いっしょに
砲台の囲いにこしかけた王室付きの魔法使いは、ながい杖を肩にかけてわらっている。
「あ、魔法使いのカレンだ」
「わたしたちになにか用ですか?」
ラフィーはつい、リミザを隠すように前にでた。
それをおもしろそうにみた魔法使いは、杖を消して両手をひろげてみせた。
「その《勇者》くんに、ぼくはなにかしようとは思ってないよ。どっちかっていうと、擁護したつもりなんだけど」
たしかに、あの《謁見の間》では、この魔法使いは勇者一行の味方だった。
「それには感謝していますが、この先の審査において、ここであなたとあまり仲良くしておくのは、得策でないような気がします」
「ああ、つぎの審査はぼく抜きだし、仲良くしてるのをコルックやエイジェスに知られると、たしかに印象は悪くなるかもね。でも、それと、この教会にある古い文献をみたいってのは、また別のはなしでしょ?」
「そうですか?ここで、エイジェスにおもねって文献をみせてもらい、その勢いで審査を通るという手もあります」
「無理でしょ。どうやらきみの親代わりの司祭のことも嫌ってるみたいだし、ああみえてエイジェスはお世辞とかおだてにはのってこないんだよね。あ、肌とかほめても無駄だよ」
そういうとカレンは片手をあげた。
つうっとどこからかとんできた小鳥が、あげた指先にとまり、すぐにとびさる。
「うん。いまエイジェスは美容のための昼寝にはいったらしいよ。どうする?」
魔法使いはにっこりわらい、下にみえる教会の屋根をめでさす。
「もちろん、はいる」
こたえたリミザが砲台をとびおりようとするのをラフィーは片腕でおさえる。魔力でとぼうとしなかっただけマシだが、あとで厳重注意だ。
「リミザ、落ち着いてください。これが、罠じゃないという保証がありますか?」
もがくリミザがおとなしくなり、カレンをふりかえった。
魔法使いはまだ笑ったままだ。
「それはたしかに。じゃあ、こうしよう。ぼくもいっしょに教会にしのびこむよ」
「みつかっても、あなたは魔法で消えればいいですしね」
「疑り深いね。わかったよ、みつかったらいっしょにかくれよう」
途端に消えていた杖があらわれ、両手でつかんむと砲台におりて、あしもとを突いた。




