9-4「不完全で、無駄だらけで、非効率かもしれない。でもね、だからこそ面白いんじゃない! あんたがバグだって切り捨てるその不完全さこそが、生命の輝きなのよ!」 ☆
「……もう、やめなさい」私は魔法の展開を止めた。
「あんたの気持ち、少しだけ分かるわ。私もね、完璧な世界を作ったつもりだった。でも、そこにあったのは、空っぽだけだったのよ」
『何を…』
「不完全で、無駄だらけで、非効率かもしれない。でもね、だからこそ面白いんじゃない! あんたがバグだって切り捨てるその不完全さこそが、生命の輝きなのよ!」
『全く理解…不能だ。確認の埒外だ。バグやエラーは修正されるべきだ!』
「そうね。じゃあ、あんたっていう、一番大きくて、一番寂しがり屋のバグを、私が修正してあげる」
私は、『バランサー』に向かって、ゆっくりと手を差し伸べた。
その時、ガイア・ブレインと化したウルちゃんの、極めて冷静な思考が私の脳内に流れ込んできた。
《興味深い対比です、晶》
「ウルちゃん?」
《彼は、文明という名の混沌が、規定値を超えないように 『秩序』 をもたらそうとする存在。対して貴女は、完璧に調和した世界に退屈し、自ら進んで 『混沌』 を創造する存在。まさに、正反対のプログラムですね》
「なんですって!?」
《客観的事実です。彼がリセットしようとしている文明のバグの約半数は、ここ一年で貴女が新たに実装したものです》
「うっさいわね!」
そんな脳内での漫才を繰り広げながらも、私は『バランサー』に向かって手を差し伸べ続けた。
「魔王あんたに足りないのは、完璧な世界じゃないわ。ただの、話し相手よ。友人になりなさい、私と」
『…トモダチ…?』
モニターで見ていたセレスティアが頭を抱えた。
「まずいわ…アキのあの顔…良かれと思って、取り返しのつかないことをしでかす時の顔ですわ…!」
「ウルちゃん! 彼のリセット用エネルギーを、私が作る新しい『ルール』の設計図にコンバートする!」
《無茶です、晶。世界を破壊するエネルギーを創造魔法に等価交換するなど、核爆発のエネルギーで目玉焼きを作ろうとするようなものです! 下手したら時空ごと消し炭ですよ!》
「やるのよ!do it! do it!」




