11-3 作戦名、『ゴッド・リフレクション(神々へのやらかし)』 ☆
作戦名、『ゴッド・リフレクション(神々へのやらかし)』。
終末の劫火は、巨大なワープ・キャノンと化した『瓦礫の月』に真正面から激突した。
その莫大なエネルギーは、盾となった月に吸収・変換され、消滅するのではない。次の瞬間、予めこじ開けられていた二本のワープ航路を通って、二筋の光の槍として『発射』されたのだ!
捻じ曲げられ、時空を超えて加速した光の槍は、一つは『ハーヴェスター・オリジンの艦隊と中継ステーション』を、そしてもう一つは『創造主の観測拠点』を、正確に撃ち抜いた。
「……勝った…の?」
誰かの呟きを合図に, オペレーションルームは地鳴りのような歓声に包まれようとした。
私は、エネルギーを使い果たし、その場に崩れ落ちそうになった。その身体を、駆け寄ってきたセレスティアが、強く抱きしめた。
「ありがとう、アキ…。ありがとう…!」
だが、その歓喜の輪が広がるよりも速く、私の脳内に、そしてオペレーションルームの全スピーカーに、ウルちゃんの冷静すぎる声が響き渡った。
《――着弾を確認》
全員が、息を呑んで動きを止める。中央のホログラムスクリーンが切り替わり、星系図が表示された。そこに、二つの赤い×印が点滅する。
《第一目標、ハーヴェスター・オリジンの艦隊とその軌道上にあった中継ステーション、エネルギー反応完全に消滅。ワープ航路の崩壊に伴う時空間反動を観測。目標は原子レベルで分解されたものと推定されます》
ボルガノンがゴクリと喉を鳴らす。国王たちも、信じられないものを見る目でスクリーンに釘付けになっている。
《第二目標、航海図座標『創造主の観測拠点』において、超新星爆発に匹敵するエネルギー放出を確認。我々が送信したスーパーフレアのエネルギーが、目標の動力炉か何かに引火し、連鎖的に爆縮した可能性が高いと推測されます》
ウルちゃんは、淡々と、しかし決定的な事実を告げた。
《両目標、完全沈黙。惑星防衛反攻作戦、 『侵略生命体 迷惑行為対策プロジェクト』 は、成功です》
一瞬の、完全な沈黙。
そして次の瞬間、今度こそ本物の、絶叫にも似た歓声が、オペレーションルームを揺るがした。
私は、セレスティアの腕の中で、その歓喜の爆発を、まるで遠い世界の出来事のように聞いていた。




