し怯みながらも体勢を立て直し、こちらの様子をうかがってくる。


(危ない所だった…。)


 今の蹴りでマリアの攻撃が初めて当たった。彼女にとっては最大で褒めてほしい所だったが、白狼には全くダメージが入っていないことを確認すると、げんなりとした顔で銃撃を行った。対する白狼は先と同じように難なく弾丸を躱し、彼女へ急接近した。


(銃口を見て弾丸が来る位置を完全に予測しているな。…私も体力は少ない方だ。これ以上は避け続けるのは難しいぞ。)


 マリアはこれまでの連戦により確実に疲労が積み重なっていた。それに加え、白狼から受けた怪我によって動きが鈍り、凄まじい連撃をなんとか避け続けることが精一杯だった。


(だが、希望はある。あれは親と司令塔を掛け持ちしている上に、子は皆、親を情報源として依存している。倒せば、一気に崩れるぞ!頑張れ私!!)


 マリアは、ズキズキと体に響く痛みをこらえ、何時突然体が動かなくなってしまうのかわからない状態の中、自身を鼓舞し、全神経と残った力を、全て白狼との戦いに全力を注ぎ込もうとした。だがその時、彼女の能力が警鐘を鳴らした。


「人!?今私たちの真横の建物の中だ!」

『それは本当!?』


 ザキがマリアが見ている方向に目を向けると、和菓子屋花鳥風月と書かれた看板が掛けられた、まだ形を保っている建物があった。


「魔力を極限まで抑えて気配を消していたみたいだ。しかも、動けなくなっている!」


【ガタッ】


「もしかして、おばあちゃんが!」 


 突然、声と物音が響いた。マリアと白狼は、音を立てた方向へと顔を向けた。そこには、両手で自身の口を塞ぐ少女の姿があった。

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