申告内容
「あれって、どうなの?リミザにかかってる《黒魔術》のせい?それとも・・・」
ラーラがラフィーの意見をもとめる。
「それはこっちがききたいところですね。リミザはあのときのこと、すこしも覚えていませんか?だいいち、どういうことが基準で『このごろ魔力があがってる』とかんじているのですか?」
おこったようにきかれ、あせってこまった顔をしたリミザが、ゴメンを連発する。
「いや~ほんとゴメンって。はなしをきいたらちょっと思い出したけど、体感で魔力があがってるなあって気がして、大勢の人たちのまえで試したくなっちゃったんだって。 だけどほんとにおれがそんなこと言った?覚えてるのは、あのとき食べたものと、にぎやかな酒場だったなあ、ってことと、あとは、帰り道で、みんながなんか言い合いながら歩いてて、おれは後ろからそれをみてたこと、ぐらいかなあ」
「だから、その言い合いの原因が、おまえの『魔力』についてなんだよ。あれじゃあおまえの魔力が完全に魔族寄りだってのがすぐにばれちまう」
ガットがおてあげだというようにもうひとつのベッドにねころがる。
「いや、もうすでにリミザの魔力については隠しようがないでしょう。これからの王様との謁見には、もうわたしたちパーティーの噂をきいた王宮付きの司祭や魔法使いも見に来ているでしょうから、リミザがどういう状態か、すぐに見抜かれてしまいます。 先に、うちの勇者はいま、《リビングデッド》の状態だと申告しておいたほうがいいでしょう」
ラフィーが宿屋の窓からみえる、むこうの城を眉をよせてながめる。
「『申告』って・・・。戦闘中に死んだから勇者を《リビングデッド》にしたっていっても、戦い終わったあと、どうしていまも教会で生き返らせないのか絶対きかれるよね?」
「まあ、当然だな」
ラーラのうんざりしたような言葉にベッドにねたままのガットも力なくうなずく。
「まあ、それは・・・ ―― わたしの《黒魔術》が未熟で、《リビングデッド》が解けない状態になってしまった、ということにしましょうか」
「 え 」
「・・・・」
起き上がったガットは半端にくちをあけたままのラーラと顔をみあわせてしまった。「・・・いや、おまえ、・・・それを、自分で王様とかに言うのか?」プライドが司祭の服を着ているようだと思った男は、このところ急に、仲間をおもいやり、自分のプライドを犠牲にする、ということをおぼえたようだ。
「しかたないでしょう。 ―― リミザに《リビングデッド》をかけようと提案したのも、かけたのもわたしなんですから」
むっとしたように窓辺からこちらをみるラフィーは、無理やり自分を納得させているところだという顔をしている。「それを解くためにも古い文献にあたりたいといえば、図書館どころか王宮内の魔法研究所の古い資料もみせてくれるかもしれません。どさくさにまぎれて、『勝手に生き返って動く死体』や、『リビングデッドにかかったはずなのに服従しない』というキーワードで、この状態を説明できるヒントをさがしましょう」
最後だけ、いつものラフィーをとりもどし、えらそうにラーラとガットにうなずいてみせた。




