10-2 《晶、緊急事態です。二つの、惑星規模の脅威を同時に確認》
そして、古竜の警告音と共に、ウルちゃんの宇宙観測ユニットが二つの絶望を弾き出した。
《晶、緊急事態です。二つの、惑星規模の脅威を同時に確認》
ホログラムに、詳細なデータが表示される。その場にいた誰もが息を呑んだ。
《脅威1:太陽の異常活動。通称『実験場リセットプログラム』。104時間後、惑星表層の生命圏を完全に滅菌する規模のスーパーフレアが発生します。これは単なる熱波ではありません。強力な電磁パルスが大気と磁場を剥ぎ取り、海を蒸発させ、最終的に地殻そのものを融解させる、惑星という名のハードディスクを物理的にフォーマットする劫火です》
《脅威2:古代自律型惑星破壊兵器群。通称『剪定者』。我々の文明レベルを『育ちすぎた雑草』と判断し起動しました。飛来する兵器の一つ一つが、三つの破壊機能を内包した複合弾頭です。
物理的な着弾で地殻を破壊する対惑星質量弾としての機能に加え、目標到達と同時に内部からナノマシン・クラウドを散布し、表層文明を原子レベルで分解。さらに、着弾時の衝撃で発生する特殊な波動を用い、惑星核を暴走させるコア・ハッキングを実行します。文字通り、一つの弾丸で星を根こそぎ刈り取るためのシステムです》
内側からは全てを焼き尽くす太陽の劫火。外側からは全てを砕き、喰らい、汚染する無慈悲な鉄槌。
二つの終末までの時間は、奇しくも完全に一致していた。
「根源存在システムの正体は…この駆除システムそのものだったのよ…!」
セレスティアの悲痛な声が響き、オペレーションルームは完全なパニックに包まれた。
「終わりだ…」
「神々の御業には逆らえぬ…」
大臣や将軍たちが頭を抱える。初めて感じた、純粋な恐怖と無力感。私の胸の穴が、再び冷たい風で満たされていく。
私が唇を噛みしめて立ち尽くしていると、そっと、温かい手が私の手を握った。
「……アキ。あなた一人で、背負わないで」
セレスティアだった。「私たちには、仲間がいるわ」
彼女の言葉に、私はハッとした。ホログラムに、各種族のリーダーたちが映し出される。そうだ。私はもう、一人じゃない。
胸の奥で、空虚感を押し退けるように、熱い何かが込み上げてきた。それに今セレスティアと話した時、思いついたことがあった・
「……むなしいなんて、言ってられないわよね」
私は顔を上げ、オペレーションルームにいる全ての人々に向かって、宣言した。
「これより、惑星防衛作戦を開始します! 私が創り上げたこの世界を、私の友人たちが生きるこの星を、顔も知らない誰かの都合で、終わらせたりなんかしない!」




